ニュース / News

ニュースリリース

日本の学術情報流通のハブ機能を果たすデータベース「IRDB」をリニューアル
~オープンサイエンス時代の新しいメタデータ規格に対応~

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NIIエヌアイアイ、所長:喜連川 優、東京都千代田区)は、学術機関リポジトリ(*1)データベース「IRDB(*2)」を新バージョン(以下、新IRDB)にリニューアルしました。従来のIRDB(以下、旧IRDB)と学術機関リポジトリポータル「JAIROジャイロ(*3)」を統合し、オープンサイエンス(*4)時代の研究データに対応した新たなメタデータ(*5)規格であるJPCOARスキーマ(*6)に対応したデータベースとなりました。今回のリニューアルで、日本国内の学術機関リポジトリに登録されたコンテンツの情報が国内外にさらに精緻に提供できるようになるため、各種の検索サービス等で必要な学術論文等が探しやすくなります。

新たなメタデータ規格であるJPCOARスキーマへの対応

 各大学等研究機関は、自機関の構成員が創造したデジタル資料の管理や発信を行うために学術機関リポジトリの整備を進めています。NIIでは、機関ごとに構築している機関リポジトリのメタデータを集約するデータベースとして2007年から旧IRDBを運用してきました。この旧IRDBで各リポジトリからメタデータを収集(ハーベスト)したコンテンツは約290万件に達しています。また、NIIでは、この旧IRDBのデータを検索するポータルサイトであるJAIROも2009年から運用してきました。そして、この旧IRDBは、集約した学術論文等のメタデータを、NIIが運営するJAIROだけではなく、NDL Search(*7)、CiNii Articles(*8)、CiNii Dissertations(*9)、Japan Link Center(*10)などの外部の各種のサービスにも提供してきました。

 今回、旧IRDBとJAIROを統合し、新バージョンの新IRDBとしてリニューアルしました。新IRDBでは、国内外の学術情報流通環境を向上させるために、新たなメタデータ規格であるJPCOARスキーマに対応し今後増加する研究データのメタデータも集約していきます。また、JPCOARスキーマの規格に準拠しているかのエラーチェックや従来規格であるjunii2(*11)からJPCOARスキーマへの変換、正規化を新たに行います。これにより、新IRDBはリニューアル前よりも正確なデータを国内外の検索システム等に提供できるようになります。(図1)。この対応で、各種の検索サービスの利用者は日本のどの学術機関リポジトリに必要とする学術論文や研究データが収録されているのか探しやすくなります。

nii_newsrelease_20190403_image1.png

〈図1〉リニューアルした学術機関リポジトリデータベース「IRDB」の仕組み

関連リンク

ニュースリリース(PDF版)

日本の学術情報流通のハブ機能を果たすデータベース「IRDB」をリニューアル
~オープンサイエンス時代の新しいメタデータ規格に対応~


(*1) 学術機関リポジトリ: 大学とその構成員が創造したデジタル資料の管理や発信を行うために、大学がそのコミュニティの構成員に提供する一連のサービス。NIIは、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)と共同で機関リポジトリのクラウドサービス「JAIRO Cloud」を提供している。JAIRO Cloudは、学術論文等の文書ファイルを保存・公開する情報システム「WEKO2」がベースになっている。
(*2) IRDB: 学術機関リポジトリデータベース(Institutional Repositories DataBase)。日本国内の学術機関リポジトリに登録されたコンテンツのメタデータを収集し、国内外に提供するデータベース・サービス。https://irdb.nii.ac.jp/
(*3) JAIRO: 学術機関リポジトリポータル(Japanese Institutional Repositories Online )。日本の学術機関リポジトリに蓄積された学術情報を横断的に検索できるオンラインサービス。
(*4) オープンサイエンス: デジタル時代に対応した、これまで以上にオープンで、多様な可能性をもって行うことができるようになった研究活動の諸側面の総称。
(*5) メタデータ: データの意味を記述するデータ、またはデータを代表するデータのこと。文書の場合は著者名、表題、発表年月日等のほか、関連キーワードなどが代表的なメタデータとなる。
(*6) JPCOARスキーマ: 国際的な動向・技術の進展にあわせて、現在の機関リポジトリのメタデータ規格であるjunii2を改訂した、新たなメタデータ規格。オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)が平成29年(2017年)10月にver.1.0を策定した。
(*7) NDL Search: 国立国会図書館をはじめ、全国の公共図書館、公文書館、美術館や学術研究機関等が提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できる「『知』のアクセスポイント」。http://iss.ndl.go.jp/
(*8) CiNii Articles: 学協会刊行物・大学研究紀要・国立国会図書館の雑誌記事索引データベースなどの学術論文情報を検索できるオンラインサービス。https://ci.nii.ac.jp/
(*9) CiNii Dissertations: 国内の大学および独立行政法人大学評価・学位授与機構が授与した博士論文の情報を検索できるオンラインサービス。https://ci.nii.ac.jp/d/
(*10) Japan Link Center: 国際DOI財団から、国際的な識別子であるDOIの登録機関(RA)に認定された日本で唯一の機関。電子化された学術論文、書籍、論文付随情報、研究データなどにDOIを登録し、コンテンツの所在情報 (URL) 等とともに管理している。https://japanlinkcenter.org/
(*11) junii2: NIIが平成18年(2006年)秋に公開した、機関リポジトリから学術論文等の情報を収集(ハーベスト)するためのメタデータ規格。
3677

注目コンテンツ / SPECIAL