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ニュースリリース

学術検索基盤の研究開発の最先端に触れる
~CiNii Labsサイトの公開~

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 (NIIエヌアイアイ、所長:黒橋くろはし 禎夫さだお、東京都千代田区) のオープンサイエンス基盤研究センター(*1) (RCOSアールコス、センター長:NIIコンテンツ科学研究系教授 山地やまじ 一禎かずつな、東京都千代田区) は、提供中の学術情報検索基盤「CiNiiサイニィ Researchリサーチ(リンク:https://cir.nii.ac.jp/)」のサブサービスとして「CiNiiサイニィ Labsラボ (リンク:https://labs.ci.nii.ac.jp/)」を2024年 (令和6年) 3月25日、公開しました (図1) 。このサービスでは、CiNii Research高度化を目的とした開発中のシステムを体験できる他、API (Application Programming Interface) で提供されているデータの圧縮版をダウンロードできるなど、多様な活用が可能です。研究者や学術情報検索に興味を持つ利用者にCiNii Researchをより身近に感じていただく、発展のためのLaboratory (研究室) として、今後もコンテンツを追加する予定です。

【背景】

 国立情報学研究所は約20年前から、論文を中心とした学術情報を検索できる基盤としてCiNiiを提供してきました。CiNii検索の対象範囲やユーザインターフェースの構成は時代の要請と共に変化し続けており、特に2021年以降は学術情報検索基盤CiNii Researchとして、論文だけでなく研究データや書誌、プロジェクト等も含めた、統合的な検索環境を提供しています。さらにCiNii Researchの安定的な稼働運用を続けながら、アジャイル的に内部データの品質向上や新しい機能の開発を進めており、利用者の皆様の意見を取り入れながら今後も発展させていく予定です。

【本サービスの機能】

 上述のCiNii Researchの開発を一層スピーディで実りあるものにし、成果を多くの方に共有するために、新たにサブサービスであるCiNii Labsを公開しました (図1) 。このサイトでは、以下の二軸に分類されるコンテンツを提供します。

1. 新しいオプション機能、新バージョンの検索環境の体験

 CiNii Researchでは、毎年新しい検索対象のデータを追加しているだけでなく、検索フィールドの増加、内部インデックスの再構成を随時行っています。2024年度以降も様々な高度化のための新機能のリリースを予定しておりますが、CiNii Labsからはそのようなサービスの一部を先行して体験いただくことができます。先行配信版はNII内で開発中の機能であるため、本公開版とは動作が異なる場合や、日によって結果が異なるなどの違いがあるため、利用者の業務や研究に直接お使いいただくことはできませんが、先行公開の状況を開発環境にフィードバックさせていただき、機能改善を進めた上で本公開する予定です。

2. CiNii Research開発関連情報の共有

 以前からCiNii Researchは、内部データをWebブラウザ上からデータを説明する体裁の一つであるマークアップデータやAPI経由で公開しています(*2)。このような内部データや開発仕様等の情報を、本サイトから共有していきます。これらを利用することで連携中の外部検索基盤の高度化や学術情報流通の研究の発展に繋がることを期待しています。これまでCiNii Researchの仕様や内部データの共有は、連携機関の問合せや各種シンポジウムでの情報交換においてのみ実施されてきましたが、今後は研究データにおけるFAIR原則(*3)の"I" (Interoperable、相互運用性) 要素を高めるべく、積極的に公開していきます。

release_20240325_fig1.png図1 : CiNii Labsのトップページ。CiNii Researchの開発中の機能体験や、開発関連のコンテンツを取得できる

 以上のようなコンテンツを積極的に掲載し、日本の学術情報検索の最先端のサービスを多くの方に体験いただける場所となるよう、CiNii Labs自体も発展を続けていく予定です。

山地 一禎 NIIオープンサイエンス基盤研究センター長からのコメント

「ラボサイトとしてコンテンツを公開することは、オープンサイエンスを標榜する学術・研究機関なら当然であり、Webサービスを提供するIT企業でさえも内部を完全にブラックボックスにするのではなく、開発の情報を公開して世の中との信頼関係を築いています。コロナ禍を乗り越えつつある今、研究開発における情報共有の重要性は広く認知されました。公開された情報は次の段階として、「適切に発見できるようにする」ことが必要です。発見のための基盤であるCiNii Researchが更なる進化を遂げるため、CiNii Labsでの先行公開や情報共有を積極的に実施していきます。」

News Release: PDF

学術検索基盤の研究開発の最先端に触れる
~CiNii Labsサイトの公開~


(*1) オープンサイエンス基盤研究センター:世界的なオープンサイエンスの気運を受け、そのインフラとなる学術基盤を開発・運営するために、2017年4月にNII内に設置されたセンター。学術論文と研究データがアカデミアおよび社会で広く共有され、幅の広い研究活動がオープンに行われることで、研究活動の加速化や、社会と緊密な連携の上に成り立つ問題解決が進み、学術活動が新しい次元(=オープンサイエンス)に移行することが世界的に期待されている。詳細はhttps://rcos.nii.ac.jp/ 参照。
(*2) 「CiNii全般 - メタデータ・API」 https://support.nii.ac.jp/ja/cinii/api/api_outline
(*3) FAIR原則:Findable、Accessible、Interoperable、Reusableから構成される研究データ共有のための原則
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