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量子技術の教材データベースの充実化
~九大、慶大、名大、東大との協働で量子技術の人材育成を推進~

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NIIエヌアイアイ、所長:黒橋くろはし 禎夫さだお、東京都千代田区)は、量子技術に関する図やグラフ、練習問題といったコンテンツを収めた教材データベースを充実化させました。

量子技術高等教育拠点: https://qacademy.jp/

 今回は、収録コンテンツが分類されている主題群に、新たに、「量子機械学習」の項目を追加し、さらに、全コンテンツについて、「タイトル」と「内容記述」の英語訳を追加することで、データベースの英語対応を図りました。量子技術高等教育拠点では、引き続き、量子科学技術分野の人材育成への貢献を目指し、教材データベースの充実化に取り組んでいきます。

release_20240229-2_fig1.png図1:5機関の研究者が量子技術高等教育拠点の教材データベースにコンテンツを提供

 近年、量子科学技術が世界的に急速な発展を遂げています。その一方で、研究や開発、そしてセールスやマーケティングといった広範な職種で量子技術の中長期的な発展を支える人材の不足への懸念が高まっています。この状況を受け、NII量子情報国際研究センター(センター長:特任教授 根本ねもと 香絵かえ)は、九州大学、慶應義塾大学、名古屋大学、東京大学およびNIIの5機関の協働で量子技術高等教育拠点(幹事機関:NII、https://qacademy.jp )を2020年にスタートさせました。この拠点は文部科学省Q-LEAP(光・量⼦⾶躍フラッグシッププログラム)人材育成共通コアプログラムの助成(JPMXS0120351339)を受けて設立したもので、質の高い量子技術教育の支援を行い、融合研究、社会実装、量子新技術の社会への導入と普及を支える人材の育成を目指して、オープンサイエンス※1に基づく教育事業を行っています。こうした背景のもと、今回は、昨年6月に公開運用を開始した教材データベースの充実を図りました。

 教材データベースは、NIIオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS、センター長:コンテンツ科学研究系 教授 山地やまじ 一禎かずつな)が開発するデータ公開基盤を利用した、量子科学技術で多用される図、グラフ、練習問題といったコンテンツを、クリエイティブコモンズ※2 CC BY-SAライセンスのもとで提供するものです。これらのコンテンツは、「量子もつれ」、「量子暗号」といった10の主題ごとに分類され収録されていますが、この度、新たに「量子回路学習の概要図」、「再帰的ニューラルネットワーク」といった34のコンテンツを含む「量子機械学習」の主題が追加されました。さらに、全コンテンツについて、「タイトル」および、そのコンテンツを説明する「内容記述」の項目に英語表記を追加し、英語対応を図りました。

 これにより、データベースとしての幅が広がるとともに、英語検索への対応や海外ユーザーへの配慮といった、機能の充実化が図られました。今後、さらに主題も増やし、動画や講義スライド、計算コードなどもコンテンツに加えていく予定です。この教材がインターネットを通して大学教育や研究の現場で広く利用され、量子科学技術分野の人材育成に貢献できることを期待しています。

関連リンク

国立情報学研究所 量子情報国際研究センター
国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター

News Release: PDF

量子技術の教材データベースの充実化
~九大、慶大、名大、東大との協働で量子技術の人材育成を推進~


(*1) オープンサイエンス:学術論文と研究データがアカデミアおよび社会で広く共有され、幅の広い研究活動がオープンに行われることで、研究活動の加速化や、社会と緊密な連携の上に成り立つ問題解決が進み、学術活動が新しい次元(=オープンサイエンス)に移行することが世界的に期待されている。詳細はNIIオープンサイエンス基盤研究センターのウェブページ https://rcos.nii.ac.jp/ 参照
(*2)クリエイティブコモンズ:著作物の適正な再利用の促進を目的とし、著作者が自分の著作物の再利用条件を示す簡単なマークを表示して、コンテンツの流通を簡単に行えるようにする仕組み
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