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教職員や学生が利用可能なサービスを一覧できるポータル/「クラウドゲートウェイサービス」の本運用を7月3日から開始

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)は7月3日から、大学や研究機関の教職員や学生が教育・研究活動に必要な各種のクラウドサービスやインターネット上のサービスにワンストップでアクセスできるポータル「クラウドゲートウェイサービス」の本運用を開始しました。教職員や学生は本サービスを通じて、所属する大学や研究機関が法人契約を結んで利用可能な様々なサービスに、素早く、簡単に、アクセスすることができるようになります。

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図 1 利用可能なサービスを一覧できるポータル「クラウドゲートウェイサービス」

「クラウドゲートウェイサービス」開発の背景

NIIは、大学や研究機関の教職員や学生が所属機関の認証システムに一度ログインするだけでインターネット上の様々なサービスを再度のログインなしで利用できるようになる認証連携基盤「学認(GakuNin)(*1)を運用しています。「学認」が実現する「シングルサインオン」により、教職員や学生は「学認」に参加する学外の商用サービスを利用する際もサービスごとにログイン操作を繰り返す必要がなく、学内のサービスと同様にシームレスに利用することができます。

しかし、所属機関が法人契約していない場合など、必ずしも誰もが「学認」に参加している全サービスを利用できるわけではなく、教職員や学生がどのサービスを利用できるかわかりづらいという課題がありました。一方、大学・研究機関側にとっても、利用可能なサービスを集めたポータルを各機関で制作・管理するのは効率が悪く、更新が適切になされない、一部のサービスのみが管理されるといった問題もありました。さらに、教職員や学生がそれぞれ個別にサービスを利用していると、利用の全体像を組織として把握できないために、不適切な利用といったセキュリティー面の問題を認識できなかったり、組織全体で利用資源や利用ノウハウを集約するといった効率化が難しくなったりするという課題がありました。

「クラウドゲートウェイサービス」はこうした問題を解決するために開発されました。

「クラウドゲートウェイサービス」の機能

「クラウドゲートウェイサービス」は、NIIが管理や運用を行う「クラウド利活用支援サービス」の一つです。短期大学を含む大学や高等専門学校、国公立の試験研究機関、研究または研究支援を目的とする独立行政法人や特殊法人、学会、学術研究法人、及び、大学に相当する教育施設などが無料で利用できます。

「クラウドゲートウェイサービス」には、クラウドサービスだけでなく、電子ジャーナルやeラーニング、データベースなどのサイトや、チャット、webメール、ビデオ会議システムなどを登録することができます。「クラウドゲートウェイサービス」を利用する大学や研究機関の教職員や学生は、こうしたサービスを「クラウドゲートウェイサービス」を経由してワンストップで利用できるようになります。(図2)

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図 2 「クラウドゲートウェイサービス」を利用した教職員や学生の各種サービスへのアクセス

各大学・研究機関は、「学認」に参加している商用サービス提供者(サービスプロバイダー=SP)のうち利用可能のものを登録すると、自機関の「クラウドゲートウェイ」の画面には利用可能なサービスのみが表示されます(図3)。「学認」に参加しているサービスは、シングルサインオンで利用可能です。さらに、「学認」には参加していないサービスをプライベートサービスとして登録可能で、「学認」に参加しているサービスと共に、全てを一箇所にまとめて表示できます。例えば、各機関が法人契約しているクラウドサービスや学内サービスなどを、その機関に所属するすべての教職員や学生に提示することができます。

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図 3 「クラウドゲートウェイサービス」の仕組み

「クラウドゲートウェイサービス」のサービス一覧は、カスタマイズが可能です。大学や研究機関は法人契約しているサービスや機関として利用を推奨するサービスに教職員や学生を誘導するため、これらのサービスを「クラウドゲートウェイサービス」の目立つ場所に配置することができます。教職員や学生も、自分がよく使うサービスを先頭に置くなど、並び順を変えることができます。「クラウドゲートウェイサービス」を利用することで、教職員や学生は「利用可能なサービス」「利用すべきサービス」を一覧できます。さらに、「クラウドゲートウェイサービス」が提供するAPIを利用することで、自機関のポータルサイトに「クラウドゲートウェイサービス」の機能を組み込むことも可能です。

さらに、機関内の個々の研究グループ、および、複数機関にまたがる研究グループが、それぞれのメンバー向けにグループ固有のサービスを「クラウドゲートウェイサービス」に追加することも可能です。研究グループの所属メンバーを登録することで、そのメンバーの「クラウドゲートウェイサービス」の画面にグループ固有のサービスを組み込んで表示できます。

「クラウドゲートウェイサービス」は「学認」のグループ管理システム「GakuNin mAP(member Attribute Provider)」が提供していたグループの作成・管理機能を継承しています。ナレッジベースやスケジュール管理などのサービスも引き続き利用できます。

NIIは、「クラウドゲートウェイサービス」に加えて、大学・研究機関のクラウド導入や調達を支援する情報提供・共有サービスの「学認クラウド 導入支援サービス」やSINET(*2)経由でクラウド事業者のデータセンターに安全かつ高性能にアクセスすることを可能にする「SINETクラウド接続サービス」を提供しています。さらに、クラウド上のソフトウェア環境構築を自動化・簡易化する「オンデマンドクラウド構築サービス」の試験運用も今年度中に開始する予定です。NIIではこうしたサービスの開発・提供を通じて、大学・研究機関におけるクラウドの導入から活用までの全てのステージに対する支援活動に継続して取り組んでいきます。

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(*1)学認: NIIが大学などと連携して運営する日本の学術界の認証フェデレーション。大学の認証基盤を、学内サービスだけでなく連携する他大学や商用サービスにも活用するための仕組み。平成29年(2017年)3月末時点で、大学などの188機関と延べ155のサービス提供者が参加している。
(*2)SINET: NIIが構築・運用している日本の学術情報ネットワーク(Science Information NETwork)。平成29年(2017年)3月末現在、大学や研究機関など850以上の機関が加入。平成28年(2016年)4月からは、すべての都道府県を100Gbpsの超高速ネットワークでつなぎ、日米間にも100Gbps回線を新設するなど国際回線も増強したSINET5の本格運用を開始した。
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