研究 / Research

推進する主なプロジェクト

人工頭脳プロジェクト-ロボットは東大に入れるか

プロジェクトディレクター: 情報社会相関研究系教授 新井紀子

本プロジェクトはNIIが中心となって昭和50年代後半以降細分化された人工知能(AI)の分野を再統合することでAI研究の新たな地平を切り拓こうと、平成23年度(2011年度)に始まりました。大学入試問題は問題文を解析する自然言語処理をはじめ様々な技術が求められる統合的な課題で、点数と偏差値により成果を定量的に評価することが可能なタスクです。こうした特性を持つ大学入試問題にAIが挑戦することで、「AIが人間に取って代わる可能性のある分野は何か」といった問題を考える際の指標となりうるAIの進化の客観的なベンチマークを指し示すことが、本プロジェクトの目的です。

プロジェクトの具体的なベンチマークとしては、平成28年度(2016年度)までに大学入試センター試験で高得点をマークし、平成33年度(2021年度)には東京大学の入試を突破することを目標としています。

平成27年度(2015年度)は大学入試センター試験模試(5教科8科目)で偏差値57.8という好成績を達成。科目別でも、数学ⅠA(偏差値64.0)、数学ⅡB(65.8)、世界史B(66.5)の3科目で偏差値60以上を記録しました。これは、私立大学の441大学1055学部、国公立大学でも33大学39学部で合格可能性80%以上の成績でした。

ERATO河原林巨大グラフプロジェクト

研究統括: 情報学プリンシプル研究系教授 河原林健一

インターネットのウェブ構造や、Facebook、Twitterなどのソーシャルネットワークに代表される巨大なネットワークは、日々10億を超える人々が利用し、情報量の増加はハードウェアの進歩を上回る速さで進んでいます。このため、膨張する巨大なネットワークを飛び交う莫大な情報を実用的な速度で解析できるアルゴリズムの開発が急務となっています。

本プロジェクトは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業・総括実施型研究(Exploratory Research for Advanced Technology: ERATO)に採択された研究プロジェクトで、巨大情報量の解析を伴う社会の諸問題解決の糸口となる数理的基盤を構築することを目指しています。

日々膨張するネットワークを点と辺を結ぶことでできる「巨大なグラフ」(ビッグデータ)として考え、理論計算機科学、離散数学、最適化、機械学習などにおける最先端の数学的理論を駆使して、急速な情報量の増大にも適応し、諸課題の解決に役立つ高速アルゴリズムの開発を行います。また、この研究活動を通じて数理基礎研究の有用性を社会に訴えるとともに、日本全国の優れた若手人材を結集し、多方面で活躍できる基礎力のある人材の育成にも取り組みます。

ソーシャル・サイバーフィジカルシステムプロジェクト(CPS)

研究代表者: NII副所長・コンテンツ科学研究系教授 安達淳

実世界で機能する物理システム(フィジカル)と、多様なセンサーを通じて実世界から獲得したデータの蓄積や分析を行う情報システム(サイバー)が連携し、データ分析結果にもとづき実世界へのフィードバックを行うことで、社会システムやサービスの更なる効率化や新たな価値の創出につなげる社会規模の「サイバーフィジカル・システム(Cyber Physical System: CPS)」の研究に、大学や産業界と連携しながら取り組んでいます。

平成24年(2012年)から文部科学省委託研究の「社会システム・サービスの最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤研究」の一環として、実世界がもたらす大規模CPSデータの管理・処理基盤や可視化方式の検討を行っています。共同研究パートナーである国立大学法人 北海道大学、同 大阪大学、同 九州大学と連携して、新たなIT統合基盤の実証的な検証を進めています。

また、平成26年(2014年)からは内閣府が推進する「戦略的イノベーション推進プログラム(SIP)」の課題の一つである「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」に参画し、土木系研究者とも協調して、橋梁などのインフラに関するセンシングデータの統合的なマネジメント基盤の提供を通じて情報技術による社会への具体的貢献も目指しています。

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