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人工格子中でd 波ボーズアインシュタイン凝縮体を初めて実現 ―半導体チップ上の量子シミュレーション実験に成功―

半導体サンプルの概念図

情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下NII、所長:坂内 正夫)の山本 喜久 教授とそのグループは、内閣府 最先端研究開発支援プログラム「量子情報処理プロジェクト」の支援を受け、半導体チップ上に構成されたマイクロ共振器デバイスを用いて、d波ボーズアインシュタイン凝縮体を実現することに初めて成功しました。

本最先端プロジェクトでは、理論的にも数値的にも解析困難な数学、物理学、化学上の難問を解くことの出来る量子シミュレーターの開発を、目標の一つにしています。今回の成果は、半導体マイクロ共振器中に2次元正方格子を持つデバイスを開発し、その中で生成された励起子ポラリトンのボーズアインシュタイン凝縮体を用いて、銅酸化物高温超伝導体などを実現していると言われるd波凝縮体を世界で初めて人工的に実現しました。

これまで、現実の物質に対する限られた実験手段によってのみ研究されてきたd波凝縮体ですが、今後はこの人工格子に基づく量子シミュレーターを用いて、その特性・発現機構がより一層明らかにされ、新たな物性現象の発見に繋がるものと期待されました。

この成果は、平成23年6月19日(日)(英国時間)発刊の「Nature Physics」誌(電子版)に掲載されます。

掲載論文名:“Dynamical d-wave condensation of exciton–polaritons in a two-dimensional square-lattice potential”

(Na Young Kim, Kenichiro Kusudo, Congjun Wu, Naoyuki Masumoto, Andreas Löffler, Sven Höfling, Norio Kumada, Lukas Worschech, Alfred Forchel and Yoshihisa Yamamoto)

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