研究 / Research

科学研究費助成事業(科研費)

科研費は、研究者の自由な発想に基づいて行われる学術研究を広く支える資金であり、基礎から応用までの幅広い学術研究を対象としています。教員・研究員ともに、科研費の応募を積極的に行っており、多数採択されています。
また、獲得した科研費を他の研究機関の研究者(研究分担者)へ配分し、連携のもとで研究に取り組んでいます。
同様に、他の機関の研究者が獲得した科研費にも、研究分担者として多くのNIIの教員が参画しています。

採択状況(2020年度)

採択件数 金額(千円)
研究代表者 76 350,180
研究分担者(他機関→NII) 68 92,006

巨大グラフとビッグデータ解析の基礎基盤:理論研究と高速アルゴリズム開発

 基盤研究(S) 

研究代表者:情報学プリンシプル研究系教授 河原林 健一

現代の情報化社会が抱える問題の大部分は、センサー、画像、音声などによって収集された多種類の大量のデータ解析、そして、情報処理技術によって解決されることが期待されています。しかしながら、データ量が膨大なので、超巨大コンピュータを使用しても解決が容易ではないものばかりです。このような問題を解決するためには、アルゴリズムの革新が必要不可欠であり、計算モデルと数理の探求に基盤をおく革新的アルゴリズム設計技法の構築や体系化は、科学の共通認識として最優先の意義を持ちます。この研究では、数学的理論を駆使することにより、アルゴリズムの理論分野(おもに、グラフアルゴリズム)の強化および、理論分野の道具を利用して、アルゴリズムの高速化・スケール化に挑みます。

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裁判過程における人工知能による高次推論支援

 基盤研究(S) 

研究代表者:情報学プリンシプル研究系教授 佐藤 健

裁判過程で裁判官が行っている知的作業としては、事実認定過程、あてはめ過程、判決推論過程の三つに大きく分けられます。事実認定過程とは、証拠から事件で実際に起きた事実を認定する過程であり、あてはめ過程は、その事実を法律要件に対応させる過程であり、判決推論過程とは、事実レベルに対応する法律要件の真偽値と法律の条文または判例を用いて判決を行う過程のことです。さらに、原告・被告、検察・被告人という対立構造があったり、裁判員裁判において裁判員が関与したりするため、裁判官は、訴訟当事者とのやりとりを通じて争点を確定し、判断を行い、紛争を解決します。上記のような裁判過程においては、人間のさまざまな複雑な高次推論が実行されており、人工知能による支援によって、より正確で迅速な高次推論の実現が可能と考えられます。以上の背景から、上記の三つの過程について、それぞれ以下の基盤技術を用いて高次推論を行って支援するシステムおよび、各過程での争点を議論学を用いて解析するシステムの開発をめざします

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数理モデルと機械学習の統合的手法による次世代無線システムの高信頼実時間制御

 基盤研究(A) 

研究代表者:アーキテクチャ科学研究系教授 計 宇生

超スマート社会の先進的なアプリケーションと知的イノベーションをサポートするためには、情報通信サービス基盤のさらなる高機能・高性能・高信頼化が求められます。この研究では、次世代無線通信システムにおける大容量、高密度な無線接続要求に対応するために、ダイナミックに構成される無線システムの多次元的要素空間における集中/分散型信号処理・資源割当・干渉制御、自律的アクセス制御・移動制御などの問題を数理モデルと機械学習の統合的な手法で解決する方法を検討します。また、資源の時空間的制約を総合的に考慮し、通信・処理・記憶・制御機能をシームレスに連携させ、高信頼実時間処理をエンドエンド間で実現することをめざします。

振動同期を利用した分散合意手法に関する研究

 基盤研究(B) 

研究代表者:情報社会相関研究系教授 佐藤 一郎

自然界の振動系の同期現象(例えば心筋の伸縮周期やホタルの発信周期などの同調)に相当するメカニズムを分散システムに導入して、分散合意を効率化していきます。分散合意はさまざまな分散アルゴリズムの基礎となりますが、複数コンピュータによる合意要求等が重なると、分散合意処理に手戻りが生じ、合意に至るコストが大幅に大きくなるという問題が知られています。一方、分散合意手法がマルチキャスト通信とそれに対する返信を順番に繰り返していることから、自然界の振動系の同期現象と近く、自然界の同期メカニズムを分散システムに導入する方法を提案し、実装・評価を行います。

VRリハビリテーションにおける運動回復プロセスのモデル化とリハビリ戦略の最適化

 新学術領域研究(研究領域提案型) 

研究代表者:情報学プリンシプル研究系准教授 稲邑 哲也

従来の運動機能障害のリハビリテーションは、理学療法士が患者の身体機能の回復状況を推定しながらリハビリの方針を策定するという、主観や経験則の要素が多くありました。この研究は、そのような理学療法士と患者のインタラクションの過程を最適化し、患者個人の状態に応じて最適なリハビリプログラムを提供するシステムの実現をめざします。運動障害がある現状の運動機能の状態Xに対して、リハビリテーションの戦略fを施すことによって、運動機能状態Yに回復させる際のリハビリ過程Y=f(X)をモデル化することを目的とします。これにより効果の高いリハビリテーション戦略の自律的な決定が期待できます。

多文化共生社会を実現するための人流ビッグデータによる情報学と政治学の融合研究

 挑戦的研究(萌芽) 

研究代表者:情報社会相関研究系准教授 水野 貴之

民族等に起因するグローバルなコミュニティ間の排他的問題に関する「情報学と国際政治学との融合研究」を創出します。世界経済に存在するコミュニティが、グローバル化により従来の国・地域単位から国を跨いだ思想や民族単位に変容しています。このコミュニティを的確に捕捉するために、人々のミクロなつながりに関するビッグデータを利用します。グローバルな人々の流れの視点から、情報学のビッグデータ解析技術を国際政治学に導入することで、「実空間で民族が複雑に絡み合う」ような巨大で複雑な社会ネットワークの構造を見える化し、孤立コミュニティを検出、多文化共生社会を実現するために必要な社会ネットワークの是正箇所を指摘します。

大規模CG流体シミュレーション

 若手研究 

研究代表者:コンテンツ科学研究系助教 安東 遼一

八分木格子を用いた空間的な離散精度を動的に変更可能な液体計算の数値シミュレーションを行っています。液体計算は、ナビエ・ストークス方程式と呼ばれる偏微分方程式を解けば解が得られることが知られていますが、移流項という非線形項が含まれており、任意の初期条件・状況条件で解析的に解くことができません。そこで本研究では、ナビエ・ストークス方程式を格子で離散化し、その運動を数値的に解くことで解の近似を行っています。その際、八分木格子を用いることで、計算時間を大幅に短縮しています。

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