研究 / Research
情報社会相関研究系
研究紹介
電子商取引を促進する社会制度を求めて
私は電子商取引の消費者行動に関する公共政策と、大学などのセキュリティー・ポリシーについて研究しています。
インターネットが普及し、遠く離れた人たち、場合によっては異なる国の人同士が簡単に商取引ができるようになりました。これは日本の法律、例えば民法からするとまったくの想定外でした。このような想定外の事柄には、現行法の柔軟な解釈で対応していくか、新しく法律を作ることが求められます。新しく法律を作る場合、既存の国内法だけではなく、海外の法体系とも整合性のあるルールが必要です。
電子商取引に対する内外の消費者行動の違いを調査
そのためにまず、日中韓での電子商取引や電子マネーに関する動きについての調査をしています。2006 年初頭に日本と中国でインターネットによる利用者調査を実施して、それぞれの国でネット利用者が感じているリスクと利便性の違いを分析しました。
中国では、品質の良い製品を購入するため、他の購買者が書き込んだ評判を良く読んでいることや、日本の消費者は特定のショップで特典ポイントを貯めようとする傾向があることなどが明らかとなりました。2007 年初頭に韓国で同様の調査をしたところ、オンライン・ショッピングのリピート率が高いことがわかりました。今後は、調査対象国をさらに拡大しながら、これまで光の当たらなかったインターネットの利用者側の行動パターンを解明していきたいと考えています。
高等教育機関向けのセキュリティー・ポリシーを提案
セキュリティーに関する研究の一環として、大学などの情報セキュリティー・ポリシーの策定に関する作業部会に副主査として参加しました。2007 年2 月26 日に共同研究の成果がまとまり、「高等教育機関の情報セキュリティー対策のためのサンプル規程集」として国立情報学研究所のホームページで公表しました。
安全・安心な最先端学術基盤の構築には、全国の大学などの情報セキュリティー問題への効果的な対応が必須です。今回策定した情報セキュリティー・ポリシー規程集を活用することにより、各大学における高水準のセキュリティー・ポリシーの効率的な策定が可能となります。 大学での研究と教育を支える、バランスのとれた情報セキュリティー対策を提案するために、これからも各大学などの専門家の皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。