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欧州のオープンナレッジベース運用団体と共同で公開状を発信/これからの学術情報システム構築検討委員会

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)と国公私立大学図書館協力委員会がつくる「大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議」(*1)の下に設置された「これからの学術情報システム構築検討委員会」は、国レベルで非営利のナレッジベース(*2)を運用している欧州の3団体と共同で、電子リソースの管理・発見環境の改善に向けてリンクリゾルバー(*3)や情報システムベンダーなどに連携を呼びかける「Open Letter」(公開状)を6月2日までに発信しました。同委員会の「電子リソースデータ共有作業部会」が運用する「ERDB-JP(Electronic Resources Database-JAPAN)」などオープンナレッジベースのデータは、大学図書館に検索システムを提供しているベンダーらと連携することで、利用者により正確な情報を届けられるようになります。

本委員会と共同で公開状を発信したのは、英国の「Knowledge Base Plus(KB+)」を運営する「Jisc Collections」と、KB+のデータの一部を構築するスウェーデンの「Bibsam」、フランスの「BAse de COnnaissance Nationale(BACON)」を運営する「ABES(Agence Bibliographique de l'Enseignement Supérieur)」の3団体です。

公開状では、これまで各国の運用団体がそれぞれ行ってきた電子リソースの管理・発見のためのメタデータの収集・提供活動が共有された目的・指針によるものであることを確認し、リンクリゾルバーや情報システムベンダーといった関係するコミュニティーに、信頼性の高いメタデータの利用推奨など、広く協力を促しています。公開状の全文は原文(英語)、日本語訳ともに、ERDB-JPサイトで公開しています。

本委員会は、電子リソースの情報流通の支援やユーザーサービスの向上とともに、図書館コミュニティーにおけるメタデータ更新にかかる経費・作業コストの軽減を目的として、国内で刊行された電子リソースに関する情報を集約・管理するオープンなナレッジベース「ERDB-JP」を平成27年(2015年)4月から提供しています。ERDB-JPによる国内電子リソース情報の充実と国際協調を柱として、網羅性の高いナレッジベースの実現に向けた活動を続けており、今回の公開状の共同発信もその取り組みの一環です。 

【ERDB-JPについて】

ERDB-JPは、大学・出版社・ナレッジベースベンダーが一緒になって構築する国内刊行電子リソースの共有サービスで、「これからの学術情報システム構築検討委員会」の電子リソースデータ共有ワーキンググループが運用を開始しました。現在は、同ワーキンググループの後継である電子リソースデータ共有作業部会が運用にあたっています。主に編集・発行責任の主体が国内にある電子リソース(学会誌、大学の機関リポジトリ収録タイトルなど)のタイトル情報を収録しています。データ流通を促進するため、ライセンスには最も制限条項の少ないクリエイティブ・コモンズのパブリックドメイン(CC0 1.0 Universal)ライセンスを採用し、誰でも自由にデータを出力し、利用することが可能です。これにより、学生を含む国内外の研究者のコミュニティーの国内電子リソースへのアクセス環境が向上します。また、ERDB-JPのデータをKB+などの国際的な組織と交換することで研究者コミュニティーに対する論文の視認性を高めることができます。

ニュースリリース


(*1)大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議: 平成22年(2010年)10月に国公私立大学図書館協力委員会とNIIが「連携・協力の推進に関する協定書」を締結し、両者のこれまでの連携・協力関係を踏まえて、大学等の教育研究機関において不可欠な学術情報の確保と発信の一層の強化を図ることを目的として設置された会議体。
(*2)ナレッジベース: 米国情報標準化機構(NISO)の定義では「電子リソースに関するタイトルリストや収録範囲、リンク情報等、リンクリゾルバーのベンダーが構築する豊かなデータベース」。
(*3)リンクリゾルバー: 各種文献データベースや電子ジャーナルのサイト、図書館所蔵資料の検索システムなどを相互にリンクし、図書館利用者の文献入手を支援するシステム。

※本件は「これからの学術情報システム構築検討委員会」が発表したものです。

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