研究 / Research

コンテンツ科学研究系

佐藤 いまり
SATO Imari
コンテンツ科学研究系 教授
学位:2005年,博士(学際情報学)
専門分野:パターンメディア
研究内容:http://researchmap.jp/imarik/
研究室WEB 蛍光解析に基づくシーン理解-映像メディアの新たな展開-

サイエンスライターによる研究紹介

暮らしの中に溶け込む映像イメージング技術

コンピューターによって私たちの生活は便利になりました。しかし現在のコンピューターは、「机の上に置かれた便利な機械」にすぎません。将来のコンピューターは、家中のどこからでも身振り手振りで操作し、必要な情報を取り出したり、好きなところに画像を表示させたりすることができる、「空間的に自由なインタフェース形態」へと進化すると考えられています。私は、この未来の生活空間の実現につながる映像技術の研究に取り組んでいます。

きらめきや質感を再現するイメージング技術

同じ物体でも、明るい日差しの下と薄暗い廊下では、光沢や質感が大きく違って見えます。このように光源の変化によって物体の見え方は大きく変化しますが、これを従来のコンピューターグラフィックスで再現するのは難しく、また手間がかかります。それならば物体の写真をもとにして、さまざまな光環境の下での光沢や質感を再現できないだろうか、というのが私の取り組んでいるテーマです。
研究の結果、数学のサンプリング理論を応用することで、少ない枚数の写真から効率的に物体の見え方を再現することができるようになりました。具体的には、物体にいくつかの方向から光を当てて写真を撮り、特別な処理をして合成画像を作製します。すると、任意に与えた光の条件に対してきらめいたり、影ができたりする「リアルな」画像が再現できるようになりました。

どこでも映像を投影できるプロジェクター技術

このようなイメージング技術を応用して、プロジェクターの光学補正の研究にも取り組んでいます。例えば、水玉模様の壁紙が貼られたところに画像を投影すると、模様が透けて見えてしまいます。そこで、まず壁面などの投影したい場所を撮影し、これに投影する映像の内容と人間の視覚特性というエッセンスを加えて、画像に特殊な補正をします。こうして作られた投影画像は、「注意深く見ればスクリーンの違いはわかるが、何となく見ている限りでは人間の目には感知できない」ものとなります。つまり、水玉模様の壁紙に画像を投影した場合も、真っ白なスクリーンに画像を投影したのとほとんど同じように見えるのです。
こういった技術を発展させれば、何もなかった机にキーボードを投影して出現させたり、本棚にモニター画面を投影してコンピューターを操作したり、カーテンをスクリーンにして映画を上映したりすることも可能になることでしょう。

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取材・構成 田中幹人

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