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ニュースリリース

2018/06/28

「市場調査」のデータセットを研究用に無償提供／株式会社インテージと提携／マーケティングなどの研究に寄与

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所（NII、所長：喜連川優、東京都千代田区）は、市場調査会社の株式会社インテージ（インテージ、代表取締役社長：石塚純晃、東京都千代田区）^（*1）と研究コミュニティーへの研究用データ提供で提携^（*2）し、6月28日よりインテージが保有、利用する市場調査データを「インテージデータセット」として研究コミュニティーに無償提供します。

NIIは2010年（平成22年）に情報学研究データリポジトリ（IDR）を設置し、様々な民間企業や研究機関が保有する各種のデータセットを受け入れて研究コミュニティーに提供を行ってきました。2015年（平成27年）4月には、情報学研究に有用なデータセットを整備して研究者に提供するとともにデータセットの構築とその活用基盤に関する研究開発を行うデータセット共同利用研究開発センター（センター長：コンテンツ科学研究系教授大山敬三）を新設し、研究コミュニティーへのデータセットの提供をさらに強化するとともに、大規模な実データと最先端情報技術を活用したデータサイエンス研究の加速に取り組んできました。しかし、これまで提供してきたビッグデータのほとんどがインターネット上のサービスによって構築されたものだったため^（*3）、新たな研究の広がりのためには、現実世界における一人ひとりの行動を反映した新しいタイプのビッグデータが求められていました。

一方、インテージは以前より情報技術や分析分野での研究を通じた人材育成を重要な課題と捉えていましたが、継続的に収集されたパネルデータ^（*4）を学術研究に利用できる機会が限られていることから、自社が保有するデータによって研究コミュニティーに貢献する方法を検討していました。

NIIとインテージはこのような中で連携する機会を得て、さまざまな準備を進めてきた結果、このたび「インテージデータセット」として「i-SSP®データ」と「みんレポデータ」の提供を開始できることになりました。「インテージデータセット」は、データセット共同利用研究開発センターのIDRを通じて大学や公的研究機関などの研究者に提供されます。

「i-SSP®データ」は、インテージが提供するサービスである「i-SSP®（インテージシングルソースパネル®）」で収集したデータの一部です。「i-SSP®」は、同一の個人モニターからテレビ視聴やパソコン・スマートフォンでのウェブサイト閲覧などに関する情報をログデータ形式（機械式）で収集しています。「i-SSP®データ」には、2016年（平成28年）4月～6月に収集したこれらのメディア接触データを日単位および時間単位で集計した結果と、これらのデータの収集に協力したモニター約１万人分の性別、年代などの基本的なプロフィール情報が含まれます。テレビ・パソコン・スマートフォンそれぞれの利用傾向や各コンテンツの接触率などを活用した研究に利用することができます。

「みんレポデータ」は、匿名型の生活者コミュニティーサービスである「みんレポ」で収集されたデータの一部です。「みんレポ」は、スマホアプリを通じて会員（2018年5月時点で約8万人）が日常の「買った」「食べた」「行った」などの生活者情報を写真付きで口コミ投稿（レポ）したデータを収集しています。「みんレポデータ」には、2016年（平成28年）1月～6月に投稿された内容（「投稿日時」「ジャンル」「コメント」「いいね数」など）と、投稿した会員の性別、年代などの基本的なプロフィール情報が含まれます。ソーシャルメディアの特徴であるリアルタイム性と臨場感を備えたデータとして研究に利用することができます。

これまでIDRを通じて提供してきたデータにはない新しいタイプのビッグデータが加わることにより、マーケティングや社会分析なども含め、研究分野や研究テーマが大きく広がることが期待されます。

なお、本データセットには、データ収集に協力したモニターや投稿した会員を特定できる個人情報は一切含まれておりません。データの内容や利用条件、申請方法等の詳細についてはIDRのウェブサイトをご覧ください。

インテージでは「今回のデータ提供により、マーケティング、統計学、データサイエンス、心理学、行動経済学などの研究の発展に寄与したいと願っています。また、マーケティングを通して生活者の幸せに貢献するためには学術界との連携が必要不可欠と考え、今後も産学連携の取り組みを一層強化していきます」としています。

NIIは、今後もデータセットの拡充とデータセット共同利用の深化のための研究開発に取り組み、より多くの研究者が自由な発想で研究に利用できるようにするための活動を進めてまいります。

ニュースリリース（PDF版）

「市場調査」のデータセットを研究用に無償提供／株式会社インテージと提携／マーケティングなどの研究に寄与

（*1）株式会社インテージ：代表取締役社長：石塚純晃、東京都千代田区。株式会社インテージホールディングスの主要子会社で、マーケティングリサーチを主要業務とする。アメリカ・マーケティング協会（AMA）の「THE 2017 AMA GOLD GLOBAL TOP 25 REPORT」によると、株式会社インテージホールディングスは連結売上に基づくランキングで、世界のリサーチ企業の中で9位、国内では1位。
（*2）情報・システム研究機構と株式会社インテージは3月27日付で「データ提供及び利用に関する契約書」を締結。
（*3）提供データの一例：リクルートデータセット
（*4）パネルデータ：「一般的にパネルデータとは、同一の標本について、複数の項目を継続的に調べて記録したデータとされており、項目間の関係を時系列に沿って分析することができます。」（総務省統計局「なるほど統計学園高等部＞データ分析の種類」）

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