研究背景・目的
2008年に登場した分散型仮想通貨の技術は、インターネットを流通するデファクトの通貨として世界中で利用されています。
分散型仮想通貨は、これまでの電子決済では不可欠とされてきた信頼できる第三者機関の設置を必要としません。代わりに、P2Pネットワークの参加ノードが記録の正当性を検証する、ブロックチェイン技術によって支えられています。
ブロックチェイン技術は、仮想通貨のような決済の用途に限らず、ある出来事が起こったことを不可逆的に記録する仕組みとして、インターネット取引のあらゆる場面に応用できます。
国際的な企業グループ間における契約関係の記録や、IoTにおける機器間コントラクトの証明など、ブロックチェイン技術は無限の応用可能性を秘めています。
ブロックチェインの実用化には、消費者の技術受容や法制度の整備など、社会的課題を解決する必要があります。
- 岡田仁志・高橋郁夫・山﨑重一郎【2015年】『仮想通貨』(東洋経済新報社)
研究内容
ブロックチェインを応用すると、地域内で流通する電子マネーや商店街のポイントなどを軽量に設計することができます。
ブロックチェインの動作可能性を検証するため、国産のRuby言語を用いてプログラムを実装している研究者コミュニティと共同して、ブロックチェイン電子マネーの試験的システムを構築し、研究室環境において流通実験を行っています。
従来の電子マネーと比べて、ブロックチェインで構築した電子マネーは人から人へと転々流通する汎用性と、特定のデバイスに依存することなくインターネットで接続された誰にでも支払うことのできる普遍性を兼ね備えています。
ブロックチェイン電子マネーの特性である汎用性と普遍性は、全ての取引をインターネットにつなげて、経済を可視化する可能性を有します。
仮想通貨の技術・制度・法律に関する諸問題を学際的に分析する共同研究ネットワークを構築して、ブロックチェインを経済社会に応用する可能性と課題について検証しています。
産業応用の可能性
- ブロックチェイン技術を応用したインターネット向け電子マネー
- スマートフォンで動作する普遍性・汎用性の高いモバイル電子マネー
- コミュニティ内で可視的に流通するブロックチェイン応用型の電子マネー
連絡先
岡田 仁志[情報社会相関研究系 准教授]
okada[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください