NIIについて / About NII

所長の挨拶

kitsuregawa.jpg喜連川 優
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
国立情報学研究所 所長

国立情報学研究所(NII)は日本で唯一の情報学の学術総合研究所として、長期的な視点に立つ基礎研究から社会課題の解決を目指した実践的研究を推進しています。同時に、大学共同利用機関として、学術コミュニティ全体の研究・教育活動に必須となる最先端の学術情報基盤や学術コンテンツ、および、サービスの提供といった事業を展開しています。

研究と事業を両輪として活動に取り組むNIIにとって、全国の大学や研究所を結ぶ「学術情報ネットワーク(Science Information NETwork:SINET)」を「SINET5」として100Gbps(ギガビット毎秒)化したことは大変大きな変革となりました。日本国内の都道府県全てを100Gbpsでつなぎ、世界的に見てパワフルなネットワークを構築できましたことは日本の学術コミュニティにとって極めて意義深いと言えますが、2年を経てSINET5のさらなる強化を目指し、平成30年度には、要望の強いヨーロッパ回線に関して100Gbps化を図ると同時に大西洋からの米国回線の増強を予定しております。加えて、固定網からモバイル網への展開にも着手予定です。これにより多様なIoT研究の発展を支援したいと考える次第です。

平成29年度には、日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受け、日本消化器内視鏡学会、日本病理学会、日本医学放射線学会、日本眼科学会の4医学会と共に、医療画像ビッグデータのクラウド基盤を構築し、医療支援のための画像認識AI技術の開発を推進すべく、医療ビッグデータ研究センターを設立しました。医療画像は今後ますます大容量化することが予見され、そのデータ収集に100Gbps化した超高速ネットワークが大きな役割を果たすことは言うまでもありません。

オープンサイエンスの潮流も大きく加速しつつあり、とりわけ、リサーチデータの取り扱いが大きくクローズアップされてきています。内閣府、文部科学省、日本学術会議による検討が一定程度進みましたことから、NIIは検討の段階から実現の段階と判断し、国際連携を推進しつつ、そのテストベッドの構築を進め、既にいくつかの研究機関と実証実験を開始しました。学術分野は多岐にわたるため、まだ手探り状態ではありますが、まさに「データの時代」となる中で、いち早くそのシステム構築に取り組みたいと考えております。

ネットワークが浸透する中での最大の課題はセキュリティであることは言うまでもありません。NIIでは平成29年度より大学連携に基づく情報セキュリティ体制の基盤構築事業を通し、徐々にその有効性が明らかになってきています。アタックは絶え間なく発生するため、その対応は極めて迅速に行わねばならず、今後も大学と連携して種々改良を重ねてゆく所存です。

NIIでは産学連携の取り組みにも力を入れています。平成28年に「金融スマートデータ研究センター」を三井住友アセットマネジメント株式会社のご支援で、また、「コグニティブ・イノベーションセンター」を日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)のご支援にて設けました。平成30年度にはLINE株式会社と「ロバストインテリジェンス・ソーシャルテクノロジー研究センター」を新設しました。今後一層産学連携を推進し、AIの新たなステージにおいて、企業と共に多様なソリューションの研究・開発に取り組む所存です。

NIIはSINETのような事業と共に、情報学の基礎研究や社会の発展に貢献できるような社会実装を目指した実践的研究も同時に行う、世界的に見ても稀有な機関です。「by IT」はもちろん重要ですが、「of IT」としてのITそのものの基礎研究とのバランスをとりながら機動的な研究体制を強固なものとしていきたいと考えています。平成29年度には、蓮尾一郎准教授が科学技術振興機構(JST)のERATOプロジェクトを推進する中でシステム設計数理国際研究センターを設け、ソフトウェアの基礎研究をNIIとして支援することとしました。基礎研究を重要視する立場は今後も大切にしていきたいと思います。

初心にもどり、「共考共創」(一緒に考え、皆で創る)の気持ちで一層努力してまいります。

NIIの研究と事業への取り組みをご高覧いただき、種々ご意見を頂戴いたしたく存じます。引き続きご支援のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

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