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ニュースリリース
「SIGVerse」がWorld Robot Summitでシミュレーターとして活用へ/稲邑准教授の研究グループが開発/経産省、NEDO主催の国際的なロボット大会
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)情報学プリンシプル研究系准教授、稲邑 哲也(いなむら・てつなり)の研究グループが開発したロボット環境シミュレーター「SIGVerse™」が、経済産業省と国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する国際的なロボットの大会「World Robot Summit(WRS)」 で実施されるロボット競技会でシミュレーターとして活用されることになりました。経済産業省とNEDOが1月23日、WRSの開催や競技会の競技内容などについて発表しました。
SIGVerse(*1)は、実機ではなく仮想現実空間のロボットを使って、人間とロボットの相互作用(インタラクション)によりタスクを達成するための知能ロボットシステムの実験や評価を行うシミュレーターです。このシステムの特徴は、従来のロボットシミュレーターでは難しかった人間と仮想ロボットのインタラクションを可能にした点です。SIGVerseはVRアプリケーション作成のためのプラットフォーム「Unity」(*2)と知能ロボットのソフトウェア開発環境(ミドルウェア)の「ROS」(Robot Operating System)を統合し、リアルタイム通信を実現しています。これにより、SIGVerseでは人間がヘッドマウントディスプレーなどを装着して仮想空間上のアバターにログインし、身振り手振りや音声対話をすることで仮想ロボットと身体的、社会的なインタラクションを行うことができます。
〈図〉社会的知能発生学シミュレーター「SIGVerse」
WRSは経済産業省とNEDOが主催し、世界のロボット関係者が一同に会して日々の生活や社会、産業分野でのロボットの社会実装と研究開発を加速させることを目的にしています。WRSのプログラムには、SIGVerseがシミュレーターとして活用されるロボット競技会「World Robot Challenge」と最新のロボット技術の展示会「World Robot Expo」があり、プレ大会が2018年10月17日〜21日に東京ビッグサイトで、本大会が2020年10月に愛知県国際展示場(一部競技は2020年8月に福島ロボットテストフィールド)で開催されます。
World Robot Challengeでは、人間の生活を支援するロボット技術の向上と情報交換を行いながら、ロボットの社会実装による暮らしや社会の変化の可能性を探ります。競技は「ものづくり」「サービス」「インフラ・災害対応」「ジュニア」の4カテゴリーで行われ、SIGVerseは「サービスカテゴリー」の「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」の基盤システムとして活用されます。この種目では、人間との対話を通じて仮想ロボットが部屋を片付けたり、ロボットが人間の作業の支援を自然言語を用いて行ったりするタスクなどが実施されることから、Unity経由でアバターにログインした人間とROSで制御されている仮想現実空間のロボットがリアルタイムにインタラクションを行うことができるという世界的に前例のない機能が評価されて、SIGVerseが活用されることになりました。
人間と仮想ロボットがリアルタイムにインタラクションを行いながらタスクを実行する競技会の開催は世界でも初の試みです。World Robot Challengeでの競技を通じて、知能ロボットの機能開発や性能評価が加速されることが期待されています。
SIGVerseは昨年7月に名古屋市で開催された「ロボカップ2017名古屋世界大会」でも「ロボカップ@ホーム」部門でトヨタ自動車製の生活支援ロボット(HSR)と人間が対話するためのシステムに実装されました。稲邑准教授の研究グループは社会で役に立つロボットの知能研究に貢献するため、今後もSIGVerseの機能改良を進めていきます。
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