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平成26年度 第1回 Q&A

第1回 2014年6月26日(木)

ビットコインとはなんだったのか
岡田 仁志 (国立情報学研究所 情報社会相関研究系 准教授)

講演当日に頂いたご質問への回答(全57件)

※回答が可能な質問のみ掲載しています。

最初の通貨を発行したのは誰ですか?

2009年1月3日に最初の「ブロック」が生成され、最初の50BTC(ビー・ティー・シー)が発行されました。この「0番目のブロック」は、ジェネシス・ブロック(創世記のブロック)と呼ばれています。創世記のブロックを作成したのは、原著論文を書いた「Satoshi Nakamoto」であると考えられていますが、ビットコインの創世記は全てが謎に包まれており、正確なことはわかっていません。

我が国における所管官庁はあるのですか?

今のところ所轄官庁はありません。政府与党の方針によれば、ビットコイン関連事業者が自主的に業界団体を設立して、関係省庁が業界団体に対して助言を与えたり、業界団体からの相談を受ける体制が望ましいとされています。国税庁、消費者庁、金融庁、経済産業省、総務省、警察庁など、複数の官庁が助言を与えるものと期待されています。ただし、ビットコインを規制する法律はなく、従って法律を所管する官庁が存在するわけではないので、業界団体に対する助言と相談に止まることに注意が必要です。

ATCは誰が運用しているのでしょうか?(ATMに訂正)

ATMは複数の会社が運用しています。ビットコインなどの仮想通貨に関連したビジネスを日本で展開しようとするベンチャー企業、ビットコインをレストランでの支払いに使えるようにする専用のレジスターを開発している企業などが参入しています。海外でビットコインATMを運用している企業も日本に参入しています。

ATMは誰が管理するのですか?入れた現金はどこへ行くのですか?

ATMを管理している運営会社が、定期的に設置店舗を訪問して、ATMの中にある現金を回収し、または現金を補充します。ビットコインを現金に交換したい人がATMを利用すると、ATMの中の日本円の現金は減ります。現金でビットコインを購入したい人がATMを利用すると、ATMの中の日本円の現金は増えます。ATMの中の日本円の紙幣が増えると、ATMを管理する会社が現金を回収して、ATMの中の現金があふれないように調節します。

ビットコインをATMで換金(現金で購入)した場合、その現金は、交換所の手数料を別にして誰の資産となるのですか?

ATMを管理している運営会社の売り上げに計上されます。この会社は、ビットコインという取扱商品を、日本円建てで販売したことになります。

ビットコインの価額が変動するのはなぜですか?

ビットコインの値段が中長期的に上がると思う人が多ければ、ビットコインに対する需要が供給を上回り、価格は上昇します。ビットコインの値段が中長期的に下がると思う人が多ければ、ビットコインに対する需要が供給を下回り、価格は下落します。ビットコインは規制を受けていないので、価格変動幅を一定範囲に収めるような仕組みがありません。このため、需要が供給をはるかに上回って価格が急騰することもありますし、需要が供給をはるかに下回って急落することもあります。

ビットコインとリアルな通貨との対価価値は、どの様に決まるのですか?

ビットコインには公定レートや公認取引所がありません。ネットオークションのように、売りたい人、買いたい人が、それぞれ条件を提示して、売り買いの相手が見つかるのを待ちます。高い値段で売りたい人、高くても構わないので買いたい人の意思が合致すれば、高いレートで取引が成立します。安くても構わないので売りたい人、安ければ買いたい人の意思が合致すれば、低いレートで取引が成立します。このように、売り買いのレートは個々の取引ごとにばらつきがあります。

交換レートは誰が決めているのでしょうか?

質問7の回答をご参照ください。ビットコインには交換レートを決定する管理者が存在しませんので、売りたい人と買いたい人の自由な価格形成によってレートが決定されます。このように、何事にも管理者が存在せず、主語を明記できないことがビットコインの特徴です。

ビットコインと実価との交換レートは誰が決めるのですか?

質問7・質問8の回答をご参照ください。

手数料は誰がもらいますか?

取引きの手数料は、その取引を含む数百件の取引をまとめてブロックを作成することに成功した「採掘者」が受け取ります。採掘に成功した際に得られるビットコイン(現在は25BTC)に、数百件分の手数料の合計額が加算されて、これらをまとめて採掘者が受け取ります。

ビットコインの取引手数料はどこにいくのですか?(ソフトウエアデバックの人件費?、採掘者への報酬?)(理論上は、手数料がなくとも成りたつものなのか)

質問10の回答をご参照ください。取引の手数料は採掘者が受け取ります。採掘者は数百件の取引をまとめてブロックを作成することに成功すると、報酬としてビットインを受け取りますので、取引手数料が0円であっても、ビットコインのエコシステムは成り立ちます。なお、送金額が一定額以上で、データ量が一定量以下という基準をみたす取引は、手数料を0円に設定することができます。

送金手数料などの手数料は、誰が受け取るのですか?

質問9・質問10の回答をご参照ください。ビットコインの取引手数料は、ブロックを作成した採掘者が受け取ります。なお、ビットコインの仕組みとは別に、特定のウォレットアプリや送金支援サービスを利用している場合には、ウォレットアプリの運営者や送金を支援するサードパーティーが、別途、アプリ利用料やサービス利用料を付すことがありえます。

海外送金の手数料が安いというお話しでしたが、店頭でのビットコイン支払時も手数料が必要ですか?海外送金と普通の支払いの区別があるのでしょうか。

店頭でビットコインを支払える場所はまだ限られていますが、顧客のスマートフォンから店舗のスマートフォンに送金するような場合は、友人間で送金する場合と同じように、ビットコインの既定の取引手数料だけが必要です。国内送金と海外送金とで、手数料の違いはありません。店舗での支払用に、専用の支払い装置を設置する場合もありますが、この場合には、装置を設置した会社に支払う手数料が加算されることがあります。

海外送金手数料は誰が受け取りますか? 店頭支払でも送金手数料はかかりますか? 店頭支払で、送金が完了するまでに要する時間は?

質問13の回答をご参照ください。海外送金と国内送金で手数料に違いはありませんが、現在の国際銀行間送金、国内銀行間送金の手数料と比較すると、ビットコインを海外送金に利用した場合の手数料の低さが相対的に強調されます。ビットコインの既定の手数料は、海外と国内の送金で違いはなく、店頭支払でも手数料は同じです。送金が完了するまでには、平均して10分程度の時間がかかります。店頭での支払で、専用の支払い装置を導入している例がありますが、一部のサービスでは、装置を設置して運用する会社が、即時に支払を完了させます。そうすると、取引が完了するまでの10分の間にビットコインの取引が未承認のまま取り消しになるリスクがありますが、装置を設置する会社がこのリスクを負担します。その代わり、利用者または設置店舗は、運営会社にサービス利用料を支払います。

運営会社が存在しないビットコインを入手する際に、ATMや交換所に投じた現金は、どこに回収され、誰の利益になるのですか?

質問4・質問5の回答をご参照ください。ビットコインには運営会社が存在しませんが、ビットコインを入手しやすくするためにATMや交換所を経営する会社が存在します。ATMを利用して日本円をビットコインに両替した場合や、交換所を利用して日本円をビットコインに両替した場合には、受け取った日本円はATMや交換所を経営する会社の売り上げになります。

報酬が支払われ続けるとインフレが起こるのではないですか?

ブロックを作成するごとに報酬を支払い続けるとインフレが起こりますので、ビットコインの仕組みとして、支払われる報酬が一定期間ごとに半減するルールがあらかじめ設定されています。ビットコインがスタートしてから210,000個目までのブロックを作成した人には、報酬として50BTCが支払われていました。報酬は210,000ブロックごとに半減するルールになっており、現在の報酬は25BTCです。420,001個目に達すると、再び半減して報酬は12.5BTCになります。その後も、210,000個目ごとに半減して、2140年頃には報酬が0円となる見込みです。

採掘者が25万Bitを受けとるのであれば、流通量は増え続けるのでしょうか?

質問16の回答をご参照ください。この講座の開催日には、およそ310,000個目のブロックが作成されており、報酬は25BTCです。報酬は210,000個ごとに半減します。420,001個目のブロックを作成した人から、630,000個目のブロックを作成した人までは、12.5BTCの報酬を受け取ります。このように、一定期間ごとに発行量が半減することによって、インフレの発生を抑制する仕組みの概要については、Satoshi Nakamotoの原著論文に書かれています。

計算の労力に25ビットコイン 支払われるなら、インフレしませんか?

質問15・質問16の回答をご参照ください。

ATMや交換所が無制限にビットコインを発行した場合、ネット上でのインフレが起こるのではないでしょうか?ビットコインの流通量が、規制されることがあるのでしょうか?

質問15・質問16の回答をご参照ください。ビットコインは、ブロックを作成した採掘者に対する報酬として発行されます。すなわち、ビットコインを発行する主体というのは存在せず、採掘者がブロックを作成した瞬間に、報酬としての25BTCが「発生する」というルールです。あらかじめ決められたビットコインのルールに従って、自動的に「発行される」というルールであり、誰かが発行するわけではありません。ビットコインの全ての出来事は、あらかじめプログラムされたルールに従って、自動的に起こっていきます。ビットコインを利用する人は、このプログラムの設定したルールに従うことを受け入れたとみなされます。そこには、ビットコインを管理する特定の管理者の意思が介在しません。このように、人の意思を排除することが、ビットコインの創設の目的です。ところで、ATMはすでに流通しているビットコインと日本円を両替する機械ですが、ビットコインを発行するわけではありません。同じように、交換所もすでに流通しているビットコインと日本円を両替する場所です。

金本位制のように、ビットコインの総流通額は、人々がATMなどに入れたキャッシュに相当する額と同じですか?

質問15・質問16・質問17の回答をご参照ください。ビットコインの発行量(=採掘報酬)は、Block #1から Block #210,000までを採掘した人には50BTC、Block #210,001からBlock #420,000までを採掘した人には25BTCです。以下、210,000ブロックごとに、採掘報酬(=発行量)は半減します。総発行量(=総報酬量)を計算すると、次のようになります。
210,000×50 BTC=10,500,000 BTC (Block #1からBlock #210,000までを採掘した人が得た報酬の合計)
210,000×25 BTC= 5,250,000 BTC (Block #210,001からBlock #420,000までを採掘した人が得た報酬の合計)
以下、同様に、
210,000×12.5 BTC=2,625,000 BTC
210,000×6.25 BTC=1,312,500 BTC
210,000×3.125 BTC=656,250 BTC
210,000×1.5625 BTC=328,125 BTC
・・・
と、続きます。このまま無限に続きそうですが、最後のブロックはBlock #6,929,999と決められています。こうして発行されるビットコインの総量は、20,9999,9999.9769 BTCほどになります。およそ、2100万BTC足らずです。このように、採掘量(=発行量)が漸減していくカーブが、金本位制に似ていると説明されています。
ATMとの関係については、質問19の回答をご参照ください。ATMや交換所は、すでに採掘されて流通しているビットコインを法定通貨と両替する場所です。

採掘する人は誰なのですか?どういう人がなるのですか?

ビットコインの採掘は、誰でも参加することができます。原著論文の構想では、全ての参加者がいつでも採掘に参加できる前提でしたので、お財布ソフト(ウォレット)には採掘のための計算を行う機能がついていました。ところが、現在では、世界的な採掘計算の競争の難易度が飛躍的に高まっており、市販されているコンピュータの計算能力では、到底、計算競争に勝てない状況になっています。このため、採掘者と呼ばれる職業の人たちは、ビットコインの採掘計算のために最適化された専用のマシンを大量に設置して、計算工場のような環境で採掘を行っています。日本にも、採掘を営んでいる人が存在します。日本で採掘を行っている人は、地方でシステム構築会社を営んでいる人や、仮想通貨に関心を持っている人など、さまざまな人たちです。

「計算」って、どんな計算ですか?(採掘作業とは、具体的にどのような作業なのですか?)

計算の内容はそれほど難しい問題ではないのですが、何をどのように計算するのかという手順は、とても複雑です。下記のページで、採掘作業の内容を簡単に説明していますので、ご参照ください。
『ビットコインはどうやって作り出される?』
http://news.mynavi.jp/articles/2014/04/17/bitcoinokada/001.html
(マイナビニュース・インタビュー、「ビットコイン」って、何ですか?)

計算?何をどうの単位(時間)で計算をするのか不明です。「ミトドケルとは?」なにをもって正しいと分かるのですか?ブロックの単位ですか? ブロックとは何ですか?

計算については、質問22の回答をご参照ください。「ミトドケル」とは、採掘競争に参加している他の採掘者たちが、新しく作成されたブロックを検証して、少なくとも論理的な間違いが存在しないことを確認する過程のことを指します。新しくブロックが作成されると、25BTCのビットコインが新たに発行されますが、この新しいビットコインは、すぐに流通するわけではありません。およそ10分後に次のブロックが作成され、また10分後に次のブロックが作成されるという作業が、100回繰り返されてから、ようやく流通可能な状態に置かれます。これは、次のブロックを作成したときに、前のブロックの論理的な間違いが見つかる可能性があるためです。平均して10分ごとにブロックが作成されますから、100ブロックを作成するまでには、およそ1000分(16時間40分)ほどかかります。

「計算競争」(採掘)は、確率的で、アルゴリズムは無いのでしょうか?
正解を偽造する問題のクラスは何ですか?(P or NP等)

暗号学的ハッシュ関数という計算でアルゴリズムが存在します。同じ入力を入れると正確に同じ結果が出てくる計算です。「正解」というのは、この関数の計算結果がある数指定された数よりも小さいということです。暗号学的ハッシュ関数の結果を「こうしたい」という意図をもって対応する入力を推定する方法を、暗号学では「原像攻撃」といいます。ビットコインで利用されている SHA-256という暗号学的ハッシュ関数は現在のところ原像攻撃に成功したという報告がないので安全と考えられています。このため、正解を得るためには、しらみつぶしに入力を試してみるしか手段がなく、正解は確率的に得られます。

採掘してブロックをつくると報酬が得られるといいますが、それが職業として成り立ちますか。年収として最大いくらになりますか。

計算の難易度については、質問24の回答をご参照ください。計算競争に勝つためには、平均10分以内で正解を見つけなければならないので、この計算を10分間で数十万回程度行うことができる、相当に大規模な計算量を持つ人でなければ、採掘には参加しないほうがよいと考えられています。採掘という作業が職業として成り立つためには、世界的な計算競争に勝てるだけの大規模な計算設備に投資するコストと、電気料金や設備賃貸料などのランニングコストの合計よりも、採掘で得られるビットコインの時価総額が上回る必要があります。北米や欧州などに、大規模な採掘業者が存在するらしいと思われていますが、仮に、こうした最大規模の採掘業者が数億円規模の投資を行っている場合には、これに相当する額の投資を行わなければ同等の頻度で計算競争に勝利することはできないので、結論として、個人で参加することは避けたほうがよいと思われます。

ブロックを作り上げるための取引の集合は、採掘者が自由に集められるのでしょうか。ある取引が複数の採掘者によって取り合いになる、または、複数のブロックに含まれたりしないのでしょうか。そういった取引の取引を調整する手段はあるのでしょうか?

ご質問の通りです。ブロックを作り上げるための取引の集合は、採掘者が自由に集めることができます。ある取引が複数の採掘者によって取り合いになった場合には、計算競争に勝利して先に作成されたブロックだけに取り込まれ、同じ取引を取り込もうとした作成中の他のブロックは不成立となります。他の採掘者たちは、まだ取り込まれていないブロックを再び集め直して、改めて計算競争に参加することになります。このとき、不成立になったブロックの計算に費やされた資源は、すべて無駄に消費されたことになります。こうした計算の重複を調整する手段は、ビットコインにはありませんが、新しく提案されている仮想通貨の中には、総当り方式をトーナメント方式に変更するなどして、計算の重複を減らす仕組みが実装されているものもあります。

採掘者の使う端末は、最低でもどの程度の演算能力が必要なのでしょうか?
ネットワークの通信速度やサーバーの設置場所にも影響をうけるのですか?

演算能力については、質問25の回答をご参照ください。一定時間内の演算回数がもっとも重要な要素であり、ネットワークの通信速度には、ほとんど影響を受けません。サーバの設置場所については、演算を行うことで計算機が熱を発生させますので、これを冷却することができる環境が有利であるとされています。欧州のある採掘業者は、水力発電所の副業として経営しており、電力の卸料金が安い時には仮想通貨の採掘のために電力を消費し、電力の卸料金が高い時には送電会社に売却するそうです。仮に、この採掘業者が計算機の水冷装置を構築すれば、さらに有利な条件で、かつ資源の消費を最小限に抑えながら採掘を行うことができるでしょう。

ミトドクターが承認するのは、どのように実現するのでしょうか?採掘者が計算して、膨大な時間がかかるのに、ミトドクターは、簡単に確認・検証できるのはどうしてでしょうか?

「ミトドケル」検証者は、採掘者が送ってきた「発見された数」を暗号学的ハッシュ関数(※)に入れて計算してみます。すると、この計算はたった1回のハッシュ関数の計算だけなので瞬時に計算結果が得られます。そしてその数がある基準の数よりも小さいかどうかすぐに確かめることができます。これが「ミトドケル」行為の1番目です。検証者は、さらにブロック内のすべての取引履歴に付けられている電子署名の検証や入出金の金額の整合性などを検証します。この計算は少し大変ですが、マイニングに比べればなんでもない量の計算です。
(※)暗号学的ハッシュ関数については、下記のページをご覧ください。
『ビットコインはどうやって作り出される?』
http://news.mynavi.jp/articles/2014/04/17/bitcoinokada/001.html
(マイナビニュース・インタビュー、「ビットコイン」って、何ですか?)

強固なシステムにみえるが、破たん(=信用がなくなる)としたらどんな時が考えられますか?(規制、脆弱性の発見による信頼の急低下。他の電子通貨の台頭。)とくに21××年に貨幣供給が止まるとWebページでみましたが、(勘違いかもしれません)その時何が起こると考えられますか?(それともそこまでに地位を確立すれば、現実の貨幣がなんらかの潤滑油となって安定稼働するでしょうか?)

貨幣供給が2140年頃に終了するように設定されているというのは事実です。ビットコインを新たに供給するブロックの作成は、#6,929,999が最後となります。ブロックは平均して10分間に一つ作成されますから、ビットコインの歴史が始まってから、69,299,990分(およそ1,154,999.833時間=およそ48125日=およそ131.85年)で発行が終了します。その先は、採掘者のインセンティブとなるビットコインの報酬が0 BTCになるので、ブロックを作る理由がなくなることが懸念されています。しかし、採掘者は取引手数料を報酬と同時に受け取る仕組みになっているので、取引手数料を高く設定することによって、エコシステムが維持できると考えられています。

ビットコインは総発行額の上限がある。つまり(相対的に)マネタリーベースの拡大ペースが極めてゆるやかな通貨。これが本格的な普及の足かせになると言われている。(分割で対応すると、ビットコインの増加が必須となる。)このような観点からの解説をお願いします。

発行ペースについては、質問20・質問29の回答をご参照ください。ご質問の通りで、ビットコインの拡大ペースは漸減するように設定されています。しかし、仮想通貨がインターネットの主要通貨の一つになるような経済状況になった場合を想定すると、実体経済に必要とされる仮想通貨の量というのは、経済規模に応じて設定されるべきものであって、2140年までの通貨供給量が漸減するという大まかな設定と一致するとは考えられません。このとき、BTCという単位を10億分の1、100億分の1まで分割するなどして、一方で、1BTCの価格が現在の100倍、10000倍と上昇すれば、実体経済の拡大に追いつくことができるという反論もあります。しかし、ごく一部の所有者が大半のビットコインを寡占している現状において、ビットコインの価格が極端に上昇するということは、仮想通貨の偏在化をもたらすため、通貨としての公平性に反するという問題が生じます。

採掘がおわりに近づくと、送金手数量が検証のインセンティブになると理解しているが、それでセキュリティを担保しきれるでしょうか。

質問29の回答をご参照ください。ビットコインの採掘で得られる利益が大きい段階では、採掘競争に参加するインセンティブが働くので、多くの採掘者が競争的に計算を行っており、そのことが間違いを防ぐことに貢献しています。ところが、採掘が終わりに近づくにつれて、採掘で得られる利益が小さくなるので、計算競争に参加するインセンティブは低下します。すると、ブロックが正しく作成されていることを確認する計算者の数も減少することになりますから、相対的にみて現在よりもセキュリティ担保のための計算に参加する採掘者の数は減少するかもしれません。しかし、ブロックの作成に最低限必要とされている手順に変更があるわけではないので、現在よりもセキュリティが低下することを意味するわけではありません。

BTC利用者の各々のPCに、BTC全員分の大福帳があるのですか?

ご質問の通りです。ビットコインのお財布ソフト(ウォレットアプリケーション)をインストールしているPCユーザの全員が、ビットコインの創設以来、現在に至るまでの、およそ310,000個のブロック、言い換えれば310,000冊分の大福帳の束を、自分のPCで保管していることになります。ビットコイン創設以来の全ての取引の記録が、いずれかのブロックの一部になっていますから、全員が全員の取引の断片を記録していることになります。しかし、310,000冊分のデータ量は相当に大きいので、データを軽量化して、間違いを検証するために必要な部分だけを残す、いわば枝刈りの作業を行う仕組みになっています。

ビットコイン⇒現地通貨に変える事は可能なのですか?

ビットコインを海外の利用者に送金して、受取人が現地の交換所またはATMを見つければ、その国の通貨に両替することができます。日本でビットコインを保有している人が、海外に旅行した際に、保有するビットコインを現地の通貨に両替する場合も同じです。ビットコインの交換所やATMが存在する国と、今のところ存在しない国とがありますので、渡航先によります。ビットコインの利用を禁止している国には、交換所やATMは存在しません。

ビットコインを円貨に換金できますか?

ビットコインから日本円への両替を行う交換所またはATMが見つかれば、その提示するレートで、ビットコインを円貨に交換することができます。ただし、ビットコインが必ず日本円に交換できることが保証されているわけではなく、日本円に交換しようとするビットコインの分量と、交換所またはATMの提示する交換レートが折り合い、その他の契約条件の全条項をみたして、実際に取引が成立した場合に限られます。なお、一部のATMは、紙幣をビットコインに両替することはできますが、ビットコインを紙幣に戻すことはできない設定になっています。

ビットコインを実通貨へと交換するのは、保証されているのでしょうか。保証されていなければゲームで利用するコインと同じと考えるのでしょうか。

質問34の回答をご参照ください。ビットコインは規制で保護されている金融商品や外貨ではありませんので、何事も一切保証されていません。ビットコインを日本円や外国通貨などに交換することは、交換所またはATMなどで取引が成立した場合には可能ですが、交換可能性が保証されているわけではないことに注意が必要です。広義の仮想通貨は3つに分類することができます。(1)法定通貨で購入することも法定通貨に交換することもできる双方向型、(2)法定通貨で購入できるが法定通貨に交換することができない一方向型、(3)法定通貨で購入することも交換することもできない閉鎖型に分類されます。ビットコインは、原則として双方向型として流通しているようですが、法定通貨に交換する取引が成立する保証はないという意味においては、一方向型に近いともいえます。ゲーム通貨などは、原則として閉鎖型として流通しているものが多いようです。

マネーロンダリング、悪用されるリスクはないですか?

ビットコインのアカウントは匿名で設定できるため、マネーロンダリングなどの犯罪目的に悪用されるリスクがあります。アメリカでは連邦政府機関のFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)が、マネーロンダリングを防止するためのルールをビットコインにも適用して取り締まりを行っています。日本においても、事業者の自主的な取り組みとして、利用者登録の際には本人確認を徹底するなど、マネーロンダリング対策のための自主ルールを制定して、これを遵守することが期待されます。

日本国内送受の場合、クレジットカードで安全であるのに、何故ビットコインを使うのですか?国外取引の場合、コストと安全性のバランスは如何ですか?脱税や不正取引を助長するコストでは?

日本国内での電子的な支払い方法としては、クレジットカードや電子マネーなどの安全で簡易な方法が揃っていますから、今のところ、あえてビットコインを利用すべき理由はありません。個人間での送金にも、銀行振込などの安全な方法が存在します。しかし、世界には銀行口座を持たない多くの人がいます。発展途上国においては、携帯電話だけで銀行送金の役割を果たすビットコインは、現金の持参輸送に代わる手段として注目されています。脱税や不正取引のリスクについては、質問36の回答をご参照ください。

ビットコインは、国家の信用の裏づけのない通貨といわれていて、暗号化することがその価値の信用になっていると思っています。電子化された暗号というものは、国家・政府による信用に変わりうるあるいは、同程度の役割を果たすことができるのでしょうか。

ビットコイン創設の目的の一つは、信頼できる第三者機関を置くことなしに、すわなち、国家や既存の権威による信用の裏付けなしに、通貨を発行して流通させることです。歴史的にみると、国家の発行した通貨よりも、他国で過去に発行された通貨のほうが流通した例があり、通貨の価値の源泉は国家の権威であるとは限りません。ビットコインの価値を支えているのは、暗号の不可逆性によって正しさを担保する仕組みです。国家の権威よりも暗号に価値の源泉を置くという仮想通貨の発想は、国家や政府の権威によって維持されてきた信用のあり方に一石を投じるものですが、今のところ、既存のシステムに置き換わるまでの影響は見られません。

なぜ一部の海外では、ビットコインが普及しているのでしょうか?普及している国に何か特徴がありますか?
使用している国では、日本のような問題はおきていないのですか?

ビットコインが普及している国は、北米ではアメリカ、カナダ、アジアでは香港、シンガポール、さらに欧州諸国とオーストラリアなどです。これらの国に共通点があるわけではないのですが、カナダ、香港、シンガポール、オーストラリア、およびアフリカのケニア、中米のバルバドスなど、歴史的に英国との関連の深い国々では、比較的にビットコインの利用や関連事業者に対して寛容であるようです。これらの国々でも規制の方針については検討中であると思われますが、当事者の責任においてビットコインの利用自体は認められているようです。

Mt.Goxの事件は、世界的にインパクトを与えたのですか?日本だけの話題で終わったのですか?

Mt.Goxの利用者は日本および海外に分布していましたが、日本の利用者は全体の一割にも充たなかったと見られており、多くの利用者は海外に居住する人々でした。このため、日本で破たんした会社の影響が海外に及ぶ事態が発生しました。日本における民事再生手続きの申請とは別に、利用者が多かったアメリカにおいては連邦破産法の適用が申請されるました。その結果、日本の裁判所とアメリカの裁判所において、一つの企業群の破たん処理が別個に進められるという、あまり前例のない錯綜した状況が生じています。Mt.Goxの破たんは海外でも報道されていますが、取引所1社の破たんであって仮想通貨には影響がないとする見方もあり、日本におけるほど大きなインパクトは与えていないように見受けられます。

通貨の価値の裏づけとなるものは何になりますか? Mt.Goxの破綻理由はどういったものですか?仮想通貨の流通のみを請け負う業者であれば、破綻する理由はないと思います。実際の運用としては、脱税の温床になると思われますが、実態はどうなのですか?

仮想通貨の価値の裏付けとなるのは、利用者全員が仮想通貨には価値があると信じているという事実です。あるコミュニティを構成する全員が価値があるものと信じているから、価値があるものとして流通するという、いわば循環論法に支えられています。電子マネーが日本円を100%の引き当てとするのに対して、仮想通貨には法定通貨の裏付けが一切ないことを意味します。Mt.Goxが破たんした理由は、現時点では公表されておらず不明ですが、ご質問の通り、単なる両替所が破たんしても仮想通貨の信用に影響を及ぼすことはありません。Mt.Goxは、両替所の業務のほかに、顧客から仮想通貨を預かるサービスを行っていたため、多額の仮想通貨が失われて大きな問題となりました。なお、脱税の温床となるリスクについては、質問36の回答をご参照ください。

朝日新聞のアルゼンチンの意見広告のように、各国の通貨も免税制度に則っていない現状では、むしろ仮想通貨の方がリスクが少ないと言えないでしょうか?マウントゴックスが破綻してもビットコインは生きていることを考えると国際に左右されないだけ安全でしょうか?

アルゼンチン国債の償還期限について、アメリカの投資顧問会社が優先的な弁済を受ける権利があると主張したのに反発して、アルゼンチン政府は主要国の代表的な新聞誌面に広告を出しました。全ての債権者を公平に扱うべきであること、債務放棄に応じるほうが全体としての償還額も増えることを主張しています。このように、法定通貨が破たんした際のルールについても、国際的にみて一意的なルールが存在するわけではないことを根拠として、ビットコインのような仮想通貨だけがリスクを抱えているわけではなく、むしろ、国際情勢や国家間の交渉に左右されない強固な通貨であるとする見方もあります。こうした見方の当否については意見が分かれるところですが、キプロスの財政破たんを受けて資産をビットコインに避難させた人々は、おそらくこうした考えを支持する人であろうと思われます。

数ヶ所の記録が改ざんされたり、失われたりしたらどうなるのですか?

ビットコインの全ての取引記録は、ただ一つのブロックチェーン(ブロックすなわち大福帳を何冊も束ねた大きなデータの塊)として、参加者全員に共有されています。このデータは、特定の一箇所または数箇所に置かれているのではなく、参加者の全員が、ただ一つのブロックチェーンを共有します。ビットコインの利用者のパソコンがインターネットに接続される度に、ウォレットアプリケーションはブロックチェーンの内容を更新しますので、全員の保有するデータは常に最新の状態に保たれています。このように分散的にデータを保存している仕組みであり、全員が一つのデータを保有していますので、一箇所または数箇所の利用者がデータを失っても影響はなく、参加者全員が全てのデータを失うなど不測の事態が起こらなければ、ビットコインのデータが失われることはありません。なお、ブロックが改ざんされた場合には、ブロックチェーンが二手に分岐するという現象が起こるのですが、この場合には、計算量による多数決でどちらが正しいか決定することになっています。この点については、質問28の回答をあわせてご参照ください。

みんなの記憶は結構正しい。バケツリレーした記録について、全員へ同じ内容が送付され確認される方法が不明です。

質問23・質問28・質問43の回答をご参照ください。ビットコインには中央管理サーバが存在せず、代わりに、P2P(ピアー・ツー・ピアー)の仕組みによって、中継点から中継点へとバケツリレーでデータが受け渡しされ、最終的には全ての参加者が同じデータを共有する仕組みです。ここで、全員が共有するのは、有史以来全ての取引の内容を反映したブロックチェイン(ビットコイン開闢以来、現在に至るまでの全てのブロック)というデータの束です。従来のピラミッド型のネットワーク構成であれば、銀行の基幹サーバに置かれていたはずの取引原本を、常に更新しながら全員で分散的に共有する仕組みです。

参加者全員が記録を共有するとのことであるが、膨大なデータとなり、PCに保存できないのではないでしょうか?

質問32の回答をご参照ください。ご質問の通り、ウォレットが保存するデータは膨大で、標準的な家庭用のパソコンでは保存できない大きさになっています。ウォレットのアプリにも種類があって、標準ルールに従って全データをダウンロードするものから、あまりデータを持たずに利用できるものまで様々です。フルサイズのデータを保管するタイプのウォレットの場合、およそ30ギガバイトのメモリを費やすという報告もあります。このデータを全てダウンロードするまで、数日間をかけてデータをダウンロードし続けていたという報告もあります。ビットコインの様々なウォレットアプリの中から、パソコンの負担が少なくて、かつ、安全に動作するアプリをみつけることは容易ではありません。ビットコインのアプリを利用される方は、まず最初に、自らの判断で安全で使いやすいアプリを選択するという、とても難しい判断を迫られることになります。

市中銀行はビットコインをどのように見ているのでしょうか? 商売敵? 新たなビジネスチャンス? 相手にしていない?

米国や欧州のいくつかの市中銀行が、ビットコインに対する姿勢についてコメントしていますが、今のところ静観する方針であるように読み取れます。米国では、一部の市中銀行がビットコインに関する勉強会を開催したと報じられており、将来に備えての研究は始まっているようです。しかしながら、金融当局の意向が明確ではない現時点においては、市中銀行として当面は慎重な姿勢をとるものと思われます。

P86のスライドのいわゆる51%アタックについて教えてください。現時点で51%アタックを見破る方法はあるのでしょうか?

もし一人の採掘者が、採掘者全員が持つ計算機資源の総量の過半数の計算機資源を持ってしまったと仮定します。そうすると、ブロックチェインによる取引記録の非可逆性の確定性が成立しなくなります。このような問題のことは「51%攻撃」と呼ばれています。支配者になった「採掘者」も、承認処理を偽ることはできませんから、取引の偽造などはできません。しかし、過去の取引を無かったことにすることは自由にできるようになるので、過去の取引で使用済みのお金を何度も使う二重使用などが可能になります。このように、ブロックチェインにとっての脅威は、発行された仮想通貨の総量の51%を超える保有者が出現することですが、現時点における「採掘者」の数と仮想通貨の保有者の数や分布を考えると、全体の51%を超える仮想通貨の保有者が出現する可能性は低いと考えられます。なお、一部の採掘業者の寡占率が高まっていることが問題となっていますが、この採掘業者は一人で51%近い占有率を有するのではなく、多数の採掘者の計算能力を束ねた採掘集団(マイニング・プール)として活動しています。多数の採掘者の意思は統一されていませんので、直ちに51%問題の危機が迫っているわけではありません。

取引であるなら消費税がかからないのですか?

政府与党の見解によれば、ビットコインのような仮想通貨は「価値記録」という名称で定義づけられます。そして、法定通貨を「価値記録」に交換する行為(交換所で日本円を仮想通貨に交換する行為)は、「価値記録」という商品を購入する消費行為として、消費税が課されます。また、「価値記録」によって物やサービスを購入する行為(仮想通貨をお金として支払いに利用する行為)や、「価値記録」と「価値記録」を交換する行為は、同じく消費活動であるとして、消費税が課されます。政府見解と与党案には若干の乖離もありますので、正式な課税方針については、最新の政府見解をご確認ください。

ビットコインはすでに「過去形」で語られるものなのですか?

日本では、投機的な取引の対象としてビットコインの価格が乱高下したことや、Mt.Goxの破たんによって多額のビットコインが失われるという事件が発生したことなどから、ビットコインはデイトレーダーを営むごく一部の人だけが利用する非公認の金融商品であるという印象が形成されました。こうした文脈におけるバブル経済としてのビットコイン投資というのは、過去のものとなったといえると考えられます。しかし、ビットコインの本来の役割は、世界中どこにでも簡易に送金ができる仕組みの実現であり、スマートフォンがあれば誰でも利用できるユニバーサルな決済インフラを提供することです。こうした本来の意味におけるビットコインの歴史は、まだ始まったばかりであると考えられます。その意味において、ビットコインは未来形で語るべきであるかもしれません。

「見える人にだけ見える」というご説明から、「裸の王様」の物語を思い出しましたが、将来誰かが「王様は裸だ!」という可能性はないのでしょうか?すなわちNakamoto氏の論文が否定される可能性について、専門家はどう見ていらっしゃるのでしょう・・・。

貨幣というのは、もともとコミュニティの中だけで通用するもので、外部から見ると不思議な存在です。これを「システム外無価値性」と名付ける研究者もいます。狸の視点から人間社会を見ると、木の葉のような紙切れを大事そうにかき集める人間というのは、まことに不思議な生き物に映るだろうと思われます。このように、皆が価値のあるものだと信じている対象が、ある日突然に、誰も価値があると思わない無意味な存在になることは、歴史的に見てもそれほど稀なことではありません。ところで、Nakamoto氏の論文に書かれた内容については、今のところ、大きな間違いは見つかっていません。しかし、どのような論文も、後の時代には否定される可能性があります。Nakamoto論文の前提する事実が覆される画期的な研究が発表される時がやってくるかもしれません。

将来的な話しですが、「取引自体を投機的に事前に計算し、その予測そのものを売り買いする」という事態は起こりえないのでしょうか?

あたかも金融商品のように扱われる場合の仮想通貨は、不特定多数の参加者が価格の上昇または下落を予測して売り買いを行う市場において、売り買いの客体である商品として扱われます。金融商品の価格変動については、複数の理論モデルに基づく予測式が提案されています。これらの予測式は、参加者の合理的期待と実体経済の変動を数式化するものでしたが、仮想通貨は実体経済の影響をあまり受けないという独立性を有します。このため、従来の金融商品と比較すると、参加者の合理的期待を純粋にモデル化する数式が説明力を持つかもしれません。このとき、金融商品としての仮想通貨は、投機的な先物取引の対象となる可能性があり、将来の予測そのものが投資対象となることは十分に考えられます。

リアルからバーチャルへという大きな流れの中に、ビットコインを位置づけると、手紙が電子メールへ、紙の本が電子書籍へ変わっていくようなイメージで、これからますます普及していくと考えてもよいのでしょうか。

貨幣というのは時代に応じて何度もメディア(媒体)を乗り換えてきました。そして、紙幣や硬貨の一部が電子マネーに置き換えられたように、現在は有体物からデジタルな媒体へ乗り換える過程にあります。社会生活の多くの活動がバーチャルに行われるようになれば、そこで発生する支払いもバーチャルに行われるようになります。このとき、ビットコインのような仮想通貨がその役割を果たすことができれば、支払いのプロセスだけをリアルで行う必要がなくなり、バーチャルな空間だけで経済活動が完結します。このように、バーチャルな経済活動がより重要性を増していけば、時代の要請として仮想通貨が普及するかもしれません。

将来、AIが進化すると、市場をマニュピレートできるのではないでしょうか?

質問51の回答をご参照ください。これまでも金融商品の取引市場においては、合理的期待形成を予測する方法論として、AIの進化が大いに貢献してきました。こうした予測式は、投機的な利益を得るだけでなく、価格変動のリスクを吸収する役割を果たして来ました。これに対して、市場をコントロールする主体の存在しない仮想通貨は、価格の急上昇や急落などの事態が発生することによって、その価値が突然に失われることが懸念されています。ここで、仮想通貨のために最適化された予測式を組み込んでおくことができれば、市場変動のショックを吸収することができます。このように、AIの進化によって仮想通貨の市場を安定に導くことが期待されますが、それは言い換えると、AIが仮想通貨の市場を操作することを意味するのかもしれません。

今後、ビットコインが普及する可能性があるのですか?

質問56の回答をご参照ください。

ビットコインが、今後クレジットカード等の代替として使われるようになることはありえるでしょうか?

質問37の回答をご参照ください。

ビットコインに未来はあるのですか?

質問49の回答をご参照ください。ビットコインの将来は全くの未知数ですが、これまでの金融システムにはなかった新しい意味を見出して、経済活動を変える可能性もあります。特に期待されるのは、銀行へのアクセス方法を持たなかった発展途上国の多くの人々が、スマートフォンを持つことによって金融経済に参加できるようになることです。すでに金融システムが最高度に発達している日本では、あまり必要性が見受けられないようにも思えますが、海外に顧客を求める国際電子商取引が進展すると、クレジットカードを持たない海外の利用者から代金を受け取るための有力な手段となる可能性があります。このように、使い方次第では、ビットコインには一定の将来性が認められそうです。

採掘のおじさんも、お金を大量に確保した人も、サトシ・ナカモトさん、その人ではないですか?

ビットコインを大量に保有している利用者のアカウントは、著名アカウントとしてリストが公表されていますが、アカウントの持ち主が誰であるのかはわからないため、匿名または仮名であって誰がビットコインを大量に保有するのかを知ることはできません。こうした大口保有者の中には、創世記のブロックを作成した人物と同一のアカウントを保有するであろうと思われる人物も含まれています。このアカウントの持ち主こそが、おそらくSatoshi Nakamotoを名乗る人物であろうと考えられています。この人物は、ビットコインの大口保有者の一人であることは間違いありませんが、大手の採掘業者とは直接の関係はないと思われており、一人の人物にすべてが集中しているわけではないと思われます。しかしながら、ビットコインの創世記の出来事は謎に包まれており、確かなことはSatoshi Nakamotoを名乗る本人にしかわかりません。

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