イベント / EVENT

2019年度 第2回 リポート

池畑助教が3Dセンシング研究の最先端を紹介

 第2回は、9月10日(火)に開催し、コンテンツ科学研究系 池畑 諭 助教が「驚き!3Dセンシング -進化するコンピュータの眼-」と題し講義しました。

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 3Dセンシング技術の基礎や身の回りの応用例、深層学習(ディープラーニング)と組み合わせた最先端の3Dセンシング手法などを紹介しました。

 3D地図や不動産物件の3次元情報、AR・VRを使ったゲームなど、3Dセンシング技術は、近年身近なものになってきています。池畑助教は、3Dセンシングとは、「センサー」と「情報処理技術」を用いて、人のように世界を3次元で知覚する技術であると説明しました。

 では、人はどうやって3次元を知覚しているのでしょうか。人は、網膜網に投影される2次元の情報から、さまざまな手がかりを用いて3次元の立体的な画像に変換し、物体や空間の3次元を知覚しています。この手がかりは、片目の網膜像で得ることができる線遠近法や視野内の高さ、ぼけ、模様、反射、相対的大きさといった単眼手がかりと、左右両眼の網膜象の差異を用いる両眼手がかりがあり、これらを統合して奥行きを認識しています。池畑助教は、この知覚プロセスを言語化することが3Dコンピュータビジョンであると説明しました。

 池畑助教は、これまでの研究事例として、左右2台のカメラで撮影した2枚の画像の各部についてマッチングを行うことで視差を推定する手法「ステレオマッチング」を紹介。近年は、それぞれの画素だけを見る局所的なパターンマッチングから、全ての画素の視差を同時に推定する大域的な最適化へ、さらにはデータ駆動型の深層学習へ移ってきており、自動運転やロボットへの応用が加速している、と話しました。

また、1台のカメラでさまざまな角度から光を当てた対象物を撮影し、1つの対象物の多数の陰影パターンを元に3次元復元していく「フォトメトリックステレオ」を紹介。自身の研究成果として、汎用的材質に対するフォトメトリックステレオや、全陰影画像を1枚の画像に集約し、その集約された画像を深層学習させるフォトメトリックステレオの手法について説明しました。

そのほか、池畑助教は、自身の研究成果の応用例として、部屋の複数箇所で撮影した写真をもとに3次元復元する独自の手法を用いて、3次元モデルに意味的情報を与え、CADとの連携も可能な物件情報をつくることに成功したことを紹介しました。

池畑助教は、「人は高度の認識に基づき、物体の裏側など見えないものも3次元で知覚することができます。コンピュータビジョンが人間を超えて進化していくためには、独立して研究されてきた知見を集約していく必要があります」と話し、講義を締めくくりました。

次回は、11月7日、アーキテクチャ科学研究系 蓮尾 一郎 准教授が「理論計算機科学入門 有限と無限のあいだ -数学的理論から、AI・自動運転-」と題し講義します。

詳細、お申し込みは、以下のウェブサイトよりお願いします。
https://www.nii.ac.jp/event/shimin/
多くの方々のご参加をお待ちしております!

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