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ニュースリリース

「オリコン顧客満足度(R)」のリアルな大規模調査データを学術研究目的に提供
~約100産業、累計200万人以上の国内最大規模アンケートデータを 国立情報学研究所が7月1日より順次提供開始~

 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、東京都千代田区、所長:喜連川 優)と株式会社oricon ME(オリコン、東京都港区、代表取締役社長:小池 恒)は、オリコンが保有する「オリコン顧客満足度(R)」の調査データを学術研究分野で活用促進することを目指して提携し、「オリコンデータセット」として提供をスタートします。

 オリコンは、実際の商品やサービスを利用したユーザーに対する顧客満足度調査を2006年から実施し、現在までに約100の産業について累計200万人以上からの回答を得て、日本最大級の調査データを蓄積してきました。今回提供する「オリコンデータセット」は、この調査データをできるだけそのまま学術研究コミュニティー向けに提供するもので、新たな技術・サービスの発展やビジネスチャンスの創出、データサイエンティスト育成などへの貢献が期待されます。

 このオリコンデータセットは、NIIのデータセット共同利用研究開発センター(センター長:コンテンツ科学研究系教授 大山 敬三)が運営する情報学研究データリポジトリ(IDR)を通じて提供されます。

 国立情報学研究所(NII)は2010年(平成22年)に情報学研究データリポジトリ(IDR)を設置し、様々な民間企業や研究機関が保有する各種のデータセットを受け入れて研究コミュニティーに提供してきました。2015年(平成27年)4月には、情報学研究に有用なデータセットを整備して研究者に提供するとともにデータセットの構築とその活用基盤に関する研究開発を行うデータセット共同利用研究開発センターを設置し、研究コミュニティーへのデータセットの提供をさらに強化するとともに、大規模な実データと最先端情報技術を活用したデータサイエンス研究の加速に取り組んでいます

 一方、株式会社oricon ME(オリコン)は″見えない満足を可視化する"をコンセプトに、商品やサービスにおけるオリコン顧客満足度(R)調査を実施してきました。2006年より実施してきたこの調査は、実際に提供されているサービス等を利用したことのあるユーザーを対象にアンケート形式でデータを収集するもので、これまでに約100の産業をカバーし累計200万人以上の回答を蓄積しています(調査対象の産業例は別紙をご覧ください)。また10年以上の調査実績から、顧客満足度のみならず、各産業で求められるマーケティング用途のデータも蓄積しており、充分に整備されてきました。

 そこで今回、NIIとオリコンは学術研究分野向けのデータ提供で提携し、この「オリコン顧客満足度(R)」調査データを「オリコンデータセット」として7月1日(月)から提供することになりました(申請は6月25日(火)より受け付けスタート)。当初はまず2016年以降の調査データ(回答67万人分)から提供を開始し、その他のデータも準備が整いしだい順次追加していく予定です。

 今回提供するオリコンデータセットに含まれる膨大なデータは、産業数、サービスまたは企業数、調査サンプル数の点で日本最大級であるだけでなく、綿密に設計・実施されたアンケートによる調査データという点に特徴があり、商品やサービスに対して実際の顧客が評価したリアルな顧客満足度のデータとなっています。この調査データの取得には、回答するユーザーの属性分布を統計的に意味があるサンプルとすることでプラスの評価とマイナスの評価を系統的に収集できるなど、データの品質をコントロールできるアンケート手法が用いられています。そのため、AIや機械学習の教師データとしても利用しやすいものとなっています。

 このデータセットを学術コミュニティーに提供して利用可能とすることにより、ビッグデータ分析、AIや機械学習などの手法の開発にとどまらず、実際の顧客満足度データの活用を通じてデータ収集段階では想定されていなかったデータ価値が発見されることが期待できます。マーケティング分野はもちろんのこと、それ以外の多様な学術分野で利用いただくことにより研究が進展し、あるいは新たな技術・サービスの創出へとつながることも期待しています。さらに、このような実データで研究するチャンスを大学生・大学院生を含む若手研究者へ提供することで、データサイエンティスト等の人材育成にも貢献できるものと考えています。

 NIIはこれまでにIDRを通じて、口コミなどのユーザー投稿型データやユーザー行動履歴データなどのデータセットを提供してきましたが、オリコンデータセットはこれらとは切り口や収集方法が異なるため、相補的にデータを活用することで新たな研究の展開も期待されます。

 このようなリアルなデータは学術研究目的であるとしても個人情報やプライバシーに関連して適正管理が求められる(*1)ため、従来は研究者にデータ提供する際の障害となっていました。そこで本データセットでは、学術コミュニティーの一員であるNIIが窓口となって、学術研究目的での利用であることを確認し利用条件等を遵守することに同意した研究者にデータセットを提供します(*2)。さらに、NIIが定期的に利用者の利用状況や研究成果を把握する(*3)ことで、データの不適切な利用を抑止できます。このような仕組みにより、オリコンは多分野の多数の研究者にデータを提供できることになり、学術コミュニティーは現実に即したデータを利用した実践的な研究が可能となります。

 NIIとオリコンは、このデータセット提供が、一層の学術研究の発展とオープンサイエンスの進展、及びデータサイエンスにおける教育と人材育成の強化に貢献できることを期待しています。

国立情報学研究所(NII)データセット共同利用研究開発センター長 大山 敬三コメント:

「今回、オリコンよりご提供いただいたオリコンデータセットは、定評のあるオリコン顧客満足度調査の基礎となっているアンケート調査の個票データを、できるだけそのままの形で研究リソースとして利用可能としたものです。回答者が大規模であるばかりでなく、調査対象の製品やサービスも多様であり、しかも綿密に設計された方法で実施されたアンケート結果ですので、専門家はもとより、新たにデータ分析にチャレンジしようとする方にも使いやすいデータとなっています。学術コミュニティーにとって大変貴重な研究リソースですので、研究者だけでなく学生の皆さんにも大いに活用いただきたいと思います。IDRデータセットに、これまでと異なる新しいタイプのオリコンデータセットが加わることにより、研究の幅が一層広がることを期待しています。」

株式会社oricon ME CS事業本部長 庄司 知コメント:

「オリコン顧客満足度調査は、第三者機関として日本最大規模の満足度調査を実施しています。規模が大きいだけではなく、調査過程において緻密なアンケート設計と各産業で実際に求められる評価項目やマーケティングデータを集積しています。結果として純度の高い回答データが大量に蓄積されており、またこのデータを研究の用途に限定するものの第三者に提供していくことで、調査の透明性も証明でき、安心して利用して頂けるものと考えています。研究者や学生が同規模の調査をしようとする場合、このようなデータの収集には、専門的なノウハウと大きな費用の負担が発生してしまいますが、今回、国立情報学研究所を通して研究に活用して頂く機会を得られたことで、様々な学術研究分野の発展に寄与できるものと胸を膨らませています。オリコンでは、今回提供いたしますデータセットだけでなく、研究者や学生にとって、利用価値のある研究リソースを引き続き提供していきたいと考えています。」

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「オリコン顧客満足度(R)」のリアルな大規模調査データを学術研究目的に提供
~約100産業、累計200万人以上の国内最大規模アンケートデータを国立情報学研究所が7月1日より順次提供開始~


(*1) オリコンが調査データを取得する際に、学術目的に利用することについてユーザーから事前同意を受けています。
(*2) オリコンデータセットの提供先は、原則として、NIIとオリコンが定めた利用条件等に同意した大学や公的研究機関の研究室などに限りますが、利用条件等の範囲であれば、研究代表者の適切な管理のもとで、大学生・大学院生を含む研究者が自由な発想に基づく学術研究に利用することができます。
(*3) データセットの利用状況や論文などの研究成果を定期的に報告いただき、NIIが研究成果の一覧を公開します。
本発表は、株式会社oricon MEとの共同発表です。
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