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光を使って難問を解く新しい量子計算原理を実現〜量子ニューラルネットワークの開発〜

【内閣府・日本電信電話株式会社・国立情報学研究所・科学技術振興機構 共同発表】

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本喜久プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 鵜浦博夫 以下、NTT) NTT物性科学基礎研究所 量子光制御研究グループの武居弘樹 主幹研究員、稲垣卓弘 研究員らのグループと、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区、所長 喜連川優 以下、NII)情報学プリンシプル研究系の宇都宮聖子 准教授、Peter McMahon 研究員らのグループは、現代コンピュータでは効率よく解くことが困難とされている組合せ最適化問題の解を高速に求める「量子ニューラルネットワーク」を実現しました。

インターネット、電力ネット、センサネットなど、社会を構成する様々なネットワークが大規模化・複雑化する現在、リソースの最適化が重要な課題となっています。これらの課題の多くは組合せ最適化問題と呼ばれる、現代コンピュータが苦手とする数学的問題に帰着することが知られています。量子ニューラルネットワークは、光パラメトリック発振器と呼ばれる新型レーザの発振振幅を用いてスピンを表した時、相互作用する多数のスピンが全体のエネルギーを最低とするようなスピン配列で発振する現象を利用して、組合せ最適化問題の解を探索するものです。今回、各光パラメトリック発振器の振幅を光ホモダイン検波器で測定し、得た情報を帰還する「量子測定フィードバック」を実装することで、全ての光パラメトリック発振器間の結合が可能な量子ニューラルネットワークを実現しました。これにより、最大2,000ノード・200万結合の大規模組合せ最適化問題の解探索に成功し、現代コンピュータ上で動作する既存アルゴリズムを凌駕する性能を示しました。今後、創薬、無線通信、圧縮センシング、深層学習といった実社会の様々な組合せ最適化問題への本成果の適用が期待されます。

本研究は、NIIの河原林健一 教授、東京大学の合原一幸 教授、大阪大学の井上恭 教授、スタンフォード大学のMartin Fejer教授の研究グループと共同で行ったものです。

本研究成果を記述した2編の論文は、2016年10月20日13時(米国東部標準時)発行の米国の科学誌「Science」のオンライン速報版で同時に公開されます。

本発表内容の詳細につきましては、以下のリリースをご参照下さい。

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