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平成30年度 第2回 リポート

人間の思考・判断をサポートするデータマイニング/宇野教授が講義/市民講座「情報学最前線」第2回

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 国立情報学研究所は8月24日、平成30年度 市民講座「情報学最前線」の第2回を開催し、情報学プリンシプル研究系 宇野 毅明教授が「理解発見データマイニング -AIはなんでもしてくれるわけじゃない-」と題して講義しました。

 はじめに、宇野教授はデータマイニングについて、「データの中からおもしろいものや特徴的なもの、共通性のあるもの、めずらしいものを見つける計算技術です」と述べ、データマイニングとAIとの違い、AIにできることとできないことについて説明しました。「AIはデータから規則性を学んだだけで、意味を理解しないため、判断基準が数値で表わすことのできない『状況』や『感情』などの場合は、何を基準に判断すればよいのか分からない。採用や結婚相手選び、職業選択、経営判断、裁判や調停など、状況把握や意味の理解が必要とされる場面では、やはり人間が考えるしかない」と指摘。その上で、「こういう大事な決めごとをしたいときに、AIができるのは、人間の思考・判断をサポートすること」と強調しました。

 そこで、意味理解を伴わずにデータの特徴を見つけ、「それっぽいものを全部見つけ出す、ちょっとおもしろいこと、興味をひきそうなことを探してくれるのがデータマイニング。外れが多いけれどたまに当たりもある。目で見るよりは早い、というのを狙ったのがデータマイニングなのです」と説明しました。

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 次に、データマイニングの技術として、「よく一緒に買われる品物の組み合わせ」など、データに現れる特徴を見つけ出す「パターンマイニング」や、データをいくつかの集まりに分ける「クラスタリング」を紹介しました。 また、新しいアプローチとして、確実な根拠に基づき、データの「揺らぎ」を消す「データ研磨」について説明しました。宇野教授は、データ研磨について、「ピンぼけの写真を、画像処理ソフトを利用して鮮明な画像に変えるようなもの」と比喩、揺らぎが消えると、大量の類似解をまとめることができるため、大量のデータから傾向や予測のまとまりが生まれる、と述べました。

 この技術を活用した事例として、「えひめ結婚支援センター」のお見合いサービスを挙げ、「好みが似ている人は人格も似ている」という仮説から、閲覧した異性の類似によるユーザクラスタを使ってお見合い相手を推薦したところ、お見合い承諾率が2.2倍に上昇したことを紹介しました。ICTを使って地域課題の解決を目指すこの取り組みは評価され、総務省の地方創生に資する「地域情報化大賞2015」の特別賞に選ばれました。

 質疑応答で、会場から「宇野教授が大きなデータを解析するインセンティブは何ですか」という質問がありました。これに対し宇野教授は、「面白いから、これに尽きます」と答えました。「面白いデータは3日眺めていても飽きない。これが一番の研究のモチベーションです」「データの共通性をほじくり出す手法を設計できたとき気持ちが良い」「データの面白さは大きさよりも『質』。データの後ろに何が隠れているか、それが表面上にはどう現れていて、その間のつながりが観測できそうか、どれくらいわかりにくくなっているか、それが勝負です」などと答えました。

 夏休み期間中とあって、今回の講義には小中学生や高校生も参加し、熱心に耳を傾けてくれました。宇野教授が、易しい話から難しい話までユーモアを交えながら分かりやすく解説すると、会場からは笑いが起こり、楽しい雰囲気の講義になりました。

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 AIやデータ社会についてもっと知りたいという方は、宇野教授の著書 「しっかり知りたいビッグデータとAI」(情報研シリーズ)をご覧ください!詳細は以下のウェブサイトでご案内しています。https://www.nii.ac.jp/news/2018/0629.html

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 次回は、9月13日にコンテンツ科学研究系 安東 遼一助教が「流体力学で描くデジタルアートの世界 -幸運をもたらすシーンのCG、美しさは数学?-」と題して講義します。

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