ニュース / News

ニュースリリース

NII教授の山地 一禎が科学技術賞を受賞/平成30年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)コンテンツ科学研究系 教授/オープンサイエンス基盤研究センター センター長の山地 一禎が、文部科学省が本日4月10日に発表した「平成30年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、機関リポジトリ(Institutional Repository:IR)(*1)のクラウドサービス構築の貢献により「科学技術賞」(開発部門) (*2)を受賞しました。

山地教授は、CMSを活用した機関リポジトリシステムを、クラウド型のサービス「JAIRO Cloud」として、大学や研究機関に提供する運用モデルを開発しました。これにより、大学や研究機関はそれぞれ特色あるIRを簡単に構築できるようになり、日本のIR構築数は世界第一位になりました。今回の受賞は、日本のオープンサイエンスの発展に寄与する新しい学術情報流通基盤を開発したことが評価されたものです。

山地教授の受賞に関する情報は以下の通りです(年齢は本年4月1日現在)。

氏名:

山地 一禎(やまじ・かずつな)

pic_yamaji.jpg

年齢:

46

職名:

国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授/オープンサイエンス基盤研究センター センター長

業績名:

オープンサイエンスの中核を形成するリポジトリ基盤の開発

業績概要:

論文雑誌価格の高騰に対するオープンアクセス(*3)や博士論文公開の手段として、機関リポジトリ(IR)の必要性が急速に高まってきた。しかしながら、IRの構築や運用コストが障壁となり、多くの機関がその活動から取り残され、既構築機関でも機能の高度化や持続的運用に問題を抱えていた。

本開発では、コンテンツマネージメントシステム(CMS)を活用した世界初のコミュニティウェアとしてのリポジトリシステムを開発することに成功した。さらにそのシステムを、クラウド型のサービスとして提供する運用モデルの確立に成功した。

本開発により、CMSが提供する多彩な機能を選択して、特色のあるIRを簡便に構築できるようになった。IRの運用担当者が必要な機能は全てWeb UIから提供し、システム管理者との役割分担を機能上分離した。こうしたシステムの特徴を生かしたクラウドサービスを開発し、日本のIR構築数を世界第一位とした。

本成果は、CMSと連動するリポジトリの新しいスタイルを国際的にけん引した。IRの飛躍的な普及から次世代型の学術情報流通基盤を形成し、産業や市民も参加することが期待される、日本のオープンサイエンスの発展に大きく寄与している。

山地教授のコメント:

この度は、『科学技術賞』という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。システムの開発にあたっては、NIIの歴代のリポジトリ事業担当の方々から、多大なる支援や協力をいただきました。現在では国内の500以上の機関に採用していただいている機関リポジトリのクラウドサービスでは、全国の大学図書館員からサービスやシステムの改善のために、ご尽力をいただいております。今回の受賞に導いてくださいました皆さまに、心より感謝申し上げます。

2017(平成29)年度より、オープンサイエンス基盤研究センターのセンター長を拝命し(*4)、センター構成員一丸となり、リポジトリシステムを含めた新しい研究データ基盤の研究開発に取り組んでおります。文献を超えて研究データ中心のサービスを提供していくための、大きな変革の時期を迎えております。

大学や研究機関の方々からのご協力を賜りながら、これまで以上に日本の学術情報基盤の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。

ニュースリリース(PDF版)


(*1)機関リポジトリ(Institutional Repository:IR): 大学・研究機関とその構成員が創造したデジタル資料の管理や発信を行うために、大学・研究機関がそのコミュニティの構成員に提供する一連のサービス。
(*2)「科学技術賞」(開発部門): 我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与する画期的な研究開発若しくは発明であって、現に利活用されているもの(今後利活用されることが期待できるものを含む)を行った個人若しくはグループ又はこれらの者を育成した個人に贈られる賞。
(*3)オープンアクセス: 誰でもインターネットを通じて無料で自由に論文へアクセスできるようにすること。
(*4)オープンサイエンス基盤研究センター: 2017年4月3日付ニュースリリース「『オープンサイエンス基盤研究センター』を新設/ICT基盤の構築と運用で日本のオープンサイエンス展開に貢献」参照。
3102

注目コンテンツ / SPECIAL