イベント / EVENT

デモ・ポスター展示 2019

デモ・ポスター展示

[A] アーキテクチャ・ソフトウェア/うごかすちから(A1-A10)

A1: やわらかいハードウェアの可能性を探る
再構成可能デバイスを使いやすくする研究
米田 友洋

再構成可能デバイスとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)の利用が広まっていますが、実際に大きな回路を実装しようとするとクロック分配にまつわる様々なタイミング制約問題が生じ、設計を難しくしています。そこで、グローバルクロックを使わない非同期式回路技術を組み合わせることで、大規模FPGAの設計を容易化する研究を進めています。


A2: 街のすべてのモノ・ヒトを賢くつなぐ
スマートシティーにおいて市民の「力」を高めるモノとビッグデータのクラウドBigClouT
石川 冬樹

我々は、街における様々な課題をクラウド技術・モノのネットワーク(IoT)・ビッグデータ技術により解決するため、日欧の産学および様々な都市によるプロジェクトに取り組んでいます。これらのプロジェクトでは、街に含まれるあらゆるモノ・コトをつなぎ、様々な情報を集め、適切な制御や情報発信により街の課題を解決するための基盤を提供するとともに、様々な都市において実証実験を行っています。


A3: 賢くソフトウェアをつつく・直す
探索・学習によるソフトウェア工学
ソフトウェアシステムはますます複雑になっており、その正しさや適切さを実現・確認することが難しくなってきています。我々は、ソフトウェア工学の様々な問題を、探索・学習を用いて解くアプローチに取り組んでいます。賢くポイントを絞り込んだり、傾向を学習したりすることにより、効果的・効率的なテスト自動生成や、ソフトウェアの自動修正を実現します。応用対象としては特に自動(運転)車システムを対象に取り組んでいます。


A4: 適切な「ぼかし」で、ソフトウェアの複雑さに挑む
ソフトウェアの要件の「ぼかし方」に関する研究
小林 努

ソフトウェアシステムの信頼性を保証するためには、求められる要件を明確化し、それらが満たされることを確認する必要があります。特に近年複雑化するソフトウェアでは信頼性が重要である一方、検証が難しくもあります。我々は、全体の正しさを保ったまま適切な「ぼかし」方をして要件を解きほぐすことに取り組んでいます。 本発表では、リファクタリング、リバースエンジニアリング、近似など様々なアプローチからのぼかし方に関する追求について、また、ハイブリッドシステムなど先進的な分野へのこれらの技術の適用について説明します。


A5: 世界トップレベルの先端ソフトウェア工学の研究・教育・実践を推進
GRACEセンター: 先端ソフトウェア工学・国際研究センター
GRACEセンター

NII内に設立されたGRACEセンターは、21世紀の「ソフトウェア基盤」を実現するための、ソフトウェア工学に関する世界トップレベルの研究センターです。GRACEセンターでは国内外の研究機関との連携のもと、研究・実践・教育を三位一体で運営し、次代の中核となる世界レベルの研究者および技術者を育成することを目指しています。


A6: 機械学習をつかったサービスの品質を担保する
高信頼な機械学習応用システム
高信頼な機械学習応用システム

近年、IoTの普及と計算機の高速化により、いわゆるビックデータと言われる大量データからルールや知識を自動的に獲得する機械学習をソフトウェア・システムに組み込むことが一般化しつつあります。しかし、機械学習で得たシステムの振る舞いは、確率・統計的でかつ、訓練に用いるデータの数や性質に依存するため、システムとして必要な精度等の品質を実現できるのか、その品質をどれくらいの工数で実現できるかの予測が非常に難しくなります。そのため、従来のシステム開発のための工学的アプローチが適用できず、システムの価値創造と信頼性の担保が困難であり、社会のニーズに応えることができません。本プロジェクトでは、機械学習を組み込んだソフトウェア・システムのための工学を確立することを目標とします。具体的には、機械学習応用システムを用いて安定的に価値を創造でき、その信頼性を担保することを可能とするソフトウェア・システムの開発技術を創出します。


A7: 社会人向けソフトウェア工学教育プログラム
社会人向けソフトウェア工学教育プログラム
トップエスイー

ソフトウェアエンジニアリングの技術・理論・ツールを使いこなすスーパーアーキテクトを育成する、社会人向けの教育プログラムです。先端的かつ実践的で演習を中心とした講義を通じて学習し、実問題に適用する課題を、1年の課程の中で行います。実践的な技術だけでなく、学術的な理論や各種ツールの適用により、高度に情報化された社会を支える人材を育成します。


A8(DEMOarea): インタークラウド
複数のクラウド環境にまたがる分散アプリケーション環境の実現
クラウド基盤研究開発センター

昨年度から運用を開始した「学認クラウドオンデマンド構築サービス」を利用し、テンプレートを用いてゲノム解析等の分散アプリケーション環境の構築ができるようになります。オンデマンドクラウド構築サービスは、コンテナ技術 やオーバーレイネットワーク技術、Jupyter notebook 等により実現されています。またアプリケーションの実行状況に合わせて、複数のクラウド環境上からサーバーを追加して実行環境を再構成する技術の確立を目指します。


A9(DEMOarea): クラウド
Academic Beametal Cloud の運用と監視
先端ICTセンター / クラウド基盤研究開発センター

NIIでは所内向けの研究リソースとして OpenStack を用いたプライベートなベアメタルクラウドを運用しています。その3世代目となる Academic Beametal Cloud は、SINETによる柔軟な拠点間VPNへの対応や、複数の利用者グループが厳格に分離された環境の提供を実現しています。また、LC4RI: Literate Computing for Reproducible Infrastructureと呼ぶ、 Jupyter Notebook を用いた構築・運用手法を実践しており、小規模な運用チームでのサービス提供を実現しています。本展示では、 Academic Beametal Cloud の運用や監視について紹介し、監視ツール「マップ」のデモを見ていただきます。


A10(DEMOarea): 教育学習支援情報システム
Notebookによる講義・演習環境
クラウド基盤研究開発センター

プログラムコードや数式、結果を可視化した図表を実行可能なドキュメントとして一体的に扱える Jupyter Notebookは演習環境として広く使われるようになり、このNotebookを使った演習を多数の受講生に対してウェブブラウザから提供する「JupyterHub」と言うツールがあります。NIIではこの演習環境をより手軽に使えるよう機能を拡張した「CoursewareHub」を開発しました。CoursewareHubには、講師が教材の配布や更新、演習課題の解答回収をする、また、受講生の認証に学認を使えるなどの機能があります。また、受講生が Notebook 上で試行錯誤した操作履歴を取得できるようにしてあり、学習活動の分析が行えます。本展示では、 CoursewareHub について紹介します。


[B] 数理・論理・量子情報/考え方をかんがえる (B1-B7)

B1:数理論理学とプログラム論理
ブラザーストン予想の解決
龍田 真

ブラザーストン予想とは、数理論理学における有名な予想であり、その内容は帰納的定義論理体系と循環証明論理体系の同等性です。ブラザーストン予想は2001年に発表され、それ以来10年以上未解決でしたが、2017年に本研究所の龍田とトリノ大学のベラルディにより解決されました。


B2:数学からソフトウェア、そしてものづくりへ
ERATO 蓮尾メタ数理システムデザインプロジェクト
システム設計数理国際研究センター

ソフトウェアや集積回路を作るにあたって、満たすべき性質を数学的主張として書き下したり、できたソフトウェアや集積回路がその性質を満たすことを数学的証明によって確かめたりするための手法が「形式手法」です。ここでは証明を扱うための数学、すなわち論理学が大きな役割を果たします。私達のプロジェクトではさらに、形式手法を抽象数学(特に代数学)によって一般化し、応用範囲を自動車などの物理情報システムに拡大することを目指します。


B3:物理情報システムのモニタリング
「安全、危険」から「どれくらい安全か」へ
和賀 正樹

物理情報システムの実行結果のログから、「危険な部分」を抽出する「時間パターンマッチング」を拡張させた、「どれくらい危険・安全か」を表す度合いを抽出する手法について説明します。


B4:方程式を使って、モノの動きをデザインする
制御理論って何?
岸田 昌子

制御理論は、データに頼るのではなく、モノの本質を捉えて動きをデザインするための数学です。具体的には、物理法則に基づいて記述される微分方程式を解析したり制御則を設計したりする基盤研究です。この縁の下の力持ちな制御理論について紹介します。


B5:関係ビュー更新問題の解決策
BIRDS: 関係データベースにおける双方向プログラミングの基盤技術
トラン バン ダン

データベースの研究分野では、ビュー更新問題は古くから取り組まれている難しい問題として知られています。この問題の難しさは、ビューに対する更新をデータベースに反映するやり方が複数存在する点にあります。本研究では、putbackに基づく双方向プログラミングを使ってビュー更新の曖昧さを解決する、データログを用いた枠組みを提案します。


B6:データの複雑さはどのように測定するのか?
次元数と識別能力:極値理論的な基盤
フール・マイケル

現在、データマイニングは統一理論がまだ提案されていません。個々の問題のためには、分類やクラスタリングなどの多くのアドホック技術が設計されています。我々は、さまざまな基本的な機械学習とデータマイ ニングタスクを結びつける理論的な枠組みを提案します。


B7(DEMOarea):量子コンピュータと量子技術
量子情報技術を支える誤り訂正+電荷・スピンをめぐるハイブリッド量子科学
量子情報国際研究センター

量子情報国際研究センターでは量子コンピュータをはじめ多様な量子情報科学と技術について研究を行っています。本ポスターでは、量子コンピュータや量子通信技術の基礎となる量子誤り訂正についての解説と、最近の研究成果についてご紹介します。また、多様な量子情報科学・技術の現在の動向のひとつとして、当研究センターが参画していると新学術領域研究(文科省)「ハイブリッド量子科学」から、電荷やスピンにまつわるハイブリッド量子科学の最前線をご紹介します。


[C] 人工知能/計算機に思考させる (C1-C9)

C1: コンピュータはどうやって学習するのか
機械学習で知識発見
杉山 麿人

機械学習のしくみを紹介します。特に、コンピュータ上で情報を効率的に取り扱う方法と、統計学を用いながら重要な知識を選び出す方法を、最新の研究内容を交えながら紹介します。


C2: 知らない英語表現を検索するには?
英語論文執筆支援システム
岩月 憲一

英語論文の執筆の効率化のために重要なのは、多種の「定型表現」を使いこなすことです。同じ用途の定型表現であっても様々な文構造をもつ表現があるため、これらをキーワード検索で探すことは困難です。本研究では、文書構造を利用した新たな定型表現の検索手法を提案します。


C3: 言葉を使って人工知能と理解を共有する
連続的かつ部分観測的コンテクストにおける基盤化対話システムの構築
宇田川 拓真

人間は自然言語による対話を通じて様々な共通理解を作り出し、必要に応じて修正・維持することができます。本研究では、このような人間の高度なコミュニケーション能力に焦点を当てた新しいタスクの設計と対話システムの評価・分析を行います。


C4: コンピューターは文章が理解できるか?
何が機械読解の問題を簡単にしているのか?
菅原 朔

自然言語処理分野には、人間が解くような文章題を機械に解かせることを目指す「機械読解タスク」があります。
読解タスクのデータ作りでは、機械にとってまだまだ簡単な問題を作ってしまうことが多く、人間らしい高度な言語理解を要求する問題をいかに作るかが重要になります。
本発表では、機械にとって簡単な読解問題を区別するためのアイディアを用いてより人間らしい言語理解を要求するデータセットを作る試みについて紹介します。


C5: 社会と学術をつなぐデータの世界
ナレッジグラフを用いたオープンデータ・オープンサイエンス基盤に関する研究
武田 英明

公共機関や研究機関の情報を再利用可能な形式で公開するオープンデータ・オープンサイエンスの取り組みが広まっていますが、高度な利活用を促進するためには情報の構造化や語彙の統一などのセマンティック技術の導入が必要不可欠です。本ブースではナレッジグラフを用いた専門分野の知識体系の構築に関する研究を紹介します。


C6: 人工知能
レジリエントなAI
井上研究室

刻々と変化する環境の中で、設計時に想定できなかったシナリオに対応できるAIが求められています。外的要素によりAIが判断を変更する必要がある時、次の最適な判断を如何に迅速に出せるかがレジリエントなAIにつながる課題です。また、現段階での判断から次の判断までの変更のコストを考慮し、総合的に最適となる決定も求められています。このような状況に応じて柔軟に対応できるAIのことをレジリエントなAIと呼び、現在注目を集めつつあります。


C7(DEMOarea): Robust IntelligenceとSocial Technologyを主軸とした社会課題解決のための強靱な知識基盤
ロバストインテリジェンスを社会的な課題解決に役立てるための応用技術に関する研究
ロバストインテリジェンス・ソーシャルテクノロジー研究センター

ロバストインテリジェンス・ソーシャルテクノロジー研究センター(CRIS)は、様々な社会課題に対し、ロバストインテリジェンス及びその要素技術を活用して、社会課題の解決に取り組みます。


C8(DEMOarea): ITによる新しい医療支援
医療ビッグデータクラウド基盤構築とAI画像解析研究
医療ビッグデータ研究センター

平成29(2017)年11月に新設された医療ビッグデータ研究センターでは、医療ビッグデータクラウド基盤を構築することと、AIなどの機械学習を利用した画像解析の研究に取り組んでいます。当センターにおけるこの1年半の取り組みの現状と、今後の展望について紹介します。


C9: コンピュータが法律推論?
論理プログラミングによる要件事実推論システムPROLEG
佐藤 健

要件事実論とは、民事裁判における裁判官が不完全情報環境下でいかに合理的な推論を行うかを定式化した理論です。本発表では、この理論を論理プログラミングで実装した研究について紹介します。


[D] 映像・音・メディア/みる・きく・はなす・さがす (D01-D12)

D1: 画像情報処理から光線情報処理へと展開する視覚メディア技術
実空間と整合する3次元映像メディアに向けた光線情報の復元再構成
児玉 和也

画像の撮影、蓄積、処理、伝送、表示技術は成熟し私達を取り巻いています。これに対し「像」ではなく、それを発生させる「光線」そのものの情報を扱い、より高度な視覚環境を構築する先端的な取り組みが広がっています。多数の視点から撮影した映像を集約し光線群全体を再現することで実空間とも整合した高い臨場感を創出したり、レンズによる集光の解析や分解再構成を実現したりといった、様々な実例とその基本技術を紹介します。


D2: テキストで画像を編集する
セマンティック画像生成
杉本 晃宏

深層ネットワークにおける敵対的学習を用いると、テキストで画像を編集することができます。ここでは、前景用と背景用に識別器を用意し、生成器を含めた三つ組ネットワークの敵対的学習によって、よりリアルな画像を生成することができる技術を紹介します。


D3: 古地図を立体的に眺める
3D地図表示機能を持つ歴史ギャラリーシステム
阿辺川 武

時代ごとに蓄積された古写真や古い絵図を、作成された当時の古地図上に配置しギャラリーとして表示するシステムです。古地図と現在地図との対応をマッピングし、現在の標高情報を古地図に写像することにより、古地図を3D表示しています。古地図を鳥瞰図のように眺めることで、地形に影響を受けた対象物の生い立ちなどを把握できるようになります。


D4: 研究用データセットのシェアリング文化を創る!
情報学データ資源の共同利用
データセット共同利用研究開発センター

本センターでは、テキスト、音声、映像など産業界の持つ大規模データを大学等の研究者へと橋渡しをし、またデータや課題を共有する評価ワークショップを行うことで、データの共同利用を推進し,技術の深化とコミュニティの創生や活性化を促進しています。ポスターでは、これらの活動の概観や、本センターの「情報学研究データリポジトリ(IDR)」から提供中の各種データセットと、それらを用いた研究成果の一部をご紹介します。


D5: 深層学習による音声合成
単語の発音の知識を与えずに、入力文字から直接音声を合成する技術
安田 裕介

音声合成とは、テキストから人間の声に変換する技術です。従来の音声合成では、単語の発音やアクセントの情報を辞書化し知識として与え、音声を合成していました。本発表では、単語の発音の知識や構文情報も一切与えずに、入力文字から直接音声を合成するエンドツーエンド音声合成という新しい技術について紹介します。


D6: 人を楽しませる音声の合成に向けて
伝統話芸 落語音声の合成
加藤 集平

最新技術により合成された音声は、人間が実際に発声した音声と区別がつかないほど高品質になっています。しかし、これは文章をただ読み上げる場合であり、感情や演技の込もった音声、さらには、聞いている人を楽しませることのできる音声の合成には課題があります。本研究では、人を楽しませる音声の合成に向けて、日本の伝統話芸の1つである落語音声合成を行っています。ここでは、落語音声合成の実現に向けた研究内容の紹介、実際に合成した落語音声を聞くことができます。


D7: メディアフォレンジクス
コンピュータにより生成されたフェイク音声の検出
ワンシン

現在、深層学習の発展により、非常に自然に見える・聞こえる画像、映像、音声の生成が可能となりました。これによりメディア処理技術の応用可能性は一段と高まりましたが、その一方で、メディア情報の信頼性を根底から揺るがす状況でもあります。また、音声による個人認証システムに対して、所望の人の声をテキストから合成する音声合成技術、他人から所望の人の声へ変換する声質変換技術により、「他人になりすませる」状況です。そこで、大規フェイク音声コーパスを世界に先駆け構築するとともに、フェイク音声検出技術「生体検知」の精度を競うASVspoofChallenge 2019を開催し、大盛況を収めた。本発表では、ASVspoofChallenge2019の概要と現在の生体検知技術、および、課題を紹介する。


D8: 音声科学
人間は雑音下で感情音声を正しく表現できるのか?
チョウ イ

雑音下で発声した音声は、ロンバード効果と呼ばれる影響により、通常の発声とは異なる発話様式になり、明瞭性が向上することが知られています。では、雑音下で表現した感情音声はどうでしょうか?ロンバード効果はどの様な影響を感情音声にもたらすのでしょうか?そこで、我々は感情音声を雑音下で収録し、

・話し手は雑音下でも感情音声を表現できるのか?
・聞き手は雑音下でも感情音声を正しく認識できるのか?
・雑音下で表現した感情音声は通常とどの様に異なるのか?

という科学的に答えるための調査を行いました。


D9: 三原色を超えて、光スペクトルからわかること
反射解析にもとづく実世界理解
佐藤 いまり

私たちが普段見ている光のスペクトルは、大変たくさんの情報を持っています。物質にあたって起こる「吸収」「透過」「散乱」「蛍光発光」といった様々な振る舞いを、スペクトルから調べることができます。本研究では、蛍光成分は環境光の影響を受けないという特徴を利用して、物体形状を考慮して蛍光物質を可視化する手法を開発しています。 また、濡れることによって物体の見えが暗くなる現象と色味がシャープになる現象に注目し、光の伝播(散乱の仕方)を表現する物理モデルの導 出に基づき、物体の濡れている度合いと物体色を同時に推定する研究を行っています。


D10(DEMOarea): メディアフォレンジクス
フェイクビデオの検出と歩容の匿名化
越前 功

近年、マルチメディア処理技術は飛躍的に進んでいます。これにより、様々な有益なサービスを受けられるようになりました。一方、インターネットを通じて有名人の顔や音声または歩容などの生体情報を容易に収集でき、収集した情報に基づいてフェイクの生体情報をコンピュータで生成し、他人になりすますことも可能になりつつあります。本発表は顔と音声を同時に他人へ変換したビデオサンプルを展示し、またフェイクビデオを高精度に検知する方法も紹介します。また、生体情報の保護のために歩容を匿名化する方法も紹介します。


D11(DEMOarea): ロボットに社会経験を積ませるには?
クラウド型VRによる知能ロボットのための学習システム
稲邑 哲也

日常生活を支援するような知能ロボットを実現させるためには、人間がどのような行動をどのような状況で行っているか、という社会的な経験を大量に積む必要があります。しかしながらそのような社会経験を実データとして収集する事は困難です。この研究はクラウド型VRを活用する事で、知能ロボットが社会経験を短時間に収集する手法の実現を目指しています。デモとして、VR空間上のアバターにログインし、仮想ロボットとの対話を体験して頂けます。あなたの振るまいによってロボットの知能が向上するかも知れません。


D12(DEMOarea): 情報学と人文学のコラボレーション
人文学オープンデータ共同利用センター
人文学オープンデータ共同利用センター

「人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)」では、人文学データの他分野への活用、データを活用した新しい人文学の振興などに取り組んでいます。「歴史ビッグデータ」、「AIくずし字認識」、「顔貌コレクション」、「武鑑全集」など、多彩なCODHの活動を紹介いたします。


[E] ネットワーク・セキュリティ/安心につながる (E1-E3)

E1: インターネットトラフィック上の異常を見つける
IPv6ネットワークスキャン検出センサ
福田 健介

この研究ではIPv6ネットワークにおけるネットワークスキャンを検出する手法について紹介します。


E2: インターネットの障害の「なぜ」を突き止める
SINETログデータの因果解析による障害の原因究明支援
小林 諭

ネットワーク障害の原因究明を効率的に行うため、運用データを機械的に解析する技術が必要とされています。
この研究ではSINETのログデータの因果解析を通してイベント間の関係性を明らかにすることで、障害時のシステムの振る舞いや見落とされていた異常な挙動をオペレータに伝えることを可能としています。


E3: 暗号を使って、情報を守りながらモノを動かす
制御システムをまるごと暗号化
岸田 昌子

近年、様々なモノがネットワークに繋がるIoT (Internet of Things) が急速に普及してきています。しかし、ネッ トワークを介することで、利便性や生産性が向上すると同時に、サイバー攻撃の脅威にさらされるようになります。ここでは、通信路に流れる情報だけでなく、制御システム全体を暗号化することで、プライバシー保護とセキュリティ向上を目指す研究について紹介します。


[F] 社会と情報/サイバー世界とフィジカル世界の融合(F1-F5)

F1: 社会の安全を支えるソフトウェア工学
機械学習ソフトウェアの品質評価
中島 震

深層ニューラル・ネットワークに代表される機械学習ソフトウェアの品質について、第3者評価での利用を想定した評価保証レベルの考え方と、品質評価におけるメタモルフィック・テスティングの重要性を紹介します。


F2: 情報学による国際関係の見える化
グローバル化の波から国や企業を守るには?:国際投資ビッグデータのネットワーク分析
小高 充弘、水野 貴之

グローバリゼーションが進む現在、資本市場における国際投資の活発化により,国家間の経済的な勢力関係が変化しています。本研究では、国際的な企業間のつながりに潜む企業支配のリスクを、ビッグデータから定量的に分析することで、外資規制といった、国や企業を守るための政策について考えていきます。


F3: サイバー空間とフィジカル空間の繋がり
リアル空間でのビットコインの流れ
全 珠美

人々の活動は24時間の中でパターンを作ることになります。そのパターンは人の住む時間帯に影響を受けることになります。本研究では、人間の日中活動パターンを利用し、ビットコインユーザーの地域を推定する時間帯分類器を構築します。そして、その分類器を用いて特定ビットコインイベントに参加した参加者の地域を分類し、ビットコインの流れをリアル空間で可視化します。


F4:
金融市場の転換点と経済の異常値の検出
金融スマートデータ研究センター、水野 貴之、袁 媛

近年、異常値の検出は、医療、不審な行動の検出、機械の故障の検出などの多くの分野で使用されていますが、金融市場に異常値検出に関する先行研究は少なく、同時に情報通信技術の発展から、より詳細な財務データやマクロ経済データの利用が可能になり、高次元データの利用が新たな課題となっています。
本発表は、機械学習を用い、金融市場の転換点と様々な経済指標の異常値との統計的関係を明らかにすることが目的です。我々の研究は、金融市場の異常値の検出と金融市場分析への高次元データの利用の両方に貢献しています。
研究事例として、日本のファンドマネジャーがよく使われている83の経済指標という高次元データを用い、日経平均225の異常値を検出します。第一に、Preis et al.(2011)に倣い、Nikkei 225の転換点を定義します。第二に、転換点に影響を与える高次元データから相対的な重要な変数を選びます。ここでは、先行研究で重要な変数を選択する際によく使われているLASSO回帰(Least absolute shrinkage and selection operator)を使用します。我々は、さまざまな要因によって引き起こされるさまざまな転換点を考慮するために、サンプルを2期間に分割した上、分析を行いました。興味深いことに、LASSOが選択した変数は、さまざまな転換点の要因に関連しています。第三に、定義された転換点とLASSOが選択した変数を使用して異常値の予測を行い、比較的信頼できる予測結果を得ました。


F5: Food and cooking computing
境界のないクッキングレシピに関するプロジェクト
Frederic Andres

The Cooking Recipes Without Border project(境界のないクッキングレシピに関するプロジェクト)では、Flavorlensという食べ物の写真を共有したり試飲したりするためのソーシャルメディアプラットフォームを紹介します。 最初の課題は、コミュニティの検出/クラスタ化に関するものです。調理レシピ知識ベースは、一般化調理レシピ意味グラフの集まりです。。 2つ目の課題は調理レシピ実行計画に関するものです。


[O] 特別展示 (O1-O5)

O1: 2019年6月5日、統計数理研究所は創立75周年を迎えます
統計数理研究所創立75周年記念式典とオープンハウスのご案内
統計数理研究所

1944年に設立された統計数理研究所は、2019年6月5日に創立75周年を迎えます。これを記念し、一橋講堂において記念式典を挙行します。式典後の記念講演、パネル討論や同日開催するオープンハウス2019について紹介します。


O2: 広報みならい情報犬ビットくんと探る
のぞいてみようNII
情報ビット

広報みならいである情報犬ビットくんが、国立情報学研究所の広報活動を紹介します。


O3: 国立情報学研究所で博士を取る。~総合研究大学院大学情報学専攻の紹介~
情報学専攻の概要紹介と入試案内
総合研究大学院大学 情報学専攻

国立情報学研究所は、総合研究大学院大学複合科学研究科に情報学専攻を開設し、博士課程(5年一貫制)、博士課程(3年次編入学)を設置しています。これら2つの課程では、情報学の先駆的な国際的研究機関である本研究所の専門性を活かし、21世紀の「知識社会」をリードする優れた人材の育成を目指しています。
情報学専攻は、都心に位置した好立地条件にあり、約90名の学生が在籍しています。また、在学生の約2割が社会人であり、多くの社会人学生が仕事をしながら研究を行っているほか、世界各国から来日している留学生が多数在籍しており、異文化交流が盛んに行われているのが特色です。
本ブースでは、情報学専攻の概要、及び、2019年10月、2020年4月入学を対象とした入試について紹介します。


O4: アジアにおける最初のダグストゥール形式のセミナー
湘南会議/SHONAN MEETING
湘南会議事務局

国立情報学研究所では、ダグストゥール形式によるアジア初のセミナーとして、平成23年2月より「NII湘南会議」をスタートしました。本セミナーは、世界各国から情報学分野のトップレベル研究者25~35名程度が参加し、合宿形式でトピックに基づいた議論を集中的に行うものであり、参加者から有効な研究議論の場として高く評価されています。本ブースでは実際に行われた会議の様子とともに、NII湘南会議について紹介します。


O5: SINET広域データ収集基盤を活用したVCP(Virtual Cloud Provider)のデモ
モバイル網を活用したリアルタイム画像解析
-SINET広域データ収集基盤とクラウドデータ処理環境との連携デモ-

学術基盤推進部 学術基盤課

センサのビデオデータをSINET広域データ収集基盤を介してクラウドへ転送し、リアルタイムに画像解析を行った結果を表示します。「SINET広域データ収集基盤を活用したデータ収集」と「収集したデータのクラウドを活用したリアルタイムデータ解析」を連携して行うことで、研究の促進に寄与します。


関連リンク

お問い合わせ先

国立情報学研究所 総務部企画課広報チーム
オープンハウス実行委員会
TEL : 03-4212-2131
oh[at]nii.ac.jp
※ [at]を@に置き換えてご送信ください。

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