イベント / EVENT
デモ・ポスター展示 2025
デモ・ポスター展示
[A] アーキテクチャ・ソフトウェア/うごかすちから
[A-01] IoTデータ収集‧解析を支援するソフトウェアパッケージ
ネットワークとクラウドを活用してデータ収集から解析まで - IoT、ビッグデータ -
クラウド基盤研究開発センター/アーキテクチャ科学研究系
SINETStreamは、広域に分散する様々なセンサから得られるデータを収集‧解析するIoTシステムの開発を支援す るソフトウェアパッケージです。分散環境で効率がよく、安全なIoTシステムの構築を支援します。
[A-02] VCPで実現!どこでも動くアプリ運用
学認クラウドオンデマンド構築サービスを⽀えるソフトウエア
クラウド基盤研究開発センター
本研究では、Virtual Cloud Provider(VCP)を通じて、クラウドやオンプレミスの計算資源をまとめて扱える仕組みを提供します。ユーザはテンプレートを用いてアプリの実行環境を簡単に構築・再現でき、環境の更新も容易です。MCJ-CloudHubなどの講義演習システムや、HPCクラスタ(スパコン)の構築・利用といった応用例も紹介します。
[A-03] 教育学習支援情報システム
CoursewareHub: お好みの講義・演習環境を構築できる基盤
先端ICTセンター/クラウド基盤研究開発センター
NIIでは講義・演習環境として、プログラム実行環境JupyterHubに対して講義向けの⽀援機能を加えた「CoursewareHub」を開発しています。Jupyterは実際の講義の場面でも多く見られるようになってきたソフトウェアであり、無償で利用可能な環境もあるものの、Moodle等のLMSとの連携や、コースごとに違った環境を構築したいといったニーズがあります。本展示では、CoursewareHubがどのようにお好みにカスタマイズ、利用可能なのか、事例も交えてご紹介します。
[A-04] クラウドインフラ運⽤
LC4RI:「証跡Notebook」を重視したレジリエントなクラウドインフラチームの形成
先端ICTセンター/クラウド基盤研究開発センター
NIIでは所内向けの研究リソースとして OpenStack を⽤いたプライベートなベアメタルクラウドを運⽤しています。さまざまなソフトウェアが組み合わさり動作するクラウド基盤の運用には多種にわたるノウハウを必要とするため、開発〜運用の垣根を超えたチーム形成が不可欠です。そこで我々はLC4RI(Literate Computing for Reproducible Infrastructure)として、「証跡Notebook」と呼ぶ実行記録およびメモに基づいた開発・テスト・構築・運用を実践しています。本展示では、運用にまつわるインフラチーム形成とLC4RIの関係についてご紹介します。
[A-05] AIシステムや自動運転システムをどう賢くテスト・デバッグする?
探索・最適化を活用したAI・自動運転システムのテスト・デバッグ技術
石川 冬樹/パオロ
アルカイーニ、リョ トクウン
深層学習技術を活用したAIシステムや、自動運転システムなど、複雑で不確かさがあるシステムの活用が進んでいます。そのようなシステムの安全性や品質を保証・向上するためのテスト・デバッグ技術の研究を紹介します。特に、「よいテスト」や「よい修正」の基準を与えて探索・最適化を行うアプローチによる、テスト自動生成やAIモデル自動修正の事例を示します。
[A-06] ソフトウェアの安全性保証~数理的アプローチ~
最適輸送によるソフトウェア検証
渡邉 知樹/磯部 伸 (特定国立研究開発法人理化学研究所)
不確実性のあるソフトウェアの振る舞いについて、最適輸送の考え方に基づいた新たな定量的指標を提案する。主要な貢献として、最適輸送の高速な近似アルゴリズムであるSinkhornアルゴリズムを拡張し、新たなソフトウェア検証アルゴリズムを得る。
[A-07] ⾃動運転⾞を安全に社会に受け⼊れるには?
⾃動運転⾞の衝突回避と⽬的地到達を保証する数理論理学
数理的⾼信頼ソフトウェアシステム研究センター・蓮尾研究室
⾃動運転⾞の安全性という⼤きな社会的課題に対して、数学的証明という「絶対の安全性保証」を与える⼿法を紹介します。我々は最近の研究成果において、⾃動運転⾞の安全性証明を現実的⼯数で⾏うための⽅法論「RSS」(Responsibility-Sensitive Safety、責任感知型安全論)を論理的に形式化し、さまざまな現実的な実例シナリオに応⽤できる「⽬的達成RSS」(Goal-Aware RSS)に拡張しました。数理論理学の理論を⽤いた本成果を⽤いると、「他⾞を避けながら路肩に⾮常停⽌」などの複雑な運転シナリオに対し、安全な⽬標達成を数学的に保証することができます。
[B] 数理・論理・量子情報/考え方をかんがえる
[B-01] 理論計算機科学、数理的意味論
要素還元的モデル検査: 圏論の抽象論がみちびく⾼速アルゴリズム
数理的⾼信頼ソフトウェアシステム研究センター・渡邉研究室・蓮尾研究室
圏論という現代数学の抽象⾔語があり、情報学でも盛んに⽤いられています。しかし、情報学における圏論応⽤は「具体的理論を思いつくための抽象的メタ理論」「理論的バックエンド」というものが多く、具体的利益がわかりにくいものでした。本発表では、⾼速モデル検査アルゴリズムを圏論により導出した成果を紹介します。要素還元性によって計算コストを代数的に削減する本⼿法は、問題によって数百〜数千倍の⾼速化を実現します。
[B-02] 量子コンピュータを接続して実現する強力かつ効率的な情報処理
一般的な量子変換のための分散量子計算
ゴタルデロ マラフォン タレス、添田彬仁
コンピュータネットワークやインターネットは、情報処理に革命をもたらしました。これにより、異なる、あるいは離れた場所にあるコンピュータ同士が協力することで、コンピュータの能力が大きく向上し、応用範囲も広がりました。 同様に、量子プロセッサの実用化が進む中で、これらの装置を相互に接続することで、計算能力の強化が期待され、従来のコンピュータでは解決困難な課題にも活用されるようになると考えられています。本研究では、分散環境において量子系に対する一般的な変換を効率的に適用するためのコストを計算し、プロトコルを見つけることで、この発展に貢献することを目指しています。
[B-03] オンライン教材の多角的利用~リョーシカ先生と学ぶ超ミニマム線形代数
オンライン教材の多角的利用
小林 幸平/根本香絵
量子技術に関するオンライン教材の多角的利用の一例として「リョーシカ先生と学ぶ超ミニマム線形代数」について説明する。 これは量子情報処理を学習するうえで必要最小限の線形代数の知識をポップかつライトに学べ、さらに量子技術の間口を広げることを目的として作成したものである。
[B-04] 量子コンピュータは何ができるのか?~輸送現象を解く量子アルゴリズム
量子コンピュータをつかって輻射輸送計算を加速するアルゴリズム
五十嵐
朱夏/川畑史郎(法政大、産総研)、門脇正史(産総研、DENSO)、添田彬仁
物理シミュレーションは、コンピュータ上で自然現象を計算するための重要な技術です。この発表では、光の伝わり方を扱うシミュレーションを量子コンピュータを用いて高速化する手法を報告します。この手法により、医療や宇宙工学など幅広い分野での量子コンピュータの応用が期待されます。
[B-05] 情報をもとにみんなの選び方をうまくまとめる
ベイジアンゲームにおける仲介者の影響
藤井 海斗
社会では、人それぞれ違う希望や条件を持ちながら、各自が資源や作業を選択しなければならない場面があります。この研究では、仲介役が人々から情報を集め、うまく選び方を提案することで、全体の効率を高める方法を考えました。特に、同じ選択肢に人が集中すると一人あたりのメリットが小さくなるような状況(例:病院の混雑)に注目して、理論的にどのくらいうまく調整できるかを分析しました。
[B-06] あなたの身の回りの暗号は大丈夫?計算量理論と暗号の世界観
あなたの身の回りの暗号は大丈夫?
計算量理論と暗号の世界観
平原 秀一
日常生活において、クレジットカードの番号を入力したり、 銀行にパスワード送る場合、途中で盗聴されても解読できな いように暗号化の技術が用いられいます。しかし、現在広く 使われている暗号は本当に安全かどうかわかっていません。 暗号の安全性は、ある計算問題の難しさに基づいています。 計算量理論とはそのような計算の困難性を追求する学問です。
[C] 人工知能/計算機に思考させる
[C-01] 透明性・信頼性を高めた大規模言語モデルの研究開発
大規模言語モデルの透明性・信頼性の確保に向けた研究開発
大規模言語モデル研究開発センター
産学官の研究力を結集してアカデミア研究拠点を構築し、生成AIモデルに関する研究力・開発力醸成のための環境整備および生成AIモデルの学習原理の解明等による透明性の確保等に関する研究開発を行うとともに、生成AIモデルの高度化に資する研究開発を行います。こうした取り組みを通じて、AIの進化、ひいては将来にわたった革新的なイノベーションの創出に貢献します。
[C-02] ITによる新しい医療支援
医療ビッグデータクラウド基盤構築とAI画像解析研究
医療ビッグデータ研究センター
平成29(2017)年11月に設置された医療ビッグデータ研究センターでは、医療ビッグデータクラウド基盤を構築することと、AIなどの機械学習を利用した画像解析の研究に取り組んでいます。当センターにおける最近の取り組みの現状と、今後の展望について紹介します。
[C-03] 日本の医療を支える国産オープン大規模言語モデルの研究開発
日本の医療を支える国産オープン大規模言語モデルの研究開発
相澤 彰子/小林 和馬
日本の言語と制度に根ざした医療大規模言語モデル(LLM)を自国の力で研究開発する意義は大きい。国立情報学研究所では、内閣府・戦略的イノベーション創造プログラムの支援を受け、医療従事者が安心して利用できる国産LLM基盤を構築してきた。本発表では、その研究開発プロセスを紹介するとともに、開発したプロトタイプのデモを展示する。
[C-04] ⼈とコンピュータでどうやって知識を共有して⾏くか?
ナレッジグラフを活用した人とコンピュータの知識連携
武田英明ー武田研究室
私たちの研究室では、ナレッジグラフ技術を活用し、医学や文学といったさまざまな分野で役立てる研究を行っています。また、ナレッジグラフそのものの質を評価する取り組みも進めており、使う人がより安心して活用できるように工夫しています。
[C-05] 人工知能の数理的なしくみとは?
機械学習に潜む離散構造と情報幾何学
杉山 麿人
機械学習の中にはさまざまな構造が混在しており、とくにグラフや特徴量の組合せとして現れる離散的な構造と、学習モデルのパラメータ空間が持つ連続的な構造の取り扱いが鍵となります。情報幾何学の観点からこれらの内容を整理するとともに、その応用としてテンソル分解の手法を紹介します。
[C-06] 人工知能はどのように物事の関係を理解しているか~人工知能の脳内を分析~
大規模言語モデルの埋め込み空間の幾何的な構造
海老沢 達輝/杉山 麿人
大規模言語モデルは現在目覚ましい成果と応用を与えているが、その埋め込み空間の構造についてはまだ謎が多い。本発表ではその埋め込み空間に多様体的な構造があるという仮説と言語の階層的な構造の関係性に注目する。
[C-07] 論理でAIをもっと賢く
機械学習に接続する記号推論
磯邊 猛/竹村 彰浩、森山 総太、井上 克巳、杉山 麿人
今のAIは高い精度で予測や判断ができますが、時に人間では考えられないような間違いをしてしまいます。私たちはこの課題に取り組むため、機械学習と記号推論をつなぎ、AIに論理的な「考える力」を与える方法を研究しています。具体的には、学習過程における論理的制約の活用、組合せ最適化問題をニューラルネットワークで解く手法の開発、意味構造を捉えるための関係データ分解などに取り組んでいます。
[C-08] 手だけでなく口の動きで手話言語を理解する技術
JSLコーパスにおけるマウスアクション分類手法の提案
坊農 真弓/Biplav Regmi、 Asia
Institute of Technology、 NII Research Intern
日本手話やヨーロッパの手話を対象とした言語研究では、口の動き(マウスアクション)の意味や機能を解明するアプローチが盛んになっている.本研究では、マウスアクションを深層学習の手法で認識し、手話認識技術の飛躍的発展を目指している.
[C-09] ロボットによる楽器演奏
双腕ロボットによるドラムロール演奏デモ
小林研究室
近年、ロボットの性能向上が著しく進み、日常のさまざまな場面で見かける機会が増えてきました。本展示では、双腕ロボットのドラムロール演奏を通してロボットの動作の仕組みを紹介します。
[C-10] 省通信・省計算な電力モニタリング技術
次世代スマートグリッドに向けた省通信・省計算AIモニタリング
計研究室/王 暁宇、計 宇生
スマートグリッドにおいて、スマートメーターから高精度な電力使用情報を得るには、大量のデータ通信や高性能な計算資源が必要とされます。本研究では、通信量や計算量を最小限に抑えつつ、各家庭に最適化されたAIによる電力モニタリング手法を提案します。独自のイベント駆動処理とAI適応学習により、高精度かつ省資源なエネルギー分析を実現しました。
[C-11]
指数型分布族における最適な平坦e-部分多様体
シュウトクジュン/杉山 麿人
指数型分布族は情報幾何学において最も重要な分布族であり、その内部には多様な e-flat 部分多様体が存在します。どの部分多様体が KL ダイバージェンスの観点から最も優れているかという問題について、本研究では解析的手法を用いて明らかにしています。
[D] 映像・音・言語・メディア/みる・きく・はなす・さがす
[D-01] 画像情報処理から光線情報処理へと展開する視覚メディア技術
実空間と整合する3次元映像メディアに向けた再現光線情報の品質改善
児玉 和也/寺澤
慧(NII特別共同利用研究員/東京理科大学)
画像の撮影、蓄積、処理、伝送、表示技術は成熟し私達を取り巻いています。これに対し「像」ではなく、それを発生させる「光線」そのものの情報を扱い、より高度な視覚環境を構築する先端的な取り組みが広がっています。レンズによる集光の解析や分解再構成に加え、実空間とも整合した深い臨場感を創出、同時に多数の視点からの観察を可能とするため、撮影した3次元情報をもとに高品質な光線場を構成、再現する超多眼系など、様々な実例とその基本技術を紹介します。
[D-02] 新たに開発されたイベントカメラを用いて物理的特性を取得する手法を実証する
高速物理ベース視覚システム
アート スブパアサ/Bohan Yu (Peking
University)、LiangJinxiu (国立情報学研究所)、Jin Han (国立情報学研究所)、Boxin Shi (Peking University)、佐藤 いまり (国立情報学研究所)
イベントカメラは、動きや変化を非常に素早く捉えることができる新しいタイプのカメラです。近年、その特性を活かしてさまざまな分野での応用が進んでいます。本研究では、イベントカメラを使って物体の表面の向き(法線)や光の反射の特徴を取得することを目的としています。通常のカメラと異なり、イベントカメラは明るさの変化しか捉えられないため、形や材質に関する情報を得るのは簡単ではありません。そこで本研究では、専用の装置と照明の工夫により、こうした情報を効果的に引き出す方法を開発しました。その結果、表面の細かい形状や色の性質を高精度で推定することができました。本手法により、イベントカメラの活用範囲がさらに広がり、今後のロボティクスやコンピュータビジョン分野において、新しい応用が期待されます。
[D-03] 光とコンピュータを通して観る絵画芸術
レオナール・フジタの肌質感表現の光学解析
石原 慎/佐藤 いまり
レオナール・フジタ(藤田嗣治)のもたらした「乳白色の肌」と称された絵画表現について、光とコンピュータによる計算からその秘密に迫ります。フジタがどのように多数の白色を使い分けたかを調べることは困難でしたが、我々の分光蛍光解析によって、複数の白色画材の分布が見えてきました。
[D-04] 画像処理技術による見える化
生体組織の健康状態および病変の可視化と解析
淺野 祐太
生体組織は、その健康度合や病変の状態に応じて、組織の散乱特性が大きく変化する。本ポスターでは、構造化照明下で撮影された切片試料の顕微鏡画像を用いた、生体組織の状態の可視化および評価技術について紹介する。
[D-05] 広い領域を静かにする技術
空間アクティブノイズ制御の実応用に向けて
小山研究室
ノイズキャンセリング技術は、騒音をスピーカ信号によって打ち消す技術としてイヤフォンやダクトなどで使われています。しかし、従来の技術を3次元空間で適用すると、静音化できるのは非常に狭い領域に限られてしまいます。我々は、広い領域の騒音を抑圧する、音空間の予測と制御に基づく空間アクティブノイズ制御の研究を進めています。本発表では、その実応用に向けた取り組みについてご紹介します。
[D-06] 事実確認が誤情報対策にどのように役立つのか?
実世界の主張を検証する大規模言語モデルを用いた自動ファクトチェックの進展
山岸研究室/Premtim
Sahitaj (Technische Universität Berlin、Germany)、Iffat Maab (山岸研究室)、Junichi Yamagishi (山岸研究室)、Jawan Kolanowski
(Harz University of Applied Sciences、Germany)、Sebastian Möller (Technische Universität Berlin、Germany)、Vera
Schmitt (Technische Universität Berlin、Germany)
ファクトチェックとは、情報の世界における探偵のようなもので、ニュース記事、スピーチ、ソーシャルメディアへの投稿など、私たちが毎日耳にしたり読んだりしている発言や主張の裏に隠された真実を明らかにすることが目的である。ファクトチェッカーはまた、主張の根拠を見つけるためにウェブサイトや科学的資料、調査なども調べる。ファクトチェックは、誤情報の増加に対抗する上で極めて重要である。従来のファクトチェックの方法は、広範な調査と信頼できる情報源とのクロスチェックを通じて主張を検証するために人手と時間を要するものであり、多大なリソースを必要とする。このファクトチェックには、基本的に、主張の特定、証拠の収集、事実の正確性の確認、調査結果の説明という4つの主要ステップがある。我々の研究では、大規模言語モデル(LLM)を利用した自動ファクトチェック(AFC)を研究している。具体的には、PolitiFact.comから収集された2007年から2024年までの17,000以上の実世界の主張を収集・分析した。ファクトチェックの精度とLLMの説明の質を向上させるため、700億サイズの大規模モデルをテストし、真偽分類に対する詳細な根拠文も生成した。その結果、モデルの訓練や微調整を行わなくても、より大規模なLLMが従来手法よりも優れたパフォーマンスを示した。さらに、様々なウェブサイトから得られた証拠を判定プロセスに組み込むことで、主張の真実性を分類するLLMの精度が向上した。
[D-07] 大規模な音声基盤モデルを用いてディープフェイク検知技術を極める
汎用性と頑健性を備えた音声ディープフェイク検出
山岸研究室
近年、生成AIの急速な発展により、ディープフェイク音声が増加し、誤情報のリスクが高まっています。本ポスターでは、英語・日本語の音声(人間の音声・AI生成音声)を聴き比べ、その判別に挑戦し、私たちが開発中のディープフェイク検知システムによる判定結果もご覧いただけます。このディープフェイク検知システムは日本語を含む74000時間の自然音声・合成音声で学習された2Bの基盤モデルに基づくもので広く利用可能です。ご希望の方には、ディープフェイク検出を支える機械学習技術および透かし技術の詳細についてもご説明いたします。
[D-08] 楽器音合成
人間の感性に迫る!AIがつくる豊かなピアノ演奏
山岸研究室/Jingjing TANG (Queen Mary University of
London)、Xin WANG、Zhe ZHANG、山岸順一、Geraint WIGGINS (Queen Mary University of London)、George FAZEKAS (Queen Mary
University of London)
ピアノ演奏の魅力は、単に楽譜に書かれた音符を正しく弾くだけではありません。テンポや強弱の微妙な変化、音色の繊細な響き、さらには演奏空間の雰囲気までもが一体となって、聴く人の心を動かします。しかし、これまでのAI技術は特定のジャンルや録音環境に縛られ、多様な条件下で人間らしい演奏表現を再現することが難しい課題でした。 今回私たちが開発した『MIDI-VALLE(ミディ・ヴァレー)』は、最新の「言語モデル」技術を活用し、どんな楽譜や演奏スタイル、録音環境にも幅広く対応できる、新世代のAIピアノ演奏システムです。「言語モデル」とはもともと言葉を自然に扱うための技術ですが、これをピアノ演奏に応用することで、さまざまな音楽スタイルや録音環境から学び、豊かで自然な演奏表現を実現しました。クラシックからポップミュージックまで幅広いジャンルの楽譜を再現することを目指しています。 本ポスターでは、『MIDI-VALLE』がどのように言語モデルの力を借りて、さまざまな音楽スタイルにおいて人間らしい演奏表現を実現するのかを、実際の演奏例とともに分かりやすく紹介します。AI技術が生み出す新しい音楽の可能性を、ぜひご体感ください。
[D-09] その顔画像は偽物?ディープフェイク検知システムSYNTHETIQ VISIONによるデモ
ディープフェイク検知システムSYNTHETIQ VISION
安田裕介/古橋良彦、山岸順一、越前功
生成AIの著しい向上により、偽情報の拡散リスクが高まっています。 ディープフェイクは偽情報の1つであり、動画や画像の顔を別の人にすり替えることで、著名人が実際には行なっていない言動を生成AIを用いて人工的に作ることで、デマの拡散といった被害を引き起こします。 この発表では、私たちが開発したディープフェイク検知システムSYNTHETIQ VISIONを用いて、実際にディープフェイク動画を偽物であると見抜くデモを行います。最先端の生成技術にも対応できるSYNTHETIQ VISIONの検知能力により、生成AIが普及した社会でも偽情報に対処できる未来の実現の第一歩を体験してみましょう。
[D-10] NTCIR (NII Testbeds and Community for Information access Research、
「えんてぃさいる」と読みます)では、世界中の約150チームの研究者と一緒に共通のデータセットを用いて、情報検索、質問応答、テキスト生成などの情報アクセス技術の研究を進めています。
NTCIR :
コンピュータはどのくらいうまく情報を探せるのか
神門 典子/加藤 誠、Charles A.L Clake(University of Waterloo/NII)、Yiqun
Liu(Tsinghua University/NII)、Qingyao Ai (Tsinghua University/NII)、 Chung-Chi Chen (産総研/NII)、若宮 翔子(NAIST/NII)、大島
裕明(兵庫県立大/NII)
NTCIR (NII Testbeds and Community for Information access Research、 「えんてぃさいる」と読みます)では、世界中の約150チームの研究者と一緒に共通のデータセットを用いて情報検索、質問応答、テキスト生成などの情報アクセス技術の研究とその評価手法の研究を進めています。
[D-11] ベクトル検索技術の弱点は?
大規模言語モデルに基づく検索モデルの計算能力、脆弱性、バイアスの分析
加藤 誠/藤田 澄男(LINEヤフー株式会社)、薄羽
皐太、仲地 優登、藤巻 晴葵(筑波大学)
大規模言語モデルに基づく検索モデル(ベクトル検索技術)は従来の検索よりも高い性能を発揮することが示されてきており、実サービスへの導入も進んでいます.その一方で、従来技術よりも性能が低下してしまうことや想定していない挙動を示すこと、さらには、特定の検索結果を優遇してしまうことなど様々な問題が明らかになってきています.このポスターではそういったベクトル検索技術の「弱点」を紹介します.
[D-12] 研究⽤データセットのシェアリング⽂化を創る!
情報学データ資源の共同利⽤
データセット共同利⽤研究開発センター/佐藤 真⼀、⼤⼭ 敬三、神⾨ 典⼦、⼭岸
順⼀、相澤 彰⼦、⽔野 貴之、菅原 朔、⼤須賀 智⼦
本センターでは、テキスト、⾳声、映像など産学界の持つ⼤規模データを⼤学等の研究者へと橋渡しをすることで、データの共同利⽤を推進し、技術の深化とコミュニティの創⽣や活性化を促進しています。ポスターでは、これらの活動の概観や、本センターの「情報学研究データリポジトリ(IDR)」から提供中の各種データセットと、それらを⽤いた研究成果の⼀部をご紹介します。
[E] ネットワーク・セキュリティ/安心につながる
[E-01] 理論とシステムソフトウェアの融合で安全・安心なIoTを実現する Society 5.0のためのゼロトラストIoT
IoTソフトウェアの信頼性とレジリエンスを高めるZT-OTA
Software Update Framework
ZT-IoTプロジェクト/青木 信雄 (総合研究大学院大学)、山下 直希、丹生 智也 (国立遺伝子研究所)、坂根 栄作、合田
憲人、石川 裕
(大妻女子大学)、小野 泰司 (情報セキュリティ大学院大学)、竹房 あつ子
形式検証とシステムソフトウェアの融合により、ゼロトラスト(ZT)の概念を踏襲した安全なIoTシステムの実現を目指して研究開発を行っています。 本ポスター発表では、IoTソフトウェアの信頼性とレジリエンスを高める仕組みであるZT-OTAソフトウェアアップデートフレームワークとソフトウェア認証サービスについて紹介します。
[E-02] フェイクにだまされないためには
シンセティックメディア国際研究センターの紹介
シンセティックメディア国際研究センター
シンセティックメディア国際研究センター(SynMedia Center)は、人間中心のAI社会を実現するために、顔、音声、身体、自然言語などの多様なモダリティを対象とした。シンセティックメディアの生成、不正な目的で生成されたシンセティックメディア(フェイクメディア)の検知、メディアの信頼性確保、意思決定支援のための研究開発を、実世界の課題を取り上げながら、国際的な拠点として推進することをミッションとしています。
[E-03] サイバー攻撃を受けてもサービス提供を続ける!安全安心な医療情報環境を目指して
サイバー攻撃下の抗堪性を確保するインフラ運用支援システムの紹介
高倉研究室
重要インフラなどの我々の生活に大きな影響を及ぼす分野では、サイバー攻撃により情報システムの処理能力が低下しても、必要最小限の機能を維持して事業を継続する抗堪性(レジリエンス)が必須となります。その中でも医療分野では、患者の安全確保が最優先であり、医療システムが全停止する事態に陥っても医療サービスを維持することが求められます。我々の研究グループでは、医療分野における抗堪性を確保するためイバー攻撃下の抗堪性を確保するインフラ運用支援システムの実現うを目指しています。
[F] 社会と情報/サイバー世界とフィジカル世界の融合
[F-01] 日本の文化と歴史をデジタル技術で探る
「データ駆動型人文学」と「人文学ビッグデータ」による人文学研究のデジタル変革(DX)
ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター/北本 朝展、山本 智子
ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センターは、AIなど最新のデジタル技術を用いて、日本の文化昨年同様学・社会科学のDX化に向けた研究開発推進事業」(DiHuCo)の成果も紹介します。
[F-02] データ×AIでグローバル社会を学び課題を解決しよう
世界経済をハックせよ!グローバル資本の力学とAIデジタルツイン
水野研究室
私たちの研究室では、企業・国家間の出資関係を複雑ネットワークとして解析し、資本の支配構造と影響力を可視化する。さらに人流データと金融時系列を学習したAIデジタルツインを構築し、人流や金融市場を生成・再現しながら政策やショック時の世界経済の振る舞いを高速に予測することで、危機の兆候を早期に検知し、持続可能なグローバル経済ガバナンスの手がかりを提示する。
[F-03] 生物的メカニズムを利用したセンサーネットワークの自律的測定同期
生物的メカニズムを利用したセンサーネットワークの自律的測定同期
佐藤一郎/池上隆史(総合研究大学院大学)
生物に見られる自律同期メカニズムを利用することで、センサーネットワークの測定タイミングの揃える、または等間隔にずらすことで、測定エラーの影響低減及び測定時間分解能を高める。
[F-04] 昆虫に学ぶロボットシステム
〜効率的に目的地に辿り着くには?〜
昆虫用VRと気流可視化によって解き明かす昆虫の嗅覚ナビゲーション能力
志垣俊介
小さな神経しか持たない昆虫はどうやって目的地にたどり着いているのか?本研究では、昆虫が身体を使ってどのように不確実性の高い匂いに対処しているのか、得られる匂い情報に基づいてどのような行動変化を引き起こしているのかを気流可視化や昆虫用VRによって調査しています。
[O] サービス・事業・NII全般
[O-01] 総研⼤ 情報学コースの紹介
総合研究⼤学院⼤学 先端学術院 情報学コース
国際‧教育⽀援チーム(⼤学院担当)
国⽴情報学研究所を基盤機関とする総合研究⼤学院⼤学 先端学術院 情報学コースの紹介を⾏う。
[O-02] NII湘南会議
NII湘南会議
NII湘南会議事務局
NII湘南会議はアジアにおける最初のダグストゥール形式のセミナーとして開催され、情報学の難問を解決することを目標に、世界トップクラスの研究者が集まり、情報学分野における課題について合宿形式で集中的に議論しています。
[O-03] 日仏情報学連携研究拠点 (CNRS JFLI)
日仏情報学連携研究拠点 (CNRS JFLI)の概要
日仏情報学連携研究拠点 (JFLI)
日仏情報学連携研究拠点(JFLI)は、情報学研究における日仏間の交流拠点として、フランス国立科学研究センター(CNRS)を中心に、ソルボンヌ大学(パリ第6大学)、東京大学(大学院情報理工学系研究科)、慶應義塾大学とNIIの5機関により2008年に設立されました。2012年よりCNRSの国際研究組織UMI(現IRL: International Research Laboratory)に昇格したことに伴い、より活発な研究交流を担っています。JFLIでは、情報学における重要かつ挑戦的な分野を中心に、主要な研究テーマとして、(1)量子コンピューティング、(2)人工知能、(3)次世代ネットワーク、(4)情報学の基礎理論を挙げ、共同研究を推進しています。
[O-04] ソフトウェアエンジニアリングとAIを使いこなし、価値を産みだしていく人材へ
トップエスイー:社会⼈向けソフトウェア⼯学教育プログラム
石川 冬樹
トップエスイーは、2025年度に第20期生を迎えた社会人ソフトウェアエンジニア向けの教育プログラムです。先端ソフトウェアエンジニアリングの原則・技術とAIを適切に組み合わせて使いこなし、ビジネス・組織・社会への価値を産み出していくソフトウェアソリューションエンジニアの人材を育成する年間コースを提供しています。
[O-05] 情報犬ビットくんと巡るNII
国立情報学研究所の広報見習い情報犬ビットです
情報犬ビット
国立情報学研究所で活躍する情報犬ビットくんの活動を紹介します。
[O-06]
学術研究プラットフォームの整備・提供
学術基盤推進部
SINETの超高速・高信頼・高機能なネットワークを活かし、認証連携基盤、クラウド導入・活用支援、学術コンテンツ基盤の整備・提供、オープンサイエンスを推進する研究データ基盤の開発に取り組むことで、学術研究プラットフォームの整備・提供を進めています。
[O-07] データ駆動型研究を推進する情報基盤 NII Research Data Cloud
NII研究データ基盤(NII RDC)
オープンサイエンス基盤研究センター
研究データのライフサイクルに即した3つの基盤「管理基盤(GakuNin RDM)」「公開基盤(WEKO3)」「検索基盤(CiNii Research)」から構成されている情報基盤「NII研究データ基盤(NII Research Data Cloud:NII RDC)」について説明いたします。NII RDCはオープンサイエンスと研究公正を支え、データ駆動型研究を推進する研究データ基盤システムです。
[O-08] 研究データをルールに沿って管理するには?
NII RDC データガバナンス機能がいかにして研究データ管理を支援するか?
オープンサイエンス基盤研究センター/平木 俊幸/横山 重俊、込山 悠介、谷藤 幹子、山地 一禎
研究データの適正管理とルール遵守は、研究の信頼性確保に不可欠です。本発表では、ポリシー設定、データ管理状態の把握などの機能を通じて、データガバナンス機能が研究データ管理をいかに支援するかを解説します。
[O-09] 研究データを活かして未来をつくる「仕組み」を作る!
AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業
AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業
AIやビッグデータの進化によって、研究のやり方が大きく変わる時代が来ています。 その鍵となるのはデータ。そして新しい発見を生むには、それらデータを安全に集め、整理し、世界中の人が「オープンに使えるようにする仕組み(=エコシステム)」が必要です。 この事業では、大学や研究機関と協力して、そんな「未来の研究の土台」を作ろうとしています。 研究の"中身"だけでなく、それを支えるしくみに注目してみませんか?
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