研究 / Research

日本学術振興会 : 国際共同事業 英国との国際共同研究プログラム(JRP-LEAD with UKRI)

英国研究・イノベーション機構(UK Research and Innovation, UKRI)との合意により、一国のみでは解決が困難な課題に対して、国際共同研究を実施することで資源の共有や研究設備の共用化等を通じた相乗効果を発揮するとともに、若手研究者等に国際共同研究の機会を提供することを目的として、我が国の大学等の優れた研究者が英国の研究者と協力して行う国際共同研究に要する経費を支援する。

コロナ禍/コロナ後におけるオンライン会議状況でのクロスサイニング現象の理解

研究代表者:情報社会相関研究系准教授 坊農 真弓

 本研究は、異なる地域・異なる国に居住するろう者が、クロスサイン現象(同じ手話言語を共有しておらずともその場で簡単な手話会話をすることができるろう者同士のコミュニケーション現象)を生じさせる際に、どのように言語を適宜改変・単純化しているか(例:トランスランゲージング)に着目し、ビデオ会議システムの文脈における手話コミュニケーションスタイルの即興性と変化を分析するものである。

 本研究の科学的意義は、COVID-19パンデミックによって引き起こされたコミュニケーション環境の大きな変化によって、手話母語話者がどのような影響を受けたかを理解することにある。この状況は、特定の言語(例:手話言語)を使用するコミュニティに情報技術が急速に浸透した珍しい例であり、特に人類が同様の状況に将来遭遇する可能性を考えると、文化人類学や言語人類学の観点からも意義がある。

 本研究プロジェクトの独創性は、オンラインビデオ会議における言語慣習の変化を調査する先駆的な言語研究の性質にあるだけでなく、手話コーパスを生成するための新しいAI技術の開発にもある。

深層学習を用いて得られた3次元情報や身体動作の情報を手話研究コミュニティに配布し、手話と情報学の学際的な研究をさらに推進する。

 具体的に本研究では、日本・英国において、インタビュー調査、大規模アンケート調査、言語分析、インタラクション分析を行う。

 また、オンライン手話対話コーパスを作成し、AI技術を用いて動きを検出し、アノテーションを行う。本研究で収集したデータはNIIリサーチデータクラウド(NII RDC)で管理し、一部データの学術利用目的の公開を目指す。

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