NII Today 第82号
Dec. 2018No.82

オープンアクセスへの道これからの学術情報流通システムを考える

学術誌(ジャーナル)に研究成果を発表したり閲覧したりすることは研究者にとって必要不可欠なことです。海外の大手出版社が提供する電子ジャーナルの価格高騰に加え、大学の運営費交付金の削減によって、学術誌が読めなくなる恐れが現実のものになりつつあります。大学などの電子アーカイブ(機関リポジトリ)に論文を集めて公開するオープン化の動きは事態を変えるのでしょうか。京都大学図書館機構長の引原隆士教授に聞きました。

CONTENTS

Interview

オープンアクセスは電子ジャーナル問題を解決できるか

研究環境の改善に向けた京都大学の取り組み

 学術誌(ジャーナル)に研究成果を発表したり閲覧したりすることは研究者にとって必要不可欠だ。海外の大手出版社が提供する電子ジャーナルの価格高騰に加え、大学の運営費交付金の削減によって、学術誌が読めなくなる恐れが現実のものになりつつある。大学などの電子アーカイブ(機関リポジトリ)に論文を集めて公開するオープン化の動きは事態を変えるのだろうか。京都大学図書館機構長の引原隆士教授に聞いた。

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Interview

どうなる、どうする、 明日の学術情報システム

持続可能性の鍵としてのオープンアクセス

 この数年、オープンアクセス(OA)をめぐる動きが急だ。かつては絵に描いた餠と言われていた既存誌のOA化が進む一方、欧州諸国は国家戦略としての取り組みを強める。何がどう変わろうとしているのか、それに対して日本はどう備えておく必要があるのか。OAに長く取り組み、急増する論文に対応するためにもOAが不可欠という国立情報学研究所の安達淳副所長にその意味と今後の課題を聞いた。

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Article

オープンアクセス普及のカギを握るさまざまな取り組み

グリーンOA、ゴールドOAは学術誌を救うか

 1980年代以降、学術誌の価格高騰を受けて、大学図書館で購読できる学術誌の数が減ってきた。この状況を変えたのが、2000年代から広がってきた電子ジャーナルの存在だ。複数の学術誌を一括で契約するパッケージ契約や、大学図書館がコンソーシアムを組んで出版社と集団交渉を始めたことで、大学で読める学術誌は大幅に増加。しかし、その後も電子ジャーナルの価格上昇は続く。
 こうした状況を打破しようと登場した「ゴールドOA」や機関リポジトリを通じた「グリーンOA」、プレプリントサーバーなどの取り組み、さらには機関リポジトリの新たな役割と課題、今後の展望について語ってもらった。

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Article

学術誌をアカデミアの手に取り戻す

オープンアクセスの最新動向と岐路に立つ日本

 「インターネットで論文にアクセスしたら値札がついていて読めなかった」、「自分が投稿した論文なのに読むことができない」、「学術誌が高すぎて購読契約ができないと所属機関から聞いた」。
 こうしたことは、研究者であれば誰しも一度ならずも経験したことがあるのではないでしょうか。出版に一定のコストがかかるのは致し方ないとしても、インターネットがありコンテンツをオープンに瞬時に流通させることができる時代にあって、学術情報をもっと自由に流通させたいというのは多くの研究者の願いでしょう。
 この課題の解決のために進められている「オープンアクセス」について、各国の動きや手法、対策を紹介します。

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Essay

バイオ研究者にとってのOA推進

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NII Today 第82号

NII Today 第82号

2018年12月発行

・オープンアクセスは電子ジャーナル問題を解決できるか
・どうなる、どうする、 明日の学術情報システム
・オープンアクセス普及のカギを握るさまざまな取り組み
・学術誌をアカデミアの手に取り戻す
・バイオ研究者にとってのOA推進

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