NII Today 第92号
Sep. 2021No.92

個人情報からプライバシーへ改正個人情報保護法とプライバシーガバナンス

 いま、あらゆる組織に求められているのが「プライバシーガバナンス」である。これまで、学術研究機関などが学術研究目的で個人情報を取り扱う場合、現行法において各種義務の適用除外としていたが、2021年に成立した改正法において学術研究に関わる適用除外規定の見直し(精緻化)がなされた。今後、学術研究機関においてもプライバシーガバナンスの体制構築の強化は必須と言えるだろう。
 本特集では、学術研究におけるプライバシー保護に焦点を当てながら、改正個人情報保護法について解説するとともに、本来、プライバシーを守るために何に留意をすべきなのか、そのためにどのようなガバナンス体制の構築が必要なのか、またこの課題に情報学および国立情報学研究所(NII)がどう貢献できるのか、考察する。

CONTENTS

Interview

プライバシーを守るということ

学術研究にデータ安全管理の視点を

2021年5月、個人情報保護法の改正案が国会で可決・成立した。保護制度を官民で一元化するとともに、学術研究に関わる規定の見直しを図ったもので、個人に関わるデータを扱う研究の現場にも多大な影響を与える。情報法制に詳しい東京大学の宍戸常寿教授(NII客員教授)に、パーソナルデータの取り扱いやプライバシー保護の体制について、学術機関および研究者個人が留意すべきポイントを解説してもらった。

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Article

改正個人情報保護法においてアカデミアに求められること

信頼のもとで学術研究を進めるために

2015年の個人情報保護法の改正において、内閣官房「パーソナルデータに関する検討会」内に設置された技術検討ワーキンググループの主査を務めて以来、改正に関する主要作業部会のほぼすべてに関わってきた佐藤一郎教授。とくにアカデミアに大きな影響を与える2021年改正法を中心に、個人情報を学術研究に利用する際に留意すべきポイントについて聞いた。

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Interview

ガバナンス体制強化で競争力を

「企業のプライバシーガバナンスガイドブック」に学ぶ

社会や経済の革新に向け、データ活用の重要性が高まるなか、担い手となる企業や研究機関にプライバシーガバナンスの体制づくりを求める動きが出てきた。国立情報学研究所(NII)の佐藤一郎教授を座長とする、経済産業省・総務省のIoT推進コンソーシアム データ流通促進WG「企業のプライバシーガバナンスモデル検討会」がガイドブックを作成し、まず産業界に対応を促している。プライバシーガバナンスをどう理解し、いかに取り組めばいいのだろうか。

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Article

学術研究分野における個人情報保護と外国のデータ保護法

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Essay

顔見知りの町と、愛称を呼ばれるスピーカー

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NII Today 第92号

NII Today 第92号

2021年9月発行

・プライバシーを守るということ
・改正個人情報保護法においてアカデミアに求められること
・ガバナンス体制強化で競争力を
・学術研究分野における個人情報保護と外国のデータ保護法
・顔見知りの町と、愛称を呼ばれるスピーカー

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