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受賞

坊農 真弓助教が社会言語科学会徳川宗賢賞(萌芽賞)を受賞

坊農 真弓助教が社会言語科学会徳川宗賢賞(萌芽賞)を受賞しました。この賞は、社会言語科学会誌『社会言語科学』に掲載された論文の中から、とくに優れた論文に授与されるものです。 授与式および受賞記念講演は2012年3月11日に開催される「第29回社会言語科学会研究大会」にて行われます。

「手話会話に対するマルチモーダル分析―手話三人会話の二つの事例分析から―」     
『社会言語科学』第13巻 第2号 20頁〜31頁
受賞日(授与式および記念講演):2012年3月11日

 受賞理由:本論文は,手話言語が日常場面でどのように用いられているかについて詳細なデータ分析をもとに議論したものである.従来の「言語中心的な手話研究」から日常場面での使用に焦点を当てた「コミュニケーション論的な手話研究」へのパラダイムシフトを試みる,革新的な論文である.

これまでの手話研究が,「言語」としての手話を社会に認知させるため,ジェ スチャーや視線などの(音声コミュニケーションでいうところの)「非言語」的 側面を排除してきたのに対して,本論文では,むしろ「言語」としての手話表現 と「非言語」としての手話表現を接合することで手話による日常的コミュニケー ションの実態を明らかにしている.従来の手話研究者や手話使用者から反感を招 きかねない方向性をあえて取ることで筆者が目指していることは,日常や社会の 中で使われる本当の意味での「言語」として手話を位置づけることである.この 姿勢はまさにウェルフェアリングイスティックスの精神に則ったものであり,そ の社会的意義は極めて大きい.また,ジェスチャーの記述手法を手話会話の記述 に援用したり,順番交替や発話重複など会話分析の視点を分析に持ち込んだりし ている点でトランスディシプリナリーな色彩が強く,その研究スタイルは極めて 独創的で斬新である.

今後の手話研究の展開に大きな影響力を持つと確信できる論文であり,徳川賞 萌芽賞にふさわしいと評価できる.

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