イベント / EVENT

2024年度 第1回 リポート

イベント リポート:「ネットワークのセキュリティ―悪者はどうやってあなたのパソコンを見つけ出す?」

 2024年11月20日、市民講座「情報学最前線」の第1回を開催しました。本講座では、アーキテクチャ科学研究系の福田健介教授が「ネットワークのセキュリティ」をテーマに、私たちの日常生活に深く関わるインターネットの仕組みやセキュリティリスクについて解説しました。講義はハイブリッド形式で実施され、会場には多くの参加者が集まり、YouTube Liveでもリアルタイム配信されました。

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講座の概要:セキュリティの基礎から応用まで

 福田教授は冒頭、インターネットの基本構造を解説し、ネットワーク上のデバイスがどのように通信し、どのように「見つけられる」のかをわかりやすく説明しました。インターネットは、無数のノード(端末やルーター)とそれらをつなぐエッジ(通信回線)から成る巨大なネットワークです。その仕組みを支える「プロトコル」や「IPアドレス」の役割について、具体例を交えながら解説しました。

特に、悪意あるスキャン行為によって個人のデバイスが攻撃対象になり得るリスクに焦点を当て、どのようにしてスキャンが行われるのかを詳しく紹介。43億ものIPv4アドレスがスキャンされるスピードや、それを可能にする技術について触れました。

セキュリティリスクの現状と対策

 講座の後半では、実際に発生しているセキュリティリスクとその対策についての解説が行われました。例えば、ランサムウェアやボットネットといった攻撃手法は、個人や組織に甚大な被害を与える可能性があります。特に、家庭で使用するWi-Fiルーターが更新されずに放置されている場合に、これが悪用されるリスクが高まることが指摘されました。

 福田教授は、セキュリティ対策として、定期的なソフトウェアアップデートの重要性を強調しました。また、多層防御の考え方や、近年注目されている「ゼロトラストモデル」の導入についても言及し、実際にどのような防御策が有効かを具体的に示しました。

インターネットの未来と研究の最前線

 さらに講座では、現在主流となりつつあるIPv6についても触れられました。IPv6は従来のIPv4に比べて圧倒的に多いアドレス空間を持つため、スキャンによる攻撃が難しいとされる一方で、研究者たちは新たな課題に直面しています。

 教授は、自らの研究についても紹介し、スキャン行為を検出するためのセンサーネットワークの構築や、インターネット全体の動向を把握するための技術開発について語りました。これらの研究において、より高精度、広範囲に観測できるような基盤づくりを進め、安全なインターネット環境の実現を目指しています。

参加者の声

 参加者からは「身近なインターネットが実は非常に複雑で、同時にリスクが潜んでいることを実感した」「家庭でもすぐに実践できるセキュリティ対策が具体的に示されており、非常に役立った」という声が寄せられました。また、専門的な話題を一般市民にもわかりやすく伝える講師の姿勢に感銘を受けたという感想も多く見られました。

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 今回の市民講座は、私たちの日常生活に欠かせないインターネットの裏側にあるリスクとその対策を学べる貴重な機会でした。

講演映像のアーカイブはウェブサイトにて公開予定です。

次回以降の講座にもぜひご注目ください!
詳細、お申し込みは、下記ページをご覧ください。
https://www.nii.ac.jp/event/shimin/
多くの方々のご参加をお待ちしております!

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