ニュース / News

ニュースリリース

オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」開講/JMOOCの公認プラットフォーム「gacco」で

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(所長:喜連川 優、東京都千代田区)は、一般社団法人 日本オープンオンライン教育推進評議会(JMOOC)公認の配信プラットフォーム「gacco」で、無料オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」を本年11月15日から開講します。本研究所のMOOC講座開講は今回が2回目です。

20170818-01_410px.png

(2017/08/28更新)

近年、国際的な動向として、論文だけでなく研究データやソフトウェアなどもインターネット上などで社会一般に広く公開・共有する「オープンサイエンス」が新しい研究の進め方として注目されています。異なる機関が研究データ等を共用するためには、それらを共通の名称や形式で保存・公開するなどオープンサイエンスに向けた研究データ管理が求められますが、こうした管理に関する基礎知識やノウハウが普及していないことがオープンサイエンスの推進における大きな障害になっています。

本講座は、オープンサイエンスにおける研究データ管理に関する基礎的な知識の習得を目的に、大学・研究機関の図書館、IT部門、研究支援部門等の支援人材育成のためのトレーニングツールとして開講します。平成28年度(2016年度)にデータ管理のための教材資料を作成・公開した「オープンアクセスリポジトリ推進協会」(*1)研究データタスクフォースの協力のもと、本研究所が制作しました。

JMOOCは日本およびアジアにおける「MOOC」(*2)の環境整備と普及促進を産学連携により実現するため、平成25年(2013年)11月に設立されました。本研究所では、研究や事業活動の中から社会や学術界で広く必要とされているテーマを選定し、MOOCによる講座を提供しています。昨年度は本研究所の若手研究者が講師を務める入門編のプログラミング講座「はじめてのP」を開講しました。

無料オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」の開講概要や講座内容、講師は以下の通りです。

《「オープンサイエンス時代の研究データ管理」開講概要》

受講受付開始日:平成29年(2017年)8月23日(水)
開講日:平成29年(2017年)11月15日(水)
対象:
  • 大学や研究機関等において研究者の支援に携わる方
  • オープンサイエンスや研究データ管理に関心のある方
gaccoの講座ページ
《講座内容》

研究活動の進展に伴って研究データがたどるプロセスとその管理のあり方について理解するとともに、研究の再現性と透明性の向上に欠かせない効果的な研究データ管理の方法について学ぶことができます。概略を学んだ後、各学習者が所属機関における研究データ管理サービスの構築に向けた戦略立案を行うための足掛かりを得られるよう構成されています。

20170818-02_650px.png 第1週 研究データ管理とは
  • 研究データ管理の重要性が増している背景
  • 研究データ、研究データ管理の定義
  • 効果的なデータ管理に欠かせないデータ管理計画
  • データ管理計画をめぐる国内外の動向
  • データ管理計画の実際
第2週 保存・共有・文書化
  • 研究データの保管や長期保存・共有・再利用
  • 研究データの組織的な管理
  • データを文書にまとめる
第3週 メタデータ・法論理的問題
  • データにメタデータを付与する
  • データの引用
  • 研究データをめぐる著作権・再利用促進のためのライセンス
  • 研究不正・研究倫理
  • センシティブデータ
第4週 運用に向けて
  • ポリシーとは
  • 研究データ管理サービスとは?
  • サービスの設計~学習者が自機関での研究データ管理サービスを構築するためのステップ
《講師プロフィール》
天野 絵里子(京都大学 学術研究支援室 リサーチアドミニストレーター)

京都大学、国際日本文化研究センター、九州大学での図書館職員を経て現職。同志社大学大学院ビジネス研究科修了、同志社大学大学院総合政策科学研究科修了、博士(技術経営)

大園隼彦(岡山大学附属図書館 情報管理課基盤グループ 図書職員)

平成14年(2002年)より現職。平成28年度機関リポジトリ推進委員会研究データワーキンググループ参加

西薗 由依(鹿児島大学 学術情報部情報サービス課情報調査支援係 係長)

平成15年(2003年)より現職。平成29年度オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)作業部会員(研究データタスクフォース)

前田 翔太(北海道大学附属図書館 学術システム課 システム管理担当係員)

東京外国語大学外国語学部卒業後、現職

南山 泰之(情報・システム研究機構 国立極地研究所 情報図書室 主任)

第49次日本南極地域観測隊に参加後、東京大学駒場図書館を経て現職。平成29年度 JPCOAR作業部会員(研究データタスクフォース)

三角 太郎(筑波大学 学術情報部 アカデミックサポート課長)

宇部工業高等専門学校、山口大学、山形大学、千葉大学を経て現職。東北大学理学部卒

常川 真央(千葉大学 アカデミック・リンク・センター 特任助教)

アジア経済研究所を経て現職。筑波大学図書館情報専門学群卒、筑波大学大学院博士前期課程図書館情報メディア研究科修了、筑波大学大学院博士後期課程図書館情報メディア研究科修了。博士(図書館情報学)

尾城 孝一(国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター 特任研究員)

昭和58年(1983年)より複数の国立大学附属図書館、国立国会図書館、国立情報学研究所に勤務。本年4月より現職。平成29年度 JPCOAR作業部会員(研究データタスクフォース)

山地 一禎(国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター センター長)

和歌山県立医科大学、理化学研究所脳科学総合研究センターを経て、平成19年(2007年)より国立情報学研究所で学術認証フェデレーション、機関リポジトリなど学術情報基盤に関わる事業に携わる。本年4月より現職。

ニュースリリース


(*1)「オープンアクセスリポジトリ推進協会」: 日本における機関リポジトリを振興・相互支援することを目的に、国公私立大学図書館協力委員会と国立情報学研究所の間の連携・協力協定に基づいて昨年7月に設立。略称はJPCOAR。国内の大学や研究機関が各機関リポジトリの発展に向けた課題の解決に共同で取り組む拠点。研究データタスクフォースは、研究データ管理のトレーニングツールの開発やケーススタディーによる研究データ管理のノウハウの蓄積を目指して活動している。
(*2)「MOOC」: Massive Open Online Courses。米国で始まった無料公開オンライン教育サービス。オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる(JMOOC公式サイトより)。
2663

注目コンテンツ / SPECIAL