研究 / Research

ImPACT

内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導する革新的研究開発推進プログラム(Impulsing Paradigm Change through Disruptive Technologies Program:ImPACT)。
「実現すれば産業や社会の在り方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出」を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を推進します。

イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出

NII研究者が参加するプロジェクト:「価値実証」

研究開発責任者:コンテンツ科学研究系教授 佐藤 いまり

高齢化社会の到来に伴い、健康長寿で豊かな生活を実現し、病気や介護への不安を解消させる技術サポートが求められています。NIIは、病気の早期診断や超精密検査の実現を目指すImPACTに参加し、生体や物体内部を非侵襲・非破壊でリアルタイム3次元可視化する光超音波イメージングの高度化を行っています。

光超音波システムは、レーザー照射により発生する超音波を検出し可視化する最先端計測技術です。この技術は、非侵襲・非破壊である上に、透過して深部まで照射できる光と超音波の両方の特性を活かし、肉眼では見えないさまざまな対象の可視化を可能にします。

本研究では、コンピュータビジョン技術により、鮮明な画像を得るイメージング技術の高度化や、さまざまな情報を用いた画像解析による診断支援を行っています。例えば、撮影中の患者の体動による画質劣化に対して、画像の位置合わせにより患者の動きを補正し、画質改善した診断しやすい画像を提供できるようになります。また、疾病に関係が深い血管状態を把握するため、血管構造の自動抽出技術の開発を進めています。

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医療向け生体データの可視化と画像解析

量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現

NII研究者が参加するプロジェクト:「量子人工脳」

研究開発責任者:情報学プリンシプル研究系教授 河原林 健一

インターネット、無線通信システム、交通システムなど、社会におけるさまざまなネットワークやシステムが大規模化・複雑化する現在、これらの最適化・効率化が重要な課題となっています。NII等が参加する研究グループは、光の量子的な性質を用いた新しい計算機「量子ニューラルネットワーク(QNN)」をクラウド上で体験できるシステムを開発し、2017年11月に公開しました。

QNNは、光パラメトリック発振器と呼ばれる新型レーザーの量子力学的な特性を生かして、近似解を従来の計算機に比べて飛躍的に高速に得る新しい計算機です。同研究グループは、これまで大規模な光の実験装置であったQNNをデータセンター等に設置できる筐体に納め、光回路の安定化制御機構の導入により長時間安定に動作するQNN計算装置を開発、さらにQNNクラウドシステムを構築して、ユーザーがインターネットを介してQNN計算装置を使用できるようにしました。

このシステムにより、ユーザーは複雑で専門的技術が必要であった光学実験装置の調整を必要とせずにQNN計算装置を体験することができます。NIIは主に、このシステムの運営・管理を担当しています。

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QNNクラウドシステムの構成概要

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