NII Today 第97号
Dec. 2022No.97

人工知能法学を識るAIと法学が融合した “新学問”

国立情報学研究所の佐藤健教授は、人工知能(AI)と法学を融合した新しい学術領域 「人工知能法学(Juris-Informatics)」を提唱している。 それは、法曹活動にAIを応用し、AIの法統御やそのインパクトを法学の視点から研究するものだ。 AIが浸透する社会にこの学問はどのように貢献するのか、その全容と意義を明らかにする。

CONTENTS

Interview

人工知能法学の全貌

人工知能が社会のあらゆる分野に進出しつつある。 人工知能は暮らしを便利にする一方で、これまでなかった新しい問題も生み出している。 デジタル技術は日進月歩で進んでおり、法律がそれに追いつくのは容易でない。 こうした時代に求められるのが、人工知能研究と法学を融合させた「人工知能法学」だ。 この学際分野の生みの親とも言える佐藤健教授に、成り立ちから現状、今後の展望を聞いた。

本文を読む

Interview

AIの裁判への導入は「期待」と「不安」と

人工知能(AI)活用の現状と課題

司法分野へのAIの応用は海外で先行しており、国内でも今後、実用化へと進む可能性が高い。 司法をより利用しやすくするために、AIはどのように機能するのだろうか。 この領域の研究に長く携わってきた太田勝造教授と新田克己教授が語り合った。

本文を読む

Article

AIが判決の理由を推論する(PROLEG)

判決推論システム PROLEGの可能性

佐藤健教授らが開発した判決推論システム「プロレグ(PROLEG)」では、人工知能(AI)が判決に至った理由を推論することができる。 プログラミング言語の一つである「論理プログラミング」が組み込んであるため、AIがブラックボックス化せず、「説明可能なAI」となるわけだ。 司法分野へのAIの導入を社会が受容できるかどうか考えるうえで、その意義は大きい。

本文を読む

Interview

AIは司法試験をどこまで解けるのか(COLIEE)

法律言語解釈の現状と課題

人工知能(AI)は、はたして司法試験を読み解くことができるのか――。 法学分野へのAI技術の応用に向けての挑戦として、2014年以降、毎年開催されている法律文書処理の国際コンテストが「COLIEE (Competition for Legal Information Extraction and Entailment、通称コリー)」である。 その概要と、実施のなかで見えてきた課題などについて、COLIEEの運営に関わってきた 北海道大学の吉岡真治教授と静岡大学の狩野芳伸准教授に話を聞いた。

本文を読む

Article

AIをめぐる法制度のあり方

人工知能と法

人工知能法学において、人工知能(AI)を司法に生かす研究とともに、 AIの法統制にかかる研究も進んでいる。 AIによって起こりうる新たなトラブルやリスクについて、 どのような法的整備が必要なのか、 AIにおける刑事責任について研究する、京都大学の稲谷龍彦教授に聞く。

本文を読む

Article

AIはオンライン紛争解決で活用できるか

米国・カナダで広がる 司法への人工知能(AI)応用

紛争解決の手段として、AIが司法制度の中で活用される日が 遠くない将来、来るのではないか。 法学とAIの世界に登場したODR(Online Dispute Resolution)。 米国やカナダではすでに普及し始めているという。 その調査・研究を続けてきた渡邊真由・立教大学特任准教授に現状と課題を聞いた。

本文を読む

Essay

3世代目のプログラマは誕生するの!?

コンピュータの世代差を超えて

本文を読む

NII Todayは無料で冊子PDFをダウンロードしてご覧いただけます。

NII Today 第97号

NII Today 第97号

2022年12月発行

・人工知能法学の全貌
・ AIの裁判への導入は「期待」と「不安」と
・AIが判決の理由を推論する(PROLEG)
・AIは司法試験をどこまで解けるのか(COLIEE)
・AIをめぐる法制度のあり方
・AIはオンライン紛争解決で活用できるか
・3世代目のプログラマは誕生するの!?

PDFダウンロード
バックナンバー 一覧