イベント / EVENT

NIIオープンハウス 2008

国立情報学研究所では毎年オープンハウス(一般公開)を開催し、研究成果や活動についてのポスター展示・デモ、講演会などを行っています。 (過去のアーカイブはこちらをご覧ください)
※平成20年度オープンハウスは終了いたしました。多数のご参加ありがとうございました。

平成20年度オープンハウス 開催概要

  • 日 時:2008年6月5日(木)・6日(金)
  • 会 場:学術総合センター
  • 申 込:講演、市民講座、ワークショップについては、事前申込みをお願いいたします。ワークショップを除き、当日参加も可能です。
  • 後 援:千代田区
  • 協 力:国立公文書館、東京電機大学、東京都古書籍商業協同組合、明治大学

発表要旨集ほか詳細は、決定次第随時更新いたします。

開催要項

6月5日(木)

[中会議場ほか]
14:30〜19:00 研究成果発表 デモ・ポスター展示 アーカイブ
プレゼンテーション アーカイブ
18:00〜19:00 サイエンスパブ
[一橋記念講堂]
13:30〜14:00 開会挨拶 研究所、大学院紹介
坂内 正夫 (国立情報学研究所所長)
14:00〜15:00 基調講演 「脳科学の社会へのインパクト」
川人 光男((株)国際電気通信基礎技術研究所 脳情報研究所 所長・ATRフェロー)
要旨 ▼ 資料 (18.8MB) 講演映像
脳科学は、近年の急激な進歩によって、コミュニケーション技術、経済活動、先端医療などに大きく貢献する可能性が示され、応用科学としての側面を持つようになりました。本講演では、最近の脳科学の潮流について解説いたします。
16:00〜17:00 基調講演 「量子情報社会の可能性を探る」
山本 喜久(国立情報学研究所 教授/スタンフォード大学 教授)
要旨 ▼ 資料 (930KB) 講演映像
量子情報技術は物理学と情報科学が100年以上の歳月をかけて共通の概念と言語を確立することにより発展してきた学際的研究分野です。本講演では、この最先端の 知識と技術が作り出す未来社会の予想図を描いてみたいと思います。
19:00〜20:30 市民講座 「画像情報と電子透かし −インターネットで画像や映像の権利を保護するための技術とは?−」
越前 功(国立情報学研究所 准教授)
要旨 ▼
インターネットの普及により,携帯電話やパソコンから場所や時間を選ばずに映画や音楽などのデジタルコンテンツを楽しめる便利な世の中になりました.デジタルコンテンツは,フィルムや印刷物などのアナログコンテンツに比べて,加工,複製,配布が容易なため,いつでもどこでも自由にコンテンツを利用できる便利な環境を提供していますが,コンテンツの不正な加工,複製,配布もまた容易なため,コンテンツの作成者やその流通に関わる人たちの権利を侵害する可能性があります.本講座では,デジタルコンテンツの権利保護技術として近年注目されている電子透かしについて解説致します.
講演後の質疑応答では,芸団協・日本シンセサイザープログラマー協会の松武 秀樹氏にご参加頂き,本技術に関連する様々なご質問にお答え致します.
>>
[特別会議室]
16:00〜18:00 大学院入試説明会

6月6日(金)

[中会議場ほか]
10:30〜17:00 研究成果発表 デモ・ポスター展示 アーカイブ
プレゼンテーション アーカイブ
[一橋記念講堂]
13:00〜15:30 シンポジウム NAREGI成果報告会
〜 動き出したサイエンスグリッドNAREGI 〜
要旨 ▼ タイムテーブル ▼
大学等のスーパーコンピュータを連携させ,リサーチグリッド環境を実現する「NAREGIミドルウェアVersion 1.0」を,平成20年5月9日(金)から,オープンソース・ソフトウェアとして公開・配布しています。5年間にわたる研究開発プロジェクトの成果であるNAREGIミドルウェアをご紹介し,今後の展開についてご説明します。
» 国立情報学研究所グリッド研究開発推進拠点:NAREGI

タイムテーブル
13:00〜13:10
開会挨拶
国立情報学研究所長 坂内 正夫
文部科学省研究振興局情報課長 勝野 頼彦
13:10〜13:55
NAREGI総合報告
NAREGI成果で実現する,計算科学をサポートする次世代研究環境/
リサーチグリッド研究開発センター長 三浦 謙一
13:35〜14:00
NAREGIミドルウェアのアーキテクチャ
世界初の連携計算機能など,NAREGIサイエンスグリッドの仕組み/
客員教授(東京工業大学教授) 松岡 聡
14:00〜14:20
NAREGIミドルウェアの利用環境
〜 どこからでも利用できる平準化されたスパコン利用環境/
リサーチグリッド研究開発センター特任教授 宇佐見 仁英
14:20〜14:30 休憩
14:30〜14:50
分子科学研究所実証研究報告
ナノサイエンス実証研究をとおして見えてきたこと/
客員教授(分子科学研究所教授) 斉藤 真司
14:50〜15:10
大規模連携実証実験報告
〜大学・研究機関6機関をつないだ,現実の運用を考えた実証評価/
大阪大学助教 東田 学
15:10〜15:30
NAREGIミドルウェアの展開
〜 NAREGIミドルウェアの展開と導入・運用に対する支援計画/
リサーチグリッド研究開発センター教授 合田 憲人
15:30〜15:35
閉会挨拶
リサーチグリッド研究開発センター長 三浦 謙一
[特別会議室ほか]
10:30〜12:30 ワークショップ 次世代の目録所在情報サービスを考える
資料要旨 からご覧になれます。
要旨 ▼ タイムテーブル ▼
国立情報学研究所では,次世代目録WGでの検討結果として,平成20年3月に「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」を公開しました。
このワークショップでは,「中間報告」についてご説明した上で,研究者や図書館職員の視点による中長期的な展望や「中間報告」に対するご意見などを受け,会場全体で意見交換を行います。

タイムテーブル
司会: 細川 聖二(NII学術基盤推進部学術コンテンツ課専門員)
10:30〜10:35
Part 1 「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」のご紹介
  • 「中間報告」の趣旨説明 資料 (618KB)
    佐藤 義則 氏(NII客員教授 / 東北学院大学教授)
  • 「中間報告」のテーマごとの解説
    ・ 電子情報資源について 資料(157KB)
    加藤 信哉 氏(東北大学附属図書館総務課長)
    ・ システムについて 資料(210KB)
    渡邊 隆弘 氏(帝塚山学院大学准教授)
    ・ 運用について 資料(755KB)
    竹内 比呂也 氏(NII客員教授 / 千葉大学教授)
  • パブリックコメントの紹介/
    NII学術基盤推進部学術コンテンツ課図書館連携チーム
11:20〜11:25 休憩
11:25〜12:30
Part 2 パネルディスカッション
コーディネータ:
佐藤 義則 氏
パネリスト:
原田 隆史 氏(慶應義塾大学准教授) 資料(137KB)
高橋 努 氏(筑波大学附属図書館情報サービス課長) 資料(98KB)
長谷川 豊祐 氏(鶴見大学図書館) 資料(1573KB))
加藤 信哉 氏,渡邊 隆弘 氏,竹内 比呂也 氏
14:00〜16:00 ワークショップ CiNiiのいま、これから
資料要旨 からご覧になれます。
要旨 ▼ タイムテーブル ▼
CiNii(NII論文情報ナビゲータ)は,正式公開後3年が経過しました。これまで,抄録の無料公開,画面の大幅なリニューアル,Googleとの連携などの改善を重ねることにより,CiNiiの利用は年々飛躍的に増加しています。
このワークショップでは,今後CiNiiをさらに進化させていくため,NIIからの新たなシステム構想のご紹介,ユーザの方からの活用事例紹介などとともに,会場全体で意見交換を行います。

タイムテーブル
司会: 阿蘓品 治夫(NII学術基盤推進部学術コンテンツ課係長)
14:00〜14:05
ご挨拶・趣旨説明
14:05〜14:55
Part 1 プレゼンテーション
  • 研究者から見たCiNii 資料(153KB)
    清水 馨 氏(千葉大学准教授)
  • 図書館員から見たCiNii 資料(1756KB)
    筑木 一郎 氏(京都大学附属図書館)
  • 情報リソース専門家から見たCiNii 資料(1397KB)
    岡本 真 氏(ACADEMIC RESOURCE GUIDE編集部)
  • 情報デザイン専門家から見たCiNii 資料(1765KB)
    篠原 稔和 氏(ソシオメディア株式会社代表取締役)
  • 新CiNii開発の立場から 資料(266KB)
    大向 一輝(NII学術コンテンツサービス研究開発センター助教)
14:55〜15:00 休憩
15:00〜16:00
Part 2 パネルディスカッション
コーディネータ:
阿蘓品 治夫 資料(137KB)
パネリスト:
清水 馨 氏,筑木 一郎 氏,岡本 真 氏,篠原 稔和 氏,大向 一輝

発表要旨集

デモコーナー

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
101 誰でもコンテンツ作成、ネットを使った学習、授業、会議のできるeラーニング・システム
要旨 ▼
社会のグローバル化に伴って高等教育・専門教育の多様化・国際化を支える先端ITを活用したe-Learningが求められています。WebELSは、総研大の要望に基づいてNIIでグローバル利用を想定して設計・開発され、総研大を始め清華大、チュラロンコーン大等における、教育の多様化を推進しつつあります。WebELSは、誰でも使え、大学、社内教育、社会人教育にも適するように改良してあります。分かりやすくデモを中心に説明します。
上野 晴樹,
何 政、楽 京霞、嶋本 伸雄
102 ・ ゲノム配列から似た部分を見つけ出す精度の高い高速計算手法の研究(相同検索)・ 巨大なデータから面白い部分を見つけ出す高速計算手法の研究(データマイニング)
新しいコンピュータを買わずに、何倍も速く計算を行う
要旨 ▼
近年、IT機器の発達により巨大なデータが比較的容易に手に入るようになりました。しかし、情報処理技術はあまり変化せず、結果として解析のほうに時間がかかるようになっています。この研究では、ゲノム配列から似た部分を高速で見つける精度の高い計算方法と、データの中から人間には見えにくい、特徴ある部分を全て高速で見つけ出すアルゴリズムの紹介をします。展示では、どの程度のデータをどのくらい速く処理できるか、解説いたします。
宇野 毅明
103 超音波によるロボットの精密位置計測と誘導
超音波でロボットを誘導
要旨 ▼
超音波を利用して、室内で1mm以下の精度で位置計測をできる手法を開発した。今回はこれでロボットの位置を測定しつつ、所定のコースを誘導する実験を行う。実験室内の固定した対象ではすばらしい位置計測精度を得ているが、今回はロボットが動き、また周囲に多くの人や物体のある状況でどうなるか、未知数だ。乞うご期待。
橋爪 宏達,
杉本 雅則 (東大)
104 インターネットトラフィックのダイナミクス
インターネットの使われ方を探る
要旨 ▼
日本は世界的にも先進的なブロードバンド大国であるが、ブロードバンドインターネットユーザのトラフィックの挙動については、ほとんど知られていなかった。本ポスターでは、国内ISP6社、総務省、研究者のチームによって行われている、国家レベルのブロードバンドトラフィックの振る舞いについて解説する。
福田 健介
105 Welcome to NIIsland - The Global Lab
要旨 ▼ ポスター (2.8MB)
The goal of the Global Lab project is to lay the foundations of the next generation of the web, which will be a web of faithful and fictitious 3D virtual worlds - rather than websites. The Global Lab is essentially an experience space, where users (represented as avatars) engage in natual conversation, information exchange, experimentation, and collaboration with other users/avatars on a global scale. In the project, the "Second Life" online 3D world will be used to implement the Global Lab.In 2008, the following interactive features of the Global Lab will be demonstrated:
1) Experimentation (Simulation of a sensor-based system):(a) Users (as visitor avatars) can walk around in a virtual poster session and experience their position as calculated by the system. (b) The user (as developer avatar) can modify the sensor positions and thereby improve the accuracy of the system.
2) Conversation (Instant Messaging with automatically generated gestures, gaze, and emotional expression): Two users can interact by using the IM system.
3) Content Creation (Multimodal dialogues automatically generated from text): The user can select a piece of text, which will be transformed into a dialogue and "played out" by two Second Life "bots".
Helmut PRENDINGER,
Sebastian Ullrich, Boris Brandherm, Werner Breitfuss, Alena Neviarouskaya, Hugo Hernault, Birgit Endrass
106 Automatic Generation Of Behavior For Dialogues Between Embodied Conversational Agents
Digital Content and Media Sciences Research Division
要旨 ▼
We introduce a system that automatically adds different types of behavior to a given dialogue script between two virtual embodied agents. It allows us to transform a dialogue in text format into an agent behavior script enriched by eye gaze and conversational gesture behavior. The agents・gaze behavior is informed by theories of human face-to-face gaze behavior. Gestures are generated based on the analysis of linguistic and contextual information of the input text. The resulting annotated dialogue script is then transformed into the Multimodal Presentation Markup Language for 3D agents (MPML3D), which controls the multi-modal behavior of animated life-like agents, including facial 1 and body animation and synthetic speech. Using our system makes it very easy to add appropriate non-verbal behavior to a given dialogue text, a task that would otherwise be very cumbersome and time consuming.
Werner Breitfuss,
Helmut PRENDINGER, Mitsuru Ishizuka
107 AffectIM: Instant Messaging System Endowed with Emotional Intelligence Based on Affect Sensing from Text
Digital Content and Media Sciences Research Division
要旨 ▼ ポスター (530KB)
In our research, we address the tasks of recognition and interpretation of affect communicated through text messaging in virtual communication environments, specifically, in Instant Messaging (IM), where people tend to use an informal style of writing. In order to facilitate sensitive and expressive communication in such environments, we introduced a novel syntactical rule-based approach to affect recognition from text. The developed Affect Analysis Model was designed to handle not only grammatically and syntactically correct textual input, but also informal messages written in abbreviated or expressive manner. The proposed rule-based approach processes each sentence in sequential stages, including symbolic cue processing, detection and transformation of abbreviations, sentence parsing, and word/phrase/sentence-level analyses. The evaluation of the Affect Analysis Model algorithm showed promising results regarding its capability to recognize affective information in text from an existing corpus of informal online conversations. In order to enrich the user's experience in online communication, make it enjoyable, exciting and fun, we realized a web-based IM application, AffectIM, and endowed it with the emotional intelligence by integrating with the developed Affect Analysis Model.
Alena Neviarouskaya,
Helmut PRENDINGER,Mitsuru Ishizuka
108 Automated Generation of Multi-modal Dialogues from Text
Digital Content and Media Sciences Research Division
要旨 ▼ ポスター (1.9MB)
We are developing authoring tools and technologies that allow anyone to become a professional content creator. The system generates attractive multi-modal dialogues presented by two 3D graphical agents automatically, by simply providing textual information (e.g. from the web) as input. Rhetorical Structure Theory (RST) is used to decompose text into segments and identify rhetorical discourse relations between them, which are then transformed to an equivalent RST tree in Question-Answer form, the so-called DialogueNet. After appropriate role assignment (expert, layman), the resulting dialogue is "acted out" by 3D life-like character agents, whereby the laymen asks the questions, and the expert provides the answers. In this way, any kind of information (health, news, science) can conveyed in a form that is intuitive, engaging, and easy to understand by anyone.
Hugo Hernault,
Helmut PRENDINGER, Mitsuru Ishizuka
109 ディジタル・シルクロード・プロジェクト - 文化遺産のデジタルアーカイブ
シルクロードの文化遺産をデジタル空間でよみがえらせる
要旨 ▼ ポスター(1.9MB)
ディジタル・シルクロード・プロジェクト(http://dsr.nii.ac.jp/)は、シルクロードの文化遺産をデジタル化してウェブサイトで公開し、研究者や一般の人々が調べ、学び、楽しめる情報環境を実現する。「東洋文庫所蔵」図像史料マルチメディアデータベース、イラン・バム城塞の3次元デジタル復元、シルクロード各地の古地図の閲覧と活用、各種の参加型デジタルアーカイブなどを対象としたデモンストレーションをおこなう。
小野 欽司,
北本 朝展、アンダルーディ・エルハム、西村 陽子、モハマド・マティーニ、大西 磨希子、モハマド・ダオウド、シルバ・ダ・ティアゴ、嘉村 哲郎、池崎 友博、神田 涼、田中 裕子、マイヤー 恵加
110 三次元モデルの類似検索に関する研究
似ている形を見分けるには
要旨 ▼
三次元モデルの類似検索は、コンピュータグラフィックスの世界でよく研究されてきたテーマの一つです。似ている物を見分けるという作業は、人間なら一目で済ませることができますが、コンピュータにとっては、そうでもありません。多くの場合、物体の特徴を抽出し特徴同士を比較するという作業に、大変な労力が必要です。この発表展示では、三次元モデル検索技術の現状を紹介します。具体的には、いくつかの検索アルゴリズムを提示し、それらのアルゴリズムがどの程度うまく働くのかを、デモを通じて見ていきます。またアルゴリズムの比較も行ない、個々のアルゴリズムの強みや弱みを調べます。
後藤田 洋伸
111 NetCommonsプロジェクト
次世代の情報共有基盤をつくる
要旨 ▼
社会共有知研究センターでは、情報共有基盤システムの研究開発、共有知形成過程の収集分析及び研究成果の普及促進活動を行うことにより、次世代の情報通信技術及び情報共有基盤システムの開発を支援します。ブースでは、本活動で生み出された次世代情報共有システムNetCommonsを紹介します。
新井 紀子
112 NTCIR: 情報アクセスの評価のための研究基盤
よりよい検索システム実現のために
要旨 ▼
サーチエンジンなどの検索システムは、「どのくらいうまく検索できるか」を常にテストしながら研究開発を進めます。ところが、検索有効性テストには、検索文書の適合判定、検索質問の種類や数、評価指標、利用者のタスクなどの因子が関わり、信頼性の高いテストには最新の研究知見と膨大な労力が必要です。 NTCIRでは、15カ国100以上の研究チームが参加する評価会を通じ、検索有効性テストに繰り返し使用できるデータセットを開発・公開しています。
神門 典子,
David Kirk Evans

情報学プリンシプル研究系

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
501 プログラム変換を用いた多重文脈自由言語の効率的解析
複雑な文法を効率的に使う
要旨 ▼ ポスター (1.4MB)
多重文脈自由文法は、人間の言語にまれに見られる交差する依存関係を含む構文や、疑似ノットを含んだRNAの二次構造などの文脈自由文法ではとらえられない複雑な構造を記述することができる文法形式である。多重文脈自由文法を一種の論理プログラムで表現し、簡単なプログラム変換を施すことによって効率的な構文解析アルゴリズムを得る手法を提案する。
金沢 誠
502 TLCA 未解決問題20番
ラムダ計算と型理論
要旨 ▼
TLCA未解決問題20番を解いた。この問題は、遺伝的置換子を特徴付ける型理論を見つけよ、という問題である。まず、遺伝的置換子全体は枚挙不可能であることを示すことにより、ひとつの型では遺伝的置換子は特徴付けできないことを証明した。次に、可算無限個の型により遺伝的置換子を特徴付ける型理論を与えた。
龍田 真
503 半導体(電子系/光マイクロキャビティ)を用いた量子シミュレーション
半導体を用いて難解な量子物理系の問題を解明する
要旨 ▼ ポスター (1.4MB)
量子多体系の物理は、そのシステムサイズに対して必要とされる計算機のリソースが指数的に増大するため、現在の超高速計算機を用いても解けない難解な問題とされている。量子シミュレーションとは、量子デバイス自体に問題をマッピングして、自身が持つ量子効果を効率的に利用して問題を解く方法として、現在注目を集めている。我々は、量子井戸半導体を用いてフェルミ・ボーズハバードモデルを解く方法を提案し、これまでの実験結果を示す。
山本 喜久,
Tim Byrnes、 宇都宮 聖子、楠戸 健一郎、桝本 尚之、佐中、堀切
504 量子もつれを長距離間に配信するための量子制御に関する研究
量子もつれを長距離間に配信するには
要旨 ▼
量子的な性質は外からのノイズなどの影響を受けやすく、非常に壊れやすいものです。量子もつれ状態は量子情報処理には本質的な性質で、量子的な性質を代表するものといえます。このような量子的な状態を長距離間に生成するために私たちがどう考え、実現化へ向けて研究を行っているのかについてご紹介いたします。
根本 香絵
505 量子鍵配送のための秘匿性増強
無限の計算資源をもつ攻撃者に対しても安全な暗号
要旨 ▼
量子鍵配送では、秘匿性増強に用いられるハッシュ関数が公開された後に盗聴者が観測を行うことができるため、一般に盗聴者の情報がハッシュ関数に依存しうる。ところが、既存の秘匿性増強ではハッシュ関数とその他の確率変数との独立性を仮定しており、これを量子鍵配送に適応することができない。そこで本研究では、盗聴者の情報がハッシュ関数に依存しうる状況にも適用可能な秘匿性増強の安全性証明を与える。
渡辺 曜大
506 動物と立襟鞭毛虫(タテエリベンモウチュウ)のゲノム比較から探る、動物祖先における遺伝子の多様化
ゲノムから探る動物の多細胞性の進化
要旨 ▼ ポスター (406KB)
すべての生物は細胞からできています。ゾウリムシのように1個の細胞からなる生物を単細胞生物と呼びます。一方、現存のすべての動物は、複数の異なる細胞からなる多細胞生物です。古い時代に単細胞生物から多細胞の動物が現われたと考えられていますが、詳しいことはよくわかっていません。私たちは、いろいろな動物と、動物の「親戚」である単細胞生物、立襟鞭毛虫のゲノムを比べることによって、この問題を探っています。
隈 啓一,
岩部 直之(京都大学・大学院理学研究科)、加藤 和貴(九州大学・デジタルメディシンイニシアティブ)、藤 博幸(九州大学・生体防御医学研究所)、宮田 隆(JT生命誌研究館)、藤山 秋佐夫
507 3Dを含む統合データベースの一例
南極のコケを3Dで見てみよう
要旨 ▼
日本の南極観測隊による南極大陸の蘚苔類に関する標本は、50年の蓄積がある。この標本の既存データベースに、緯度経度を利用して採集地点をピンポイントで示す地図データ、コケの形態的特徴が確認できる3D画像、さらに遺伝子情報データベースを含めてデータベースの統合化を目指すプロジェクトが進んでいる。その一端の南極ゴケ3D体験を交えて紹介する。
藤山 秋佐夫,
小林 悟志、隈 啓一
508 リニューアル「日本語バイオポータル:Jabion」
次世代のウェブ生物学総合辞書
要旨 ▼
マスメディアの科学情報は、学校教育では学習しない専門用語が含まれており、一般の理解は不充分なままである。このサイトでは、一般向けには専門用語の解説および科学ニュースをコラム化して分かりやすく説明したコンテンツ、専門家向けには利便性に富む文献検索やゲノム情報を提供していることが特徴であり、先頃、システムを含めリニューアルをしたので紹介する。URL (http://www.bioportal.jp)
藤山 秋佐夫,
小林 悟志、川本 祥子、荒木 次郎、隈 啓一
509 推論による仮説発見とシステム生物学への応用
仮説を立てて考えてみよう
要旨 ▼ ポスター (438KB)
人工知能における推論技術を用いて未知の知識を発見する枠組みについて展示する。ある観測が得られたときに、既存の知識と整合させながら、観測を説明するためには仮説を立てる必要がある。もしこの仮説が背景知識をともなって観測を説明できるのであれば、その仮説は確からしいと考えることができる。本研究では仮説生成のためのメカニズムを明らかにし、科学分野における新しい知識の発見に応用する。とくに、情報技術で新たな生体の理解を進めるシステム生物学において新しい規則を発見することを目指している。ここではその一例として、出芽酵母の増殖プロセスにみられる現象を取りあげ、その発現に関与する代謝経路の推定問題を紹介する。
井上 克巳,
山本 泰生 (総研大)、Andrei Doncescu (Univ. de Paul Sabatier / LAAS CNRS)、 Oliver Ray (University of Bristol)
510 マルチエージェントシステムにおける投機的計算をもちいたりカバー機能を含んだ先行処理
気が利くウェブシステムの構築を目指して
要旨 ▼
デフォルト仮説推論を用いたエージェントモデルを構築した。エージェントが他エージェントに計算の依頼を行った際に、あらかじめ予想される結果(デフォルト)を用いて処理を先行投機的に行い、 実際に他エージェントから返ってきた結果がデフォルトと無矛盾であれば、処理を続け、デフォルトと矛盾していれば、 デフォルトを仮定した地点まで戻って、 実際の答に対応する処理を行うものである。
佐藤 健
511 BioCaster:世界の健康危機を監視する知的情報システム
Webの情報を利用して健康危機を察知する
要旨 ▼ ポスター (794KB)
テキストマイニング技術に基づくWebベースの感染症監視システムを開発し、健康危機への対策という社会のニーズに役立てることを目指している。 BioCasterポータルでは、研究の成果を利用したニュース記事検索等の機能を公開している。最新の成果として、Google Map上に感染症ニュースを表示するグローバル・ヘルス・モニター、多言語で感染症の知識を記述したBioCasterオントロジー第二版等がある。
Nigel COLLIER,
川添愛、Doan Son、 Mike Conway、 Reiko Matsuda-Goodwin、 Hutchatai Chanlekha、 John McCrae、 QiWei
512 機械学習を用いたオントロジーマッピング
多様な情報を相互につなげる
要旨 ▼
意味的な整合性を持たせた状態で、多様な情報を自動的に統合する技術は、さまざまな分野で必要とされている技術の一つです。本発表では、情報のメタデータとなるオントロジーに注目し、これらを精度高く自動的に統合する技術について紹介します。
市瀬 龍太郎

アーキテクチャ科学

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
201 GPS測位の性能向上に関する研究
GPS測位の性能向上に関する研究
要旨 ▼
携帯電話からの緊急時に位置情報の通知が義務化されているが、この目的のために、GPS信号による測位精度をネットワークにより与えられる情報を活用することで向上することを実証し、また、第三世代携帯電話通信による制御信号を利用することで、GPS測位に必要となる処理時間の高速化を図るための研究を紹介している。
淺野 正一郎
203 コンテキストアウェアアクセス制御技術ACA2
ユビキタスネットワーク環境で安全・安心なサービスを提供するセキュリティ技術です
要旨 ▼ ポスター (227KB)
講演会場で、携帯電話の電源を切り忘れていたために着信音が鳴って大慌てしている聴衆を見かけたことがありませんか?もし、サービスをうけるユーザが講演会場に居て、講演を聴いているならば、それを何らかの手段で把握してユーザの携帯電話の電源を自動的に切るサービスがあれば便利だと思いませんか?我々は、このように、ユーザの周りの情報(ユーザコンテキスト)を活用してサービス提供の可否を判断したり、サービス提供中にユーザの周りの状況変化によってサービス提供を中断、停止することを自動的に行うセキュリティ機構(アクセス制御機構)ACA2を研究しています。
山田 茂樹,
横山 重俊
204 レイヤ1オンデマンドに関する研究
瞬時に超高品質コミュニケーション環境を実現
要旨 ▼
いろんな人が共同利用する通信ネットワーク上で、遅延時間が極めて小さく、遅延揺らぎゼロ、データ損失ゼロの究極の通信環境を実現する技術を研究しています。レイヤ1帯域オンデマンド技術は、ユーザが必要とする時だけ、そのような究極の通信環境をオンデマンドで実現する技術です。
漆谷 重雄
205 衛星画像解析による農作物成長予測の高速化
衛星画像解析による農作物成長予測を高速に実現するには
要旨 ▼
衛星画像を解析することにより農作物の成長予測を行う技術への期待が高まっている。しかし、予測には莫大な計算量を必要とするため、実用化への障害となっている。本発表では、実アプリケーション例として、農作物の成長予測を行う手法であるSWAP-GAおよびSWAP-DLGA、衛星画像から雲を取り除く手法であるLMFを取り上げ、これらの計算を並列計算やグリッドコンピューティングにより高速化する手法を紹介する。
合田 憲人,
Md. Shamim Akhter、 坂元 圭吾
206 和独辞典データから独和辞典を作る研究
外国語辞書って、反転できるの?
要旨 ▼
WaDokuは今日、最も新しくかつ最も広範な語を集めた和独辞典である。11万の見出し語と25万のデータベースレコードを備えている。このオンラインサービスは、現在のところ、日本語の見出し語をドイツ語で定義していますが、日本のユーザから逆に独和辞典を求める声が多く寄せられています。この研究は和独辞書を独和形式に反転させようとするもので、可能なかぎり機械処理することで行おうと考えています。完成すればドイツ語を学習する日本人ユーザに利便を与えるのみならず、将来の両方向性辞書を設計する指針を示すことにもなるでしょう。
Ulrich Apel,
橋爪 宏達
207 子供と老人のためのユービキタス・コンピューティング
老いも若きも、万人の情報システムとは
要旨 ▼
ごく若い人々、あるいは老年期を迎えた人々は、日々自分の能力の変化していることを自覚しているが、いまのところそのような利用者に合致した情報システムはない。情報機器は主に若い健康な大人にむけて設計されているからである。発表者らは医学ないし社会心理学の研究知見に基づいて、ビジネスマン、デザイナー、研究者などの必要とするユービキタス情報システムにつき研究し、知識ベースにまとめたが、さらに年齢に焦点をあて再構築することで、人類全般の年齢層に役立つシステム設計思想を作れると考える。これは2003年に開始された Fair Seedプロジェクトの一環であり、ユービキタス・コンピューティングの適用範囲を全人類に広げることを目標にしている。仏・独・日・韓の研究者が参加している。
Sébastien Duval
橋爪 宏達
208 持続可能な計算システム
コンピュータはそれ自身を管理・維持・成長できるのか
要旨 ▼ ポスター (6.0MB)
情報システムが自己組織化・管理・成長するためのシステムソフトウェアを設計・構築していきます。ユーザから要求されるサービスに応じて、サービスを提供するソフトウェア(エージェント)を複製・配置・組織化できるようにします。
佐藤 一郎
209 集合相関に基づくクエリー結果のクラスタリング
検索結果の効率的な分析
要旨 ▼
Although today's search engines are capable of returning query results containing many thousands of items, the size of the result prevents most users from viewing more than a very limited number of top-ranked items. For this reason, recent attention has been given to the problem of dynamically clustering the results of queries so as to allow users to better understand the distribution of items within the result. We have developed tools for query-result clustering based on the RSC model, which assesses the quality of cluster candidates, the degree of association between pairs of cluster candidates, and the degree of association between clusters and data items, all according to the statistical significance of a form of correlation among the neighborhoods of their constituent members.
Michael HOULE,
Nizar GRIRA
210 連携動作する組込みシステムの信頼性向上とプログラム開発容易化のためのOS
連携制御システムのためのコンポーネント型OS LP49
要旨 ▼
組込みシステムを始めとする制御系プログラムには、強い耐障害性・連携処理の容易化・プログラム開発の容易化などが求められる。本報告では、多数のプロセッサが連携動作する組込みシステム向けのオペレーティングシステムであるLP49を紹介する。LP49は、L4マイクロカーネルの先進的な機能・性能・融通性とPlan 9の優れた分散処理機能・名前空間を活用し、コンポーネン化と連携処理を強化するものである。また制御プログラムに効果的なHoare-CSP的記述もサポートする
丸山 勝巳,
児玉 和也、日高 宗一郎
211 制約プログラミングとその応用に関する研究
計算方法ではなく目標を示すだけでプログラムを作る
要旨 ▼
制約プログラミングは、多様な問題をモデル化し解決するための有力手段である。通常のプログラミングでは、目標を達成するための計算方法をプログラムに記述する必要があるが、制約プログラミングでは、目標のみを記述しておけば、コンピュータがその目標を自動的に達成するため、プログラムの作成が容易になる。本発表では、制約プログラミングの技術と応用について、本発表者の最近の研究成果を中心に紹介する。
細部 博史
212 形式手法を用いたソフトウェア・プロダクトラインの研究
ソフトウェアは何故誤りを見つけにくいのか
要旨 ▼ ポスター (127KB)
高信頼ソフトウェア製品の開発期間を大幅に短縮する開発手法としてソフトウェア・プロダクトライン工学(SPLE)の考え方が注目を集めている。本発表では、SPLEで標準的に用いられるFODAフィーチャダイアグラムを厳密に定義することで、FODAによる要求表現を自動解析する方法を報告する。
中島 震
213 非同期式回路に基づく耐劣化故障性実現に関する研究
次世代半導体プロセスにおける劣化故障に耐える
要旨 ▼ ポスター (116KB)
半導体プロセス技術の進歩に伴い、大規模でディペンダブルなVLSIを実現する上で、今までにないようなタイプの故障が問題となりつつあります。この研究は、使用中のストレスに起因するチップ内の局所的な性能劣化がハードウェア演算装置に与える影響について、データフローグラフレベルで解析し、非同期式回路実現の優位性を示すとともに、耐劣化故障性を実現する一手法を提案するものです。
米田 友洋
214 URLフィルタリングアクセラレータの開発
URLフィルタリングをハードウェアで
要旨 ▼ ポスター (99KB)
URLフィルタリングをソフトウェアで実現するのではなく、高速な独立したハードウェアで実現しようという研究です。本研究では、URLフィルタリング機構を、データ構造がパイプライン中を高速に流れるアーキテクチャとメモリアクセスに基づく状態遷移機械により構成し、FPGA上に実現しています。多くの情報をハードウェア状態遷移機械で扱いやすい形でいかに効率よく格納するかが実用上のポイントです。
米田 友洋,
佐藤 哲朗、河口 文法、和田 正伸((株)ノディック)
215 GRACEセンター: 先端ソフトウェア工学・国際研究センター
世界トップレベルの先端ソフトウェア工学の研究・教育・実践を推進
要旨 ▼
NII内に設立されたGRACEセンターは、21世紀の「ソフトウェア基盤」を実現するための、ソフトウェア工学に関する世界トップレベルの研究センターです。GRACEセンターでは国内外の研究機関との連携のもと、研究・実践・教育を三位一体で運営し、次代の中核となる世界レベルの研究者および技術者を育成することを目指しています。
本位田 真一
216 SSE Project: 安全・安心なソフトウェアを構築するための研究プロジェクト
安全・安心を設計する
要旨 ▼
近年、個人情報の情報流出や不正アクセスなど、セキュリティは現代社会に多大の影響を及ぼしています。しかし、他の種類の製品やインフラと比べ、情報システムのセキュリティを高める技術は、現状では十分と言えません。SSEプロジェクトでは、こうした課題を解決するためのソフトウェア工学技術の確立を目指し、理論的基盤、および、体系的な方法論を研究しています。
吉岡 信和,
田口 研治、石川 冬樹、エリック プラトン、早稲田大学、電通大学、東工大学、信州大学、立命館大学、オープン大学、フロリダアトランティック大学、NICTAほか
217 双方向モデル変換によるソフトウェア開発に関する研究
ソフトウェアの開発過程よりソフトウェアを進化させる
要旨 ▼ ポスター (603KB)
モデル駆動によるソフトウェア開発は実用的で新しい開発手法として注目されている。その中で、開発途中の成果物をモデルとし、ソフトウェアの開発ステップをモデル変換で表現する。通常、この枠組みでは、変換を適用する前のモデルと変換によって得られたモデルが共存してそれぞれ発展する。このとき、あるモデルに加えた変更をどのように正しく他のモデルに伝播し、システムの一貫性を保証するかは重要な未解決問題である。本研究は、双方向モデル変換を用いてこの問題を解決し、ソフトウェアの信頼性の確保と進化的ソフトウェア開発のための新しい方法論を確立する。
胡 振江,
武市 正人(東大)、熊 英飛(東大)、Hong Mei (北京大学)、Haiyan Zhao (北京大学)
218 トップエスイー: サイエンスによる知的ものづくりプログラム
現場に科学を伝える
要旨 ▼ ポスター (281KB)
トップエスイープロジェクトは、「サイエンスによる知的ものづくり教育」をコンセプトに、高度な開発技術を身につけたソフトウェア技術者の育成を目指した実践的教育プログラムです。受講生は様々な大学・企業からの専門家による講義を受けるだけでなく、修了制作を通して学んだ技術の実適用を行います。
本位田 真一,
田口 研治、吉岡 信和石川 冬樹
219 著作権者の背景,意図,要求に応じたインターネット流通における学術コンテンツの利用許諾に関する研究
あなたの要求を埋めてあなたの利用許諾書を作る
要旨 ▼
本研究では、インターネットを介した流通における学術コンテンツの権利の帰属や利用許諾形態などの現状を明らかにする。合わせて、著作権者(コンテンツ提供者)である研究者、教育者、大学等組織の学術コンテンツのインターネット流通に対するそれぞれの要求や意図、背景を分析し、それらを反映した学術コンテンツの流通に関する利用許諾の複数の雛型を明らかにし、著作権者に対して雛型を選択する際の指針も提供する。
井上 理穂子,
石川 冬樹
220 次世代ネットワークソフトウェア基盤のための本位田研究室の活動
今とあなたをつなぐ未来へ
要旨 ▼ ポスター (369KB)
本位田研究室においては、人、サービス、現実世界がつながり融合した次世代のネットワーク社会の実現を目指し、その基盤となるソフトウェア技術に関する研究活動を行っている。本位田研究室では、分散システム、エージェント技術、ソフトウェア工学という分野に着目しており、個々の分野において、また分野にまたがった形で、研究活動を盛んに行っている。
本位田 真一,
本位田研究室、早稲田大学深澤研究室、石川 冬樹吉岡 信和
221 適応性とセキュリティに注目した無線センサネットワーク技術
コンピュータが現実世界の今を、あなたの今を見る
要旨 ▼ ポスター (98KB)
状況を考慮してユーザ支援を行うユビキタス環境の基盤として、環境中に埋め込まれた無数のセンサが連携して状況を観測する無線センサネットワーク技術が注目されている。今後の様々な場での活用のためには、ユーザの要求や状況の変化に対する適応性や、悪意あるセンサの設置等による悪影響を防ぐセキュリティが必要である。我々はこの二つの性質に特に注力し、無線センサネットワークのためのミドルウェアの研究開発を行っている。
本位田 真一,
本位田研究室、早稲田大学深澤研究室、石川 冬樹吉岡 信和
222 スマーティブ: 状況依存型のXMLコンテンツアクセス制御および変形制御
あなたの状況を見て変わるコンテンツ
要旨 ▼ ポスター (343KB)
いつでもどこでも情報コンテンツにアクセスできる基盤が整う中、誰がいつどこでどのようなアクセスをできるのかの制御が必要となる。これに対し我々は一般的なアクセス制御ポリシーを拡張し、ユーザの位置等の状況とその変化に応じた制御や、閲覧を許可するが個人名を偽名化する等許可・拒否の二者択一ではない制御を扱う枠組みを構築している。またそれをサービス連携・流通のためのエージェント基盤スマーティブに統合している。
石川 冬樹,
吉岡 信和本位田 真一
224 次世代オペレーティングシステムSSS-PC
安全安心な情報化社会を構築する基本ソフトウェア
要旨 ▼
コンピュータシステムの停止が許されない高度情報化社会を支える基本ソフトウェアが満たすべき要件を解明し、それらの要件を実現する機構の開発を行っています。SSS-PCはこれらの機能を組み込んで作られた成果作品であり、開発は1994年より始まり、日々機能追加ならびに性能改善がなされています。今回はSSS-PCの仮想化機能、新規に付加されたバイナリ互換実行機能に焦点を当てた説明を行います。
松本 尚

コンテンツ科学

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
301 情報ハイディングを用いた公正・円滑なメディア流通に関する研究
メディアの安心・安全な流通を実現する情報ハイディング
要旨 ▼
メディア処理技術やそれを用いた放送、媒体、ネットワーク技術の発展に伴い、文書、音楽、映画などのディジタルメディアの流通が急増しており、社会事業や産業への適用が進んでいます。ところが、ディジタルメディアは編集・コピーが容易、インターネットでの不正配布が容易であるため、その著作権保護、情報漏えい対策、真正性保証が重要な課題となっています。本研究では、人間には知覚できない微小な変更をディジタルメディアに加えることで、メディアの属性情報をメディア自体に不可分に埋め込む情報ハイディングの検討を行い、ディジタルメディアの公正な流通を実現するためのセキュリティ基盤の構築を目指しています。
越前 功
302 小規模選挙におけるユーザの匿名性を保証する電子投票プロトコルの研究
小規模コミュニティにおける安心・安全な投票とは
要旨 ▼
小規模投票では、匿名性の喪失や買収・強制が大きな問題となる。本研究では、小規模投票における得票数の公開が匿名性の低下につながることを、エントロピーを用いて示す。この分析に基づき、匿名性を二つに分けて厳密化した上で、得票数秘匿型電子投票方式を考案した。提案方式の安全性はマルチパーティプロトコルの安全性に帰着する。
越前 功,
吉浦 裕(電通大)、遠藤 つかさ(電通大)
303 XQueryの書き換えに基づく最適化手法に関する研究
ネットワークで形成された情報空間を活用する
要旨 ▼
静的解析に基づくXQueryの書き換え規則を提案する。提案手法は、入力式中の軸式とエレメント名についてのフィルタ式を静的解析に基づき部分評価することで、冗長なエレメント構築子やフィルタ式を排除しより効率的な式を出力する。提案手法の特徴は軸式の意味に採用されているノードIDに基づく distinct-doc-orderを、式の出現に割り当てた拡張Dewey IDを用いてエミュレートする点にある。これにより、冗長なエレメントコンストラクタの評価によって生成されるXMLにおけるノードIDに関する比較演算が、エレメント構築子の評価なしに可能となり、結果として問合せ最適化につながる。提案手法はGlobal-As-Viewに基づくデータ統合問題において、エレメント構築子を用いたXQueryが使われているような場合に有効である。
加藤 弘之,
日高 宗一郎、石原 靖哲(阪大)、吉川 正俊(京大)
304 木アラインメント確率モデルのパラメータ学習に関する研究
半構造テキストから類似する情報を探す
要旨 ▼
近年広く用いられるようになったXMLデータの多くは、一般に木構造で表現されます。木の類似度を表す尺度として、編集距離がよく使われています。木の編集距離は多くのパラメータに依存していますが、このパラメータを種類の異なるデータベースごとに人間の手によって決定するためには非常な労力を必要とします。我々は、このパラメータを与えられた正例から自動的に決定(学習)するための木の類似度モデルについて研究しています。
深川 大路,
高須 淳宏
305 CEAXプロジェクト〜 文化財に関するコンテンツ統合・利活用技術に関する研究 〜
成長・進化するメタデータで文化遺産コンテンツを活かす
要旨 ▼
本研究では、博物館等がそれぞれ所有する文化財に関するメタデータを柔軟に統合し、学芸員や学校教員、児童等さまざまな立場の人が各々の解説(アノテーション)を付加することで、文化財コンテンツの共有と活用を実現するための方策の探究を行っています。本発表では、柔軟にアノテーションを利活用するためのメタデータ構造とシステム、および、教育現場でそれらのシステムで文化財コンテンツを活用する実例を紹介します。
安達 淳,
神門 典子(情報社会相関研究系)、相原 健郎、藤沢 仁子(情報社会相関研究系)
306 テキストとデータベースレコードの対応付けに関する研究
ウェブ情報をデータベースに結びつける
要旨 ▼ ポスター (261KB)
書式を持たないテキストを大規模データベースのレコードに対応付ける「テキスト・リンケージ」は、ウェブ等の幅広い種類の文書に対する情報統合の要素技術となります。本発表では、テキスト・リンケージ手法の実現方法、および実際に大規模な論文データベースを用いて開発した試作版リンケージシステムやその応用例を紹介します。
相澤 彰子
高久 雅生、大山 敬三
307 映像メディア解析によるセマンティックギャップ克服への挑戦
映像メディアをその中身で探すには
要旨 ▼
放送映像やネット上の映像アーカイブなどから必要な情報を自由に呼び出すためには、映像内容に基づく検索が必要です。われわれは、映像解析技術により、映像内容情報をコンピュータで自動抽出し、大規模な映像アーカイブの内容検索を実現するための検討を行っています。映像内容の抽出はセマンティックギャップ克服と呼ばれる極めて挑戦的な課題で、画像解析、機械学習、情報検索などの技術を使って取り組んでいます。
佐藤 真一,
片山 紀生孟 洋、Duy-Dinh Le、武 小萌
308 3次元焦点ぼけ構造に基づく自由視点・自由焦点画像生成
空間を飛び交う光の束をとらえ操作する映像メディア技術
要旨 ▼ ポスター (300KB)
新しい映像メディアとして、空間を飛び交う光の束をとらえ操作する画像処理技術を紹介する。ここでは、多次元信号処理理論に基づき、レンズから入力された光線群を自在に分解、変換する手法を示す。例えば、焦点合わせを変化させながら取得した画像群に適切な多次元フィルタを施すことで、自由な視点から観察した画像や自在なボケ味の画像が生成可能となる。立体TV等に向け画像信号処理から光線信号処理へと展開する技術である。
児玉 和也,
米沢 弘樹
309 グラフカーネルアルゴリズムを用いた複数特徴量の組合せによる距離画像の位置合わせ
最適性を保証する3次元形状モデル化を目指して
要旨 ▼
幾何学的特徴量と光学的特徴量の組合せによる距離画像の位置合わせ手法について述べる。本手法では、特徴点の対応付けを頑健に行うために複数の特徴量を用いる。このとき、従来手法のように特徴量の類似度の和や積などによって類似度を評価するのではなく、類似度それぞれを個別に評価し、競合する対応づけのよさの順序付けに用いる。そして、考えられ得る全ての対応付けの候補の中から、1 対1 対応を満たし、かつ、剛体変換が整合する対応づけの組合せのなかで、幾何学的特徴量、光学的特徴量がともに類似しているという意味でデータに適合する組合せを最大化する。これは、グラフ上の最適化問題として定式化することができ、SSK アルゴリズムにより大域的最適解が得られる。
杉本 晃宏
310 地球環境データに関する統合データベースプロジェクト
データベースから見えてくる地球の現在・過去・未来
要旨 ▼ ポスター (8.5MB)
地球環境に関する様々な問題を解決するには、様々な目的で様々な研究分野から得られた地球観測データが、統合的に使える情報インフラストラクチャを構築することが重要な課題である。そこで本発表では、発表者が取り組んできた3つの地球環境統合データベースプロジェクト、すなわち1) デジタル台風、2) Vertical Earth、3) データ統合・解析システム(DIAS)について、それぞれの目標をデモも交えながら紹介する。
北本 朝展
311 米に関する知識・情報ポータルにおける集合知生態系の管理における研究
セマンティクス及び集合知を利用して知識・情報を管理する
要旨 ▼ ポスター (5.6MB)
トピックマップデータモデルに基づく意味組織は様々な文脈により索引付けされたデジタル知識資源における意味抽出、意味組織、および意味管理の有益な新たな視点を提供します。このアプローチは新しい研究領域、政策、および意志決定からの観点に基づき農業ドメインを構築する新しい方法を紹介します。この研究では多面メタデータセットを引き継ぐ意味フローとしてデジタル農業資源を分類する "MetaSemFlow" という新しいアプローチ法を報告します。 "MetaSemFlow" はインターネット上の膨大な農業に関する知識・情報において世界的な農業専門家、学者、知識ブローカー、および農業者による協同を可能にしたサービスの提供を目指す集合知エコシステムというプロジェクトの一部です。 "MetaSemFlow" の主な革新点は、特徴ベクトルの効率を高めるためメタデータを最適化するという点です。
Frederic ANDRES,
Asanee Kawtrakul (Kasetsart University), Richard Chbeir (University of Bourgogne), 石川 博(静岡大学)
312 心理臨床対話における身振り使用
カウンセリング現場での対話からの知識発見
要旨 ▼
カウンセリングにおいては、相談に訪れたクライエントと心理専門家であるセラピストの対話を通じて、クライエントの抱える問題の解決を図る。この際に、問題の複雑さや背景知識を共有していないことなどが原因となり、相互の発話の意図や内容の理解に失敗する場合がしばしばある。このような主として言語的な情報における対話の停滞において、非言語的な情報である身振りがどのようになされているかを分析する。
井上 雅史,
古山 宣洋、花田 里欧子(京都教育大学)
313 Ranking SVMによるWebサイトの自動ランク付け
コンピュータがWebサイトを格付けする
要旨 ▼
Webサイトのランキングを自動的に行うシステムを開発する。人によるランク付けを訓練例として、Ranking SVMがランクの評価関数を学習することで、自動ランキングが実現される。
山田 誠二,
李 鵬
314 サービスを知ってあなたのサービスを組み立てる
パーベイシブサービス合成・提供における契約管理
要旨 ▼ ポスター (389KB)
Web上の様々なサービス、さらにプロジェクタ等周りの物理的なサービスを、ソフトウェアが組み合わせてユーザのために新しいサービスを組み立てるための技術基盤が整ってきている。本研究では、ユーザの移動等の多様な状況変化の下で、組み立てたサービスが要求を満たすことを保証する枠組みを提供することを目指している。このために契約の概念に注目し、その整合性検証やビジネスプロセス実装への組み込み等の技術に取り組んでいる。
石川 冬樹

情報社会相関

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
401 Web2.0時代の推奨システム
予測と連想による協調フィルタリング
要旨 ▼ ポスター (386KB)
協調フィルタリングは、インターネット上の各種の取引において、消費者の行動を予測する事に用いられている。現在分かっている神経科学の知見によると、ヒトの行動は主に予測と連想によって決定されている。そこで、予測と連想の機能を持った協調フィルタリングによるユーザーの行動の推定の可能性について検討を行った。
植木 浩一郎
402 メタデータと言語表現
メタデータはだれが作る?
要旨 ▼
データについてのデータといわれるメタデータという言葉は、さまざまな場所で、さまざまな意味で使われているし、またそのレコード自体も多様な場所で、多様な方式で作られている。これらをめぐる概念の整理と、図書館、ドキュメンテーションの世界での伝統的目録、索引等の関係について、構築の立場から考える。
宮澤 彰
403 聞き手の配置が発話と身振りによる動作表現に与える影響に関する研究
ことばと身振りで人間の動作表現に迫る!
要旨 ▼
私たちは、普段何の気なしに会話をする相手との位置を決めたり、会話しながら相手との位置を調整したりしている。直感的には、相手の位置によって話しやすさに違いが感じられることはあるものの、実際のところ話者の表現はどのぐらい影響を受けるのだろうか。本発表では、聞き手の位置によって、同じアニメーションのシーンの動作表現が変化するかどうか、変化する場合どのように変化するかを、発話と身振りに着目して検討した結果を報告する。
古山 宣洋,
関根 和生
404 複合語の入れ子関係に基づく用語の階層的体系化
専門用語を相互に関連づけて体系化します
要旨 ▼
日本語専門分野テキストコーパスから抽出された日本語複合語用語について、用語間の入れ子関係に基づいて階層関係を推定し、体系化を行う試みについて紹介する。入れ子関係から得られる上位−下位関係と関連後関係とを別途整理することにより、見通しの良い体系化ができることを示す。
小山 照夫
405 大学における特許出願に関する研究
大学ではどのような特許を出しているか
要旨 ▼
最近、大学からの起業の促進や研究成果の普及の視点から、特許出願に対して関心が高まっています。この研究は、技術移転などの成果を明らかにするために、大学における特許の出願状況や活発な分野を調べることを目的にしています。 ここでは、いくつかの大学について、データベース検索によって調査した特許について個人別、部局別に調査した結果を報告し、経年的な傾向を分析しています。
柴山 盛生
406 日本の論文誌や科研費における研究機関の協調と動向の可視化に関する研究
学術研究の協力体制のビジュアル化
要旨 ▼
学術研究においては、個人研究のみならず共同研究が数多くなされている。その中でも複数機関にわたる共同研究は分野による違いが大きく現れる。我々は、日本の学術論文のデータベースであるCJPデータベースと科学研究費補助金成果概要データベースを用い、共著および研究分担者の組織間の繋がりを可視化するソフトウェアを開発した。分野や年度、地域性等の状況を可視化し、主に分析のための補助となる機能を多く盛り込んでいる。
西澤 正己,
孫 媛、柿沼 澄男
407 ブロードバンド政策の国際比較
情報制度論
要旨 ▼
日米韓のブロードバンド普及政策を検討することで、電気通信分野における政策決定の構造と市場構造の分析を行った。その結果、政策決定過程はステレオタイプの日米韓とはかなり異なることが分かった。また、ブロードバンドアクセスの市場構造は、3国とも設備競争に突入しており、競争においては垂直統合が有効だが垂直統合サービスはマイグレーションの際の移行費用が大きいことが問題となる。今後の競争政策では、設備競争とサービス競争双方のメリットが生かされるような競争政策が求められる。
上田 昌史
408 国内雑誌における海外からの投稿パタンの分析
我が国の学術雑誌はどのくらい国際化されているか
要旨 ▼ ポスター (105KB)
わが国では、学協会刊行の学術雑誌が研究成果の発信、流通に重要な役割を果たしており、研究成果の国外への発信、国際的な共有という観点から、学会誌の国際化が求められている。一方、日本の学会誌へ海外からの投稿が増えているように見えるが、その実態は明らかでない。本研究では、国立情報学研究所の「引用文献索引データベース」(CJP)を用いて海外からの投稿論文の多い学会誌を抽出したうえで詳細に分析し、日本の学会誌の国際化の現状を解明する。
孫 媛,
柿沼 澄男、西澤 正己、根岸 正光
409 「レコードキーピング」の基礎理論と「社会基盤としてのアーカイブズ」の構築に向けての課題
アーカイブズの新たな地平を探る
要旨 ▼ ポスター (409KB)
「アーカイブ(ズ)」という言葉を最近よく耳にしますが、その意味を手短に言えば「古くなった情報や資料をとっておく仕組み」となります。しかし、近年の記録・文書の管理をめぐる問題を考えると、「今あるものを意識的に残していく」という取り組みが必要とされます。この研究は、こうした点を意識した概念である「レコードキーピング」の内実を分析しつつ、日本社会において望まれる「社会基盤としてのアーカイブズ」について問題提起を試みます。
古賀 崇
410 高等教育機関のためのセキュリティポリシーのサンプル規程集に関する研究
ネット社会の危ない事件から逃れるには
要旨 ▼
NIIは学術ネットワークを安全に利用するため、「情報セキュリティ対策のためのサンプル規程集」を公開しています。これは、ネットワーク運用、認証運用、事務利用、一般利用、教育・倫理、および総論・体制など、大学や企業に在籍される各分野の専門家のご協力を得て完成したものです。全国の大学など高等教育機関が情報セキュリティポリシーを策定する取組みについて、サンプル規程集を活用したいくつかの事例をご紹介します。
岡田 仁志
411 携帯メールでタコつぼ化する若者の人間関係
携帯メール利用の負の側面
要旨 ▼
携帯メール利用が異質な他者に対する社会的寛容性に及ぼす効果について、社会化過程にある若年層(高校生)を対象に検討した。その結果、携帯メール利用はパーソナル・ネットワークの同質性を高め異質性を低める効果を媒介することで、異質な他者に対する許容度である社会的寛容性に対してネガティブな効果を持つことが明らかになった。異質な他者も含んだゆるやかなつながり作りのしくみの開発が課題となる。
小林 哲郎
412 音声コーパスの収集・構築とその音声研究への利用
音声データと音声研究
要旨 ▼
音声認識や音声合成等の研究を行うためには各種大量の音声データが必要です。日本ではこれまで種々のプロジェクト等で音声データベース(コーパス)が作られましたが、プロジェクト終了後はデータの維持・管理ができない状況でした。我々は、そのようなプロジェクトで作成された音声データを集めたり、新しく作成したりして希望者に配布する「音声資源コンソーシアム(SRC)」を始めました。これにより情報社会の発展に寄与することを目指しています。
板橋 秀一,
山川 仁子
413 多次元尺度化法による複数音声コーパスの可視化
音声データと音声研究
要旨 ▼
音声研究の進展に伴い、音声コーパス(データベース)の必要性が高まっています。NII音声資源コンソーシアムを初めとして世界中で多様な音声コーパスが構築・配付されるようになりましたが、利用者にとっては選択の幅が広がったため、一方では目的に合ったコーパスを選択する必要が出てきたことにもなります。ここでは今後ますます増えて行くコーパスを活用しやすくするために、コーパスの特徴を表す属性項目による分類を提案します。主に日本語音声コーパス間の関連性・類似性を多次元尺度化法により分析し視覚化して、利用者がより必要とするコーパスを分かりやすく表現します。
板橋 秀一,
山川 仁子

大学院(総研大)

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
601 即時応答プロトコルに基づく非同期式パイプライン機構に関する研究
高速なパイプライン機構を実現する
要旨 ▼
非同期式パイプラインは、高速で、不規則な流れにも機敏に対応するという特徴を持ちます。従来2相か4相のハンドシェークプロトコルを用いて回路実現が行われていましたが、それぞれ長所・短所がありました。この研究では、それらの2つのプロトコルの良い面を取り入れた即時応答プロトコルを用いて具体的な設計を行い、詳細なシミュレーションにより、ある条件の下では従来手法よりよい結果が得られることを示しています。
Chammika Mannakkara,
米田 友洋
602 Logic-Inspired Query Processing Framework for Ubiquitous Computing
Location-Based Services
要旨 ▼
We present a novel query processing framework that brings together model checking approaches and query processing techniques for pervasive computing. In addition to its expressiveness, our system provides sound mechanisms available to pervasive systems for building their data management-oriented tasks.
Christian Hoareau
603 最小二乗問題のための一般化近似逆行列前処理
最小二乗問題の新しい反復解法
要旨 ▼
本発表では大規模疎な最小二乗問題の新しい前処理法を提案します。もともと正方行列に対して提案された近似逆行列前処理の考え方を最小二乗問題で生じる長方形行列に拡張します。つまり‖I−MA‖_Fまたは‖I-AM‖_Fを近似的に最小化するような一般化近似逆行列(GAINV) を構成します。次に、元の最小二乗問題と前処理した問題の等価性を論じます。最後に、Matrix Marketやランダム行列の問題に対する数値実験により、提案する前処理は計算量が多いが、問題によっては従来法より優れていることを示します。
Cui, Xiaoke,
速水 謙
604 Teleportation of composite systems for communication and quantum information processing.
Efficient data transfer through a higher dimensional bus.
要旨 ▼
We make use of a higher dimensional bus to effect the teleportation of composite quantum systems. This enables us on the one hand to increase the efficiency of data transfer between different regions of a quantum information processor and on the other hand to realize a form of teleportation based quantum computation. The transmission of two qubit and two qutrit systems is investigated in detail and we provide generalizations to higher dimensional systems. We also describe how a continuous variable bus can implement such a data transfer.
Sebastien Louis
605 Fair bandwidth allocation in OBS networks
Optical Burst Switching (OBS)
要旨 ▼
Optical Burst Switching (OBS) is expected to be one of the promising switching methods for the next-generation Internet. One of the challenges for network design is how to provide fair bandwidth allocation (FBA) in OBS networks. We propose the rate fairness preemption (RFP) scheme in this research to achieve approximately max-min fair bandwidth allocation in OBS networks. The major advantages of our proposed scheme are no degradation of network utilization and no per-flow state operations in core networks. Analysis and simulation results show that the RFP scheme effectively provides FBA in OBS networks.
Tananun Orawiwattanakul,
Yusheng Ji
606 キーワードの図的変換による、テキスト読解支援ツール
直感的な読解を支援する
要旨 ▼
本研究のテーマは、テキストを視覚表現に変換し、書かれた内容の直感的な理解を促すことです。ディスプレイに表示されたテキストは、紙に印刷されたテキストと比べて、読みの速度が遅くなったり熟読されにくかったりすることがあります。テキストの図的変換を行う本ツールでは、読み込んだテキストの内容を解析し、抽出されたキーワードに対して関連する画像を提示します。また、文章の構造から画像同士の関連や動作のアニメーション表示を行います。
藤澤 弘美子
607 splogの生成手法に着目したフィルタリング手法
悪質なコンテンツのフィルタリング
要旨 ▼
BlogやSNSなど一般ユーザが自由に編集できるCGMメディアの普及によって情報の量の増加と、質の変化が起きています。これと同時にsplogと呼ばれる、人間が書いたように装った全く無意味なコンテンツが増加してきています。本研究ではこのようなsplogをフィルタリングするシステムについて論じます。
竹田 隆治,
高須 淳宏
608 複合科学研究科情報学専攻 概要紹介及び平成20年度入試案内
大学院紹介 総合研究大学院大学:千代田キャンパス
要旨 ▼
国立情報学研究所は、総合研究大学院大学複合科学研究科に情報学専攻を開設し、5年一貫制博士課程と博士後期課程を設置している。これら2つの課程では、情報学の先駆的な国際的研究機関である本研究所の専門性を活かし、21世紀の「知識社会」をリードする優れた人材の育成を目指している。情報学専攻は、都心に位置した好立地条件にあり、60名以上の学生が在籍している。在学生の半数近くが社会人であり、多くの社会人学生が仕事をしながら研究を行っている。また、世界各国から来ている留学生が多数在籍しており、異文化交流が盛んに行われているのが特色である。本コーナーでは、情報学専攻の概要、及び、平成20年10月及び平成21年4月入学に対する入試について案内を行う。
総務部研究教育促進課

その他

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
701 Scilab
The Open Source Platform for Numerical Calculation
要旨 ▼
Scilab is an open source platform for numerical calculation and simulation. The Scilab software is, since May 2003, produced by a consortium, hosted by INRIA*, which, to date, has 25 industrial companies, European research centres and prestigious higher education institutes as members.More than 35,000 remote downloads of the Scilab software are carried out each month from the official site of the Consortium to the profit of companies, universities and research centres, European as well as foreign. The number of members of the Scilab Consortium is in constant growth.* French National Institute for Research in Computer Science and Control.
Claude Gomez,
Didier Halgand
702
NIIの研究成果を豊かな社会実現につなぐ
要旨 ▼ ポスター (133KB)
国立情報学研究所の知的財産室は、先生ひとりの或いは外部の研究機関と一緒になって活動した研究成果を、学術論文の学会における発表と同様に、特許権や著作権等、知的財産権としての育成、保護、活用を通して、地域社会、産業界、アカデミアの世界に貢献し、また、産学官連携の実践により豊かな情報社会を形成する姿をリアルに描きたいと思っています。特許取得は、日本国が主催し審査する唯一の技術論文発表の場でもあるのです。
知的財産室
703 情報爆発時代のサーチ技術研究を加速する産学連携の開始 −Yahoo!検索の検索語データの開放による研究の推進
情報爆発時代における検索技術研究の推進
要旨 ▼ ポスター (90KB)
国立情報学研究所(NII)を事務局とした文部科学省科研費による特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」(領域代表者:喜連川優(東京大学・生産技術研究所・教授)への「Yahoo!検索」検索語データ提供のスキームを解説。2007年の毎月の検索上位1万語(累計12万語)の提供に至る経緯や期待する効果から、提供する検索語データの具体的な内容までを紹介します。
科研 特定領域「情報爆発IT基盤」事務局
704 Web2.0に向けた新たな情報検索技術の研究を開始 −「Yahoo!知恵袋」の研究利用による情報アクセスの新展開
大規模Web言語資源の提供によるe-Science研究の推進
要旨 ▼ ポスター (41KB)
国立情報学研究所(NII)に対する「Yahoo!知恵袋」データの提供スキームや現在取り組まれている成果を解説。知識検索サービス「Yahoo!知恵袋」に約24万人に利用者が実際に投稿した300万件の質問、1300万件の回答(合計約16億字)から成る「Yahoo!知恵袋」データの性格や実際の研究事例を紹介し、情報検索、情報分析、情報活用などの各分野における研究状況を概観します。
学術コンテンツサービス研究開発センター
705 「生きた書き言葉としてのブログを研究対象に−Yahoo!ブログの研究利用推進と個人情報保護のためのガイドライン策定」
大規模Web言語資源の提供によるe-Science研究の推進
要旨 ▼ ポスター (2.5MB)
国立情報学研究所(NII)に対する「Yahoo!ブログ」データの提供スキームの解説。データ提供とガイドライン策定に至った経緯や期待する効果に加え、ブログユーザーを対象とした研究への協力実績などを紹介します。
学術コンテンツサービス研究開発センター

サービス・事業

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
801 最先端学術情報基盤(CSI:サイバー・サイエンス・インフラストラクチャ)
大学等の学術研究・教育活動を促進する「最先端学術情報基盤(CSI)」の構築
要旨 ▼
国立情報学研究所では、大学等との連携により、最先端学術情報基盤(CSI)の構築を推進しています。CSIは、大学等のコンピュータ等の設備、基盤的ソフトウェア、コンテンツ及びデータベース、人材、研究グループそのものを超高速ネットワークの上で共有するための基盤であり、我が国の学術研究・教育活動を促進し、その国際競争力を維持するためには、こうした最先端の学術情報基盤の整備が不可欠です。
学術基盤推進部
802 学術情報ネットワーク(SINET3)
多様なネットワークサービスで研究者の要求に柔軟に応える
要旨 ▼
SINET3は、平成19年6月に本格運用を開始して以来、最先端のネットワーク機能を提供してきました。2年目を迎える今年はネットワークサービスの普及に重点を置き、昨年10月に発足した「SINET利用推進室」を中心に、全国の大学および研究機関の皆様にご利用いただけるようサービス普及に努めます。特に、レイヤ3/レイヤ2VPN、レイヤ1帯域オンデマンド等のサービス利用を促進し、SINET接続機関の研究教育活動を情報基盤の面から支援していきます。
学術基盤推進部 学術ネットワーク課,
学術ネットワーク研究開発センター
803 CSI実現のための全国大学共同電子認証基盤(UPKI)構築事業
学術コンテンツと学術ネットワークのシームレスな利用を目指して
要旨 ▼
国立情報学研究所と大学等は、大学等が保有する、コンピュータ、学術コンテンツ、学内LAN等を安全・安心に利用するための認証基盤の構築を進めています。このため、Shibbolethを利用した学術コンテンツサービスのシングル・サインオン開発やSINET3を利用するための認証基盤の開発等を行い、コンテンツとネットワークをシームレスに利用できる環境を構築しています。
学術基盤推進部 基盤企画課,
学術ネットワーク研究開発センター
804 次世代学術コンテンツ基盤の構築
学術コミュニティを支える次世代のコンテンツ基盤を構築する
要旨 ▼
国立情報学研究所は,学術コミュニティにとって不可欠な学術コンテンツを、大学とNIIとの密接な連携により形成・確保し、付加価値を付けて広く発信するための情報基盤を構築しています。具体的なサービスとして、学術研究に不可欠なコンテンツを統合的に提供する学術コンテンツ・ポータルGeNiiのほか、各大学等で生産される研究成果を収集・保存し、発信する学術機関リポジトリ構築支援、全国の大学図書館の目録所在情報を構築・提供するNACSIS- CAT/ILLなどがあります。
学術基盤推進部 学術コンテンツ課,
学術コンテンツサービス研究開発センター
805 NAREGIサイエンスグリッド
グリッドで研究環境はどのように変わるか
要旨 ▼ ポスター (2.5MB)
学術研究を始め産業界の研究開発に計算科学が重要な手法となっています。スパコンを意識せずに利用し、誰でもどこでも計算科学を駆使して世界の研究者と連携し、研究開発を進める研究環境がこれからの時代には不可欠です。国立情報学研究所はNAREGIのサイエンスグリッド技術を中核に、学術研究環境のインフラとして最先端学術情報基盤(CSI)の立ち上げを進めています。
リサーチグリッド研究開発センター

特別展示

コマ番号タイトル/テーマ/要旨発表代表者/共同発表者
901 「本と街の案内所」-- 街に出た情報サービス
要旨 ▼
2007年10月、世界最大の本の街・神保町に総合案内所がオープンしました。連想情報学センターは「神保町へ行こう」などの情報サービスを提供して、毎日の案内業務に活用していただいています。
高野 明彦,
神田古書店連盟+連想出版+NII
902 「文化遺産オンライン」(2008.3正式公開)
要旨 ▼
日本の博物館・美術館に収蔵されている文化財を総覧するためのポータルサイトです。現在、7132点の写真と国指定文化財等を中心とする約6万件の文化財情報が一覧できます。2008年3月に正式版が公開されました。
高野 明彦,文化庁+NII
903 「Powers of Information」(2008.4公開)
要旨 ▼
国立博物館と国立美術館の収蔵品972点の高精細画像を、大型タッチパネルで興味のままに閲覧するシステムです。階層構造を表すアイコンを並べ、クリックするごとに中に入り込むようなアニメーションが65インチの大画面で力のあるアクションを見せます。2008年4月に正式版が公開されました。
高野 明彦,国立美術館+東京国立博物館+連想出版+NII
904 国立公文書館デジタルアーカイブの紹介 −未来を拓く歴史資料−
要旨 ▼
国立公文書館は、平成17年度より、当館所蔵資料のデジタルアーカイブである「国立公文書館デジタルアーカイブ」を運営しております。当館所蔵の公文書から大判絵図に至る多様な歴史資料を、高精細なJPEG2000形式画像データでデジタル化し、EAD/XMLデータベースと連携させて提供するものです。これまで推進してきたアジア歴史資料に関するデジタルアーカイブ事業と共に、そのコンテンツとシステム、利用方法の概要について展示します。
国立公文書館
905 東京電機大学 産官学交流センター
要旨 ▼
東京電機大学産官学交流センターは、産業界、国・地方公共団体等および国内外の大学・各種研究機関と学術・研究交流を図り、研究資金・資源の積極的導入を促進することを目的として平成9年4月に発足しました。さらに、平成12年6月に通産省(当時)並びに文部省(当時)より「技術移転機関(TLO)」として承認を受け、本学の研究成果を産業界に移転するべく鋭意活動を行っております。今回は、本学との連携方法をパネルによって説明し、また、連携のきっかけとなるよう本学教員の研究概要を紹介致します。
東京電機大学 産官学交流センター(承認TLO)
906 明治大学の図書館リテラシー教育−「教育の場」としての図書館の積極的活用−
要旨 ▼
明治大学が大学教育の柱として取り組んでいる図書館リテラシー教育が、平成19年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択された。内容は、正課授業としてスキルや図書の楽しみなどを学ぶ「図書館活用法」、授業時間に個々の教員の要望に即して行う「ゼミツアー」、「図書館活用法」の授業内容を広く公開する「デジタルコンテンツ」などである。「デジタルコンテンツ」のデモを交えながら、取組の概要について紹介する。
明治大学図書館
907 研究データベースの宝庫 古書(古本)検索サイト「日本の古本屋」
要旨 ▼
古書組合では1998年には古書販売のデータベースを立ち上げ、以後全国の研究者や愛書家から重宝されてきました。当面の課題は豊富な文献学的知識を持ち合わせた古書店とPCを駆使できる若い世代の協力関係であり、さらなる発展の途上にあります。
東京都古書籍商業共同組合

プレゼンテーション

6月5日(木)

時 間タイトル/テーマ/要旨発表代表者
15:15-15:30 ヒューマノイドロボットの簡易振り付けシステム
幾何学的原始シンボル操作に基づく新奇動作パターンの認識と生成
要旨 ▼
ヒューマノイドやCGの人間型キャラクタ等の動作を設計するには,手足肩腰等非常に多くの関節の動きを考慮する必要があり,直感的な設計が難しい問題です.これに対して,基本的な動作を複数用意し,基本動作を合成する事で様々な動作を生成する手法を提案します.また,基本動作の合成を直感的に指示できるよう,動作を空間上の点として表現し,合成を複数の点の内分・外分操作に対応づけるインタフェースについて解説します.
稲邑 哲也
(情報学プリンシプル研究系)
15:30-15:45 最小二乗法の今と昔
最小二乗法の歴史と新しい反復解法
要旨 ▼ 資料 (1.9MB)
まず、大数学者ガウスによる最小二乗法の発明のいきさつについて紹介する。ガウスは天文学や測地学などの実際的な問題に直面して最小二乗法を発明した。次に、最小二乗法の応用や、近年の最小二乗法の数値解法を概観する。最後に、最近開発した新しい大規模最小二乗問題の反復解法について紹介する。
速水 謙
(情報学プリンシプル研究系)
17:30-17:45 NAREGIサイエンスグリッドで変わる次世代研究環境
グリッドミドルウェアに関する研究開発
要旨 ▼
スーパーコンピュータの能力向上に伴い、従来の理論、実験に加え、計算科学の重要性が増し、研究の真髄であるプログラムや大規模なデータを使いこなせる研究環境が必須になります。NAREGIサイエンスグリッドはスーパーコンピュータ等を連携して使える研究環境を提供すると共に、研究の核となる研究コミュニティをサポートします。また、仮想化技術によりスーパーコンピュータに詳しくなくとも使いこなせる研究環境を実現します。
三浦 謙一
(リサーチグリッド研究開発センター)

6月6日(金)

時 間タイトル/テーマ/要旨発表代表者
11:15-11:30 コミュニティの力を借りてウェブ情報を探す
セマンティックウェブ環境におけるコミュニケーションおよびインタラクションに関する研究
要旨 ▼
増え続けるウェブ情報の中から適切なものを探し出す手段として、情報の構造化を進め、コンピュータがその内容を理解できるようにする「セマンティックウェブ」と呼ばれる技術が有望視されています。しかしながら、情報の構造化には莫大なコストがかかるため、書き手だけではなく、読み手の協力が欠かせません。本発表では、人々が日常的にウェブを利用している状況から構造化に必要な情報を抽出し、検索に生かす方法について、いくつかの研究成果を交えて概説します。
大向 一輝
(コンテンツ科学研究系)
11:30-11:45 汎用品を用いてスーパーコンピュータのネットワークを作る。
イーサネットを用いたスーパーコンピュータ・ネットワーク構築に関する研究
要旨 ▼ 資料 (246KB)
PCクラスタ、スーパーコンピュータなどの大規模計算機において、結合網はシステムの性能向上の鍵を握る技術である。本プレゼンテーションでは、これらのネットワークに汎用の安価なイーサネットを採用しつつも、並列処理に最適なトポロジ、パケットルーティング法を採用する方法を明らかにする。そして、これらがスーパーコンピュータ専用のネットワークに近い、高い転送効率を持つことを明らかにする。
鯉渕 道紘
(アーキテクチャ科学研究系)
11:45-12:00 データベース照会高速化効果のものさしづくり
XQueryの相対コストモデルとその評価
要旨 ▼
XQueryはXMLに対する関数型の問合せ言語である。本発表では、発表者等が共同で開発した、ソースレベル変換の過程での性能利得を見積もることができるXQuery向けコストモデルについて紹介する。本研究の目的は、様々な書き換え手法を実エンジンを導入することなしに評価することを容易にすることである。コストモデルは言語の持つ関数型の構造に従った単純な再帰関数で構成される。それ等は形式的意味論や良く知られた効率的なアルゴリズムを参考に決定している。変換の前後の式のコストの解析的な比較がエンジンに依らず可能となっている。モデルの相対性により、解釈不要の成分を許容することができ、また、その部分はコスト比較の形式的な証明の妨げにもならない。さらに、必要であれば被演算数の評価順等のエンジン固有の評価戦略を反映させるように改変することも可能となっている。
日高 宗一郎
(アーキテクチャ科学研究系)
13:45-14:00 どこでもスクリーン投影技術の開発
模様付きの壁を白色スクリーンに変身させる投影技術の開発
要旨 ▼
液晶プロジェクタの小型化・低価格化に伴い,広告をはじめとするさまざまな用途へのプロジェクタを用いた情報提示技術のニーズが高まっています.従来の白色スクリーンだけではなく,職場や家庭の部屋の壁などをスクリーンとして利用できれば,プロジェクタの用途は飛躍的に広がることが予想されます.本研究では,観測者に知覚されにくいような色や明るさの変動を積極的に利用することにより,非投影面の模様などの影響を軽減しながらもコントラストの高い画像を壁などの非投影面に映し出す技術を開発しています.
佐藤 いまり
(コンテンツ科学研究系)
15:00-15:15 アーカイブズの新たな地平へ
「情報を残す」ための制度と文化への戦略
要旨 ▼ 資料 (350KB)
近年の日本において、アーカイブズ、すなわち情報・記録を残すしくみが、さまざまな側面から注目を浴びつつあります。具体的に言えば、一方では年金記録問題をはじめとする法・制度的課題があり、他方では「産業・生活面での遺産」「コンテンツ戦略」などといった文化的関心がアーカイブズに寄せられています。このプレゼンテーションでは、こうした状況を踏まえつつ、アーカイブズをめぐる新たな研究課題について論じます。
古賀 崇
(情報社会相関研究系)
15:15-15:30 インターネット利用と民主主義の両立可能性
インターネット利用は熟考型民主主義と両立するか:パーソナライゼーション技術の功罪
要旨 ▼ 資料 (132KB)
インターネット利用におけるパーソナライゼーション技術は、情報への選択的接触を促進することが指摘されている。自らの先有態度と一致する情報のみに選択的に接触することは、多様な意見への接触を通した質の高い社会的意思決定を目指す熟考型民主主義の理論と矛盾するものであろうか。日米における社会調査データを用いて、インターネット利用における選択的接触の実態についての最新の研究結果を紹介する。
小林 哲郎
(情報社会相関研究系)
openhouse 2008-index page2715

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