研究 / Research

情報社会相関研究系

後藤田 洋伸
GOTODA Hironobu
情報社会相関研究系 准教授
学位:1994年 博士(理学)(東京大学)
専門分野:情報利用
研究内容:http://researchmap.jp/gotodahironobu/

サイエンスライターによる研究紹介

コンピューターが物体を認識する仕組みを考える

コンピューターに外部の世界を認識させるためには、コンピューターにも人間がもつ知覚やイメージングに相当する仕組みが必要です。このためには、現実世界に存在している物体や現象をコンピューターで計算処理できるように表現しなくてはなりません。これを「モデル化」といいます。

物体を点の集合で表す

私は、立体図形の「モデル化」について研究を進めています。モデル化ができれば、コンピューターに物体を認識させたり、描画させたりすることができます。このためにはまず、立体図形の三次元データをコンピューターに与える必要があります。最近注目されているのは、物体を多数の点の集まりとして表すという方法です。この方法では、物体の表面にたくさんの点を打ち、それらの点の座標を記録します。より細かく点を打てば打つほど、より現実の物体へ近づき、精度の高いモデルが得られます。こうして、物体の形をコンピューターの中に表現できるのです。
しかし、このままでは全体的な形が表現されているだけです。個々の点がバラバラなので、2つの物体の間で、どの点がどの点に対応するかがわからず、物体を比較したり、共通の特徴を見つけたりといったような処理が、簡単にはできません。これがもし人間であれば、例えば犬や猫の形を見て、4 本足であるという共通点を見つけるのは容易でしょう。同じような処理をコンピューターで実現するには、点の間の関係をより詳しく調べることが必要なのです。

イメージングからマッチングへ

2つの物体を比較して、似ているところを見つけることを「マッチング」といいます。マッチングを行うには、与えられた物体を適当な単位に分割したり、部分的な特徴を抽出したりすることが必要です。このために、私は、物体の表面にある点の間の関係に着目しました。多数の点の間を互いに線でつなぐと、つながり方に差があることがわかります。他の点と多くのつながりをもつ点もあれば、削除してもあまり影響のない点もあります。そこで、他とのつながりが薄い点を切り取って、物体をいくつかのパーツに分割してみました。パーツに分ければ、同じようにパーツに分けた他の物体と比較することができます。例えば、犬と猫についてモデル化し、それぞれ頭、尾、足のパーツに分けて比較します。すると、4本足が共通しているとか、尾に相当する部分があるといったことが、コンピューターでも扱えるようになります。
このようなマッチングは、立体図形の間だけでなく、平面図形の間でも、さらには立体図形と平面図形との間でも可能です。これによって、例えば写真や絵画から、物体の三次元データを算出できるようになります。また、簡単なスケッチを描くことによって、多数の図形を集めたデータベースから、似たデータを検索するといったことも可能になるでしょう。こうした研究が実を結べば、"百聞は一見にしかず"といえるような情報処理も、コンピューターで実現できる日が来るかもしれません。

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構成・執筆 那須川 真澄

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