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構造化特異値の新しい解釈とそのシステム科学への応用研究により NII准教授の岸田昌子が若手科学者賞を受賞
〜令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰〜
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)情報学プリンシプル研究系 准教授の岸田 昌子が、文部科学省が本日4月7日に発表した「令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、「構造化特異値の新しい解釈とそのシステム科学への応用研究」により「若手科学者賞」(*1)を受賞しました。
岸田准教授は、不確かさを有するシステムの解析・制御に現れる重要かつ計算困難な問題に取り組み、その解を数学的に厳密に記述することに成功しました。また、その数値解が効率良く求まることを示し、多種多様なシステム科学の問題に活用しました。
不確かさを有するシステムの解析は難しく、多くの場合でシミュレーションに頼るか、問題を単純化した最適化問題を解くことになります。しかし、シミュレーションでは解の正確性は保証できないという問題があり、単純化すれば解は保守的になるという問題がありました。本研究の成果により、不確かさを有するシステムの解析に現れる問題に対し、正確性を保証する非保守的な解を効率良く求められるようになりました。
制御理論で安定性解析に用いられる「構造化特異値」は計算困難ですが、この手法では実用的に十分な近似解を効率良く求めることができます。構造化特異値の本質が距離を測る指標であることに着目し、計算困難な問題を距離を測る問題に書き換えたことにより、解を構造化特異値を用いて記述でき、近似解が効率よく求まるようになりました。
【令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞】
構造化特異値の新しい解釈とそのシステム科学への応用研究
氏名:岸田 昌子(きしだ・まさこ) 年齢:38 職名:情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII) |
(年齢は本年4月1日現在)
業績要約:
不確かさを有するシステムの解析は一般に難しく、シミュレーションに頼るか、問題を単純化して得られる最適化問題を解くのが一般的である。しかし、シミュレーションに頼ると解の正確性は保証できず、問題を単純化すれば解が保守的になるという課題がある。
氏は、不確かさを有するシステムの解析・制御に現れる、重要かつ計算困難な問題に対し、構造化特異値を用いれば、正確性を保証する非保守的な解が効率良く求まることを示した。また、その成果をネットワーク化制御や行列解析など幅広いシステム科学の問題に活用した。
本研究成果は、不確かさがシステムに及ぼす影響を適切に定量化する革新的な手法を提案するものであり、より効率良く安全なシステムを構築するためのシステム解析及びシステム制御に役立つと期待される。
岸田准教授のコメント:
この度は若手科学者賞という名誉ある賞を頂き光栄に思います。本研究を進めるにあたってご協力頂いた共同研究者、そしていつも温かく支えてくださる研究仲間に感謝してもしきれません。不確かさは、現実のシステムを数理的に議論しようとすると避けて通れませんが、扱いづらいものです。この研究は、ちょっと変わった視点から不確かさを見直すことで、なんとかその影響を効率的に見積もろうと試みたもので、数々の興味深い発見がありました。
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構造化特異値の新しい解釈とそのシステム科学への応用研究により NII准教授の岸田昌子が若手科学者賞を受賞
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