イベント / EVENT
平成19年度 第2回 Q&A
第2回 2007年7月3日(火)
心理学とロボット
--人間とロボットが親しくなるには?--
山田 誠二(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授)
講演当日に頂いたご質問への回答(全18件)
※回答が可能な質問のみ掲載しています。
"ロボット"と"エージェント"の違いは何ですか?
外界とインタラクションをもつ自律的システムをエージェントと呼んでいます。ロボットは、エージェントの一つです。
「一般のユーザとロボットがインタラクションをもつことが科学技術史上、経験のない状況」とおっしゃっていましたが、たとえば「ロボット」を「コンピュータ(パソコン)」と置きかえても似たような状況はあるわけで、ロボットだけに特殊なことなのでしょうか? それを踏まえて、そこまで「ロボット」に注目する理由は何でしょうか?
PCはエージェントを実現するプラットフォームではありますが、PCというハードウエア自体は外界とインタラクションをもち、自律的に行動するエージェントとは異なると考えています。
ロボットの定義を教えてください。
例) どこまでが掃除機で、どこからが掃除ロボットか? 自律的に動けばよいのか?
プログラムが走っている状況だけではだめか? これがあるからロボットという用件があるのか?
当日回答しましたように、ロボットの定義は難しいですが、「外界とインタラクションをもつ自律的システム」というのが私の考えるロボットの定義です。
ロボットの定義・イメージをきかせて欲しい。ロボットの気持ちを読んだのか、うまく使いこなしたのか境はどこにあるのでしょうか?
Q9の回答をご参照ください。
鉄腕アトムは順次、人間感情を身につけていきました。 ロボットは最終的にこの方向に進むのでしょうか? その時、人間にはどんなストレスが発生するのでしょうか? 心理学的に分かることはどんなことですか?
現在、既にロボット(エージェント)に感情を持たせる研究が始まっています。Affective computingと呼ばれる分野がその一つです。
私はロボットと人が親しくなるには、ロボットが人間に近づけば良いと考えています。そのために、人がうれしい時や調子の良い時に通常よりも良い動きができることや、これがそれに効く物だと信じれば効果のある(プラセボ効果)という、人の脳の奥の方の物が大切だと思うのですが、そのようなものはロボットに使うことは出来ないのでしょうか。
おっしゃるように、ロボットが人間に近づく方向の研究がこれまでのメインの流れであり、その方向性は今後も重要だと思います。しかしながら、私個人としてはそのやり方には限界があり、今後は人間をいかにロボット(エージェント)に近づけるかが重要だと考えています。
思いやり、人に対する優しいことばを表現するロボットの開発状況は、いかがですか。
そのようなロボットは重要だと思いますが、まだまだ実用レベルではないと思います。
ヒューマノイド型の場合、「顔」を付けると親近感が増すと言われる。となれば、親密度が高いほどロボットvs人間のかかわり合いは高くなりそうだが、"いやし型" ロボットはむしろ相手の正体が分りにくいアザラシ姿の方が猫姿ロボットより優位なのは何故?
重要なご指摘です。顔が人間に近いロボットには人間並みの能力を期待するので無理があるが、アザラシなら現在の技術による動きやコミュニケーション能力で十分実現できるので、外見と能力のギャップがなく自然にインタラクションが継続されると考えています。
1.ロボットの心を人が読むかどうかを検討する場合、「ゴミ箱をどけて」と発話させないほうがいいのでは?
2.コミュニケーションにおいて、インタラクションは重要な要因だと思われるが、一方で、対植物、対人形のように実際にはインタラクションがないにも関わらず情報を補完しながらコミュニケーションを行うこともある。そうであるならば、ロボットに必要なコミュニケーション機能とは何なのでしょうか?
1.発話させないとなかなか被験者が行動しなかったのか、と推察します。
2.ご指摘のように、ロボットに必ずしも高度なコミュニケーション能力は必要ないという考えに賛成です。そのことを実験的に検証する研究を現在やっています。
ロボットでなくても、お人形やお気に入りの物もほとんど擬人化される。それは人間は自分の気持ちを対象に投影していると考えてよいのでしょうか。私はそう感じますが。
そうだと思います。人間は擬人化する対象に対して自己の投影をしていると考えるのが自然でしょう。
今日のお話しにロボット対ロボットがないのはなぜですか?意味がないからですか?
人間、ロボット間の方がロボット間のインタラクションよりも、学術的にも技術的にも興味深いと思っています。
自分が作ったロボットに対しては、より強く心の理論を適用すると思うが、どうか?
それは十分にあり得ると思います。
HRIによって人間が機械をどう認知するかは分かったが、逆にそういう傾向に沿ってロボットを設計するとなると機械づくりに制約が多くなってしまうのではないか、と思うがいかがでしょうか。
はい、そのような制約が重要だと考えます。
小野先生の実験でPC間でエージェントを移動させてから実験を行うのはなぜか?
それは難しいのですが、歴史的背景もあったかと。
最近、経済産業省から「次世代ロボット安全性確保ガイドライン(案)」が出されたように、ロボットの安全性が注目されているように思います。ロボットの安全性がインタラクションデザインで語られることはあるのでしょうか?
現時点では、ほとんど安全性は考えていません。というよりは、安全性は比較的簡単に実現できると考えており、興味の対象ではないように思っていますが、誤解しているかもしれません。
SONYのメールを運ぶ、ピンクのクマも、人が心をよんでいそうだと思いました。どう思いますか? Appleのアイコンの動きも心の理論を採用していそうですね。ソフトでは発達しそう。Microsoft Office のイルカとか。
おっしゃるとおり、PostPet等も人間が心を読む対象だと思います。
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