研究 / Research

情報社会相関研究系

船守 美穂
FUNAMORI Miho
情報社会相関研究系 准教授
学位:修士(理学)
専門分野:学術情報
研究内容:http://researchmap.jp/funamori/
E-mail:funamori (a) nii.ac.jp

サイエンスライターによる研究紹介

大学の弱み・強みを分析する

少子化による学生数の減少、グローバル化による大学間競争の激化、国から交付される運営費の削減......。大学を巡るこうした状況の変化は、大学に対し、多様化する学生に行き届いた教育を低予算で提供するように迫っています。このような時代にあって、私は約10 年間にわたり、大学IR(Institutional Research)を研究・実践してきました。大学IR とは、大学の様々な活動に関する情報を集めて分析し、その結果を大学の経営戦略や意思決定、教育の質向上に生かすことです。そのためには、多くの大学の情報を収集・分析し、それぞれの大学が自身の強み・弱みを把握する必要があります。そこにインターネットやデジタル技術を活用したいと考え、私はNIIでの研究をスタートさせました。

デジタル技術が大学の在り方を変える

1990 年代の中頃、インターネットが急速に普及しました。以来、デジタル技術は、様々な角度から大学の在り方を問うてきました。例えば教育面では、2002 年にマサチューセッツ工科大学が、その講義内容をインターネットに公開(OCW)したことで、「大学は何を教える場所なのか」が改めて問われました。また、2012 年に登場した大規模公開オンライン講座(MOOC)は、「教師が学生に向けて一方的に行う従来型の講義」を見直すきっかけになりました。大学は今もその教育の在り方を模索し続けています。

大学経営の指針を得る

デジタル技術は、大学経営も変えようとしています。大学ランキングではどの大学も同一の基準で評価されます。しかし大学にはそれぞれ特徴や役割があり、互いに比べても意味がない場合が多いため、これまでの大学ランキングは一部の大学を除いて、その経営に役立つとは言えません。真に経営に役立つ指標を得るには、集めた大学情報を各大学がそれぞれに合った視点で分析できなければなりません。それがインターネットと情報のデジタル化技術の発展により、可能になりつつあります。ただ実際に行うには、情報の収集や分析に関するノウハウが必要です。そこで私は大学の特徴抽出を可能とする「全国版大学IR 支援システム」を構想しています。

次世代大学IRでオープンサイエンスを進める

次世代の大学IR についても考えています。今、大学における研究成果は論文として公開されているだけですが、デジタル技術を活用すれば、研究過程で得られたすべてのデータをインターネットに上げることも難しくはありません。そうなれば、見たい人に詳細なデータを簡単に提供できます。この仕組みは研究者間の連携を盛んにすることでしょう。こうしたオープンサイエンスの動きは世界的に起こっており、日本もこの動きに追随しています。そのためのプラットフォームづくりを次世代大学IR の一環として進めていきます。

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構成=サイエンスライター・池田亜希子

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