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「NII湘南会議」が100回目のセミナー開催/世界のトップ研究者が合宿形式で議論

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大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)が情報学分野の課題を解決するとともに情報学の国際化に貢献するために、神奈川県と連携協定を結んで開催している国際会議「NII湘南会議」が、10月30日~11月2日のセミナーで通算100回目を迎えます。招待を基本とした参加者による議論で議題を決めて先端研究や国際共同研究を生み出すという、新しい研究テーマの創出方法を実践する場として、NIIが主催し、神奈川県にご共催いただいて、神奈川県が整備した滞在型国際交流拠点「湘南国際村」の中核施設「湘南国際村センター」(神奈川県葉山町)を常設会場として開催しています。

「NII湘南会議」は2011年2月にスタートしました。「湘南国際村計画の目的である国際交流及び学術文化発信拠点の形成」「NIIが目指すわが国唯一の情報学の学術総合研究所としての『未来価値』の創生への寄与」「地域の活性化及び地域の科学技術の発展への貢献」を目的としています。

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〈写真〉湘南国際村センター

ドイツの非営利研究機関「シュロス・ダグストゥール(Schloss Dagstuhl)」(*1)で開催されている情報学分野における世界トップレベルのセミナーにならい、世界トップクラスの研究者が宿泊型の研修施設である湘南国際村センターに合宿して集中的に議論する形式をとっています。特徴は、情報学研究において今後議論すべきテーマを参加者がその場で設定し、そのテーマを集中的に議論することで研究の方向性を自発的に明らかにしていくという新しい会議形態をとっている点です。海外の研究者の参加を促すため、NII内の「NII湘南会議」事務局および湘南国際村センターのスタッフが、セミナーの運営責任者に代わって、招待状の発送や宿泊の案内、会場準備などを行っています。

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〈図〉NII湘南会議の運営体制

開催100回目となるセミナーでは、日本、韓国、インドの計3人の研究者が運営責任者を務め、9カ国の計29人の研究者が、幾何グラフの理論や応用について議論します。全100回のセミナーの総参加者は、日本を始めとする56の主要参加国・地域の計約2,450人になり、新しい研究テーマの創出方法として国内外の注目を集めています。

NII湘南会議の議論の内容は、各セミナーの運営責任者による報告書「NII Shonan Meeting Report」としてまとめられ、NII湘南会議の公式サイトで公開しています。議論の成果は、新しい研究テーマの創出・発見にとどまらず、さまざまな分野の国際会議での論文の採択や、アメリカ国立科学財団(NSF)や国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、日本学術振興会(JSPS)などの研究助成金獲得につながっています。また、NII湘南会議のセミナーを契機に新たな国際的な研究コミュニティーが生まれたり、参加者同士による国・地域を超えた共同研究が始まったりするなど、NII湘南会議は国際的な研究活動の活性化に貢献しています。

NIIは神奈川県と2011年にNII湘南会議開催に関する連携協定を締結し、神奈川県より湘南国際村センターの一部を会場としてご提供いただいています。また、情報学分野の最新の研究動向などを県民の皆様にご紹介するため、両者の共催で「NII湘南会議記念講演会」を、これまでに6回、湘南国際村センターで開催しています。

湘南国際村センターがある湘南国際村(*2)は、神奈川県が1985年に「国際的視野に立脚した学術研究、人材育成、技術交流、文化交流の推進という相互に関係の深い四つの基本的目的を持ち、多様な交流を展開することにより、国際社会に貢献するとともに、地域社会の発展に寄与する多目的な滞在型の国際交流拠点とする」という基本構想を策定し、1994年5月に開村しました。

NIIは研究成果の国際的な発信をはじめ、研究者や学生の積極的な国際交流の推進や国際連携による情報学研究拠点の形成など、情報学分野での国際貢献に取り組んでいます。「NII湘南会議」開催のほか、海外の大学・研究機関との国際交流協定(MOU)の締結を積極的に進め、MOU締結機関との間で国際的な共同研究を実施したり研究者・学生の交流を深めたりしています。こうした研究交流活動を効果的なものとするため、「国際インターンシッププログラム」「MOUグラント」などの制度を設け、広範囲な研究分野における国際的な研究交流を推進しています。

NIIは来年度に「NII湘南会議」の100回記念講演会の開催を予定しています。

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(*1)「シュロス・ダグストゥール」: Schloss Dagstuhl Leibniz-Zentrum für Informatik。1990年にドイツ学術審議会の提言により、計算機科学の国際会議および研究センターとして設立。2005年からライプニッツ協会のメンバー。http://www.dagstuhl.de/
(*2)湘南国際村: 国立大学法人総合研究大学院大学、公益財団法人地球環境戦略研究機関という教育・研究機関のほか、湘南国際村センターなどの会議・研修施設、公益財団法人かながわ国際交流財団(湘南国際村学術研究センター)などがある。湘南国際村センターの管理・運営は神奈川県、横須賀市、葉山町の公的セクターと民間セクターで作る株式会社湘南国際村協会。
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