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モバイルシステムの無線資源の利用効率を高める研究業績により NII准教授の金子めぐみが若手科学者賞を受賞
〜平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰〜

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)アーキテクチャ科学研究系 准教授の金子 めぐみが、文部科学省が本日4月9日に発表した「平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、「無線資源利用効率を高める次世代移動体通信システムの研究」により「若手科学者賞」(*1)を受賞しました。

 金子准教授は、次世代のモバイルシステム(移動体通信)に向けた、限りある無線資源を効率的に活用できる無線アクセスプロトコル(通信手順)を開発した業績により、若手科学者賞を受賞しました。周波数をはじめとして、時間・空間・エネルギーなどの使える無線資源は限られています。これらを有効に活用し、複数のユーザにどう割り当てるかを解決するプロトコルを、独自の数理的手法により設計しました。通信路が不安定だったり、別のユーザの電波と干渉し合ったりなどの悪条件下でも、通信の品質を保ちながら無線アクセスをコントロールできる、コストも考慮した現実的なプロトコル設計が業績として評価されたものです。

 金子准教授の受賞に関する情報は以下の通りです(年齢は本年4月1日現在)。

【若手科学者賞】
業績名:無線資源利用効率を高める次世代移動体通信システムの研究

氏名:金子 めぐみ(かねこ・めぐみ)

年齢:37

職名:国立情報学研究所(NII)アーキテクチャ科学研究系 准教授

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業績要約:

 スマートフォンやIoT通信の普及により、近未来には莫大な通信データ量の増加が必至である。移動体通信システムに割当てられた無線資源は有限で、現行システムでは急増するデータ量に対応する事は不可である。

 金子めぐみは、無線資源利用効率に関するいくつかの重要課題に対して、数理的手法を駆使して解析的にアプローチを行ってきた。その結果、各無線資源単位の複数ユーザへの同時割当てを可能とする新しい無線資源割当ての提案や、最新の多元接続方式の厳密なスループット特性の理論解析に初めて成功するなど、電波の有効利用につながる独創的な成果を挙げてきた。

 本研究成果は、次世代移動体通信システムやIoTシステム等での多様な性能要求(伝送速度・遅延・通信品質・省電力等)を高レベルで同時に達成すると期待される。

金子准教授のコメント:

 私は無線資源利用効率を高める為の研究を、博士課程から現在まで、様々な角度から進めてまいりました。10年以上の研究成果を今回このような形でご評価いただき、大変光栄で嬉しく存じます。フランス・デンマーク・日本でご指導ご支援くださる皆様、共同研究者の方々、そして日常的に支えてくれる家族に、心から感謝いたします。
 この無線資源不足問題は以前から重視されていましたが、近未来に予想されるIoT通信等に伴う膨大な無線データ量の急増により、この問題は更に深刻になりつつあります。5Gが実施され始める中、既に6Gに向けた研究は世界各地で開始しています。今後も、これまでの研究を土台に、増々多様化していく厳しい通信品質要求を達成できる、より優れた無線資源・エネルギー資源の利用に向けて、国際的な研究活動に取り組んでまいります。

関連リンク

平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について(文部科学省サイト)

大学間連携のための認証連携アーキテクチャの開発業績で文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞
~岡部寿男 京都大教授、西村健 NII特任研究員、佐藤周行 東京大准教授、後藤英昭 東北大准教授、曽根原登 津田塾大教授が共同で受賞~(NIIサイト)

ニュースリリース(PDF版)

モバイルシステムの無線資源の利用効率を高める研究業績によりNII准教授の金子めぐみが若手科学者賞を受賞
〜平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰〜


(*1) 「若手科学者賞」: 萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者が対象。
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