研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

計 宇生
JI Yusheng
アーキテクチャ科学研究系 教授
学位:工学博士
専門分野:情報通信ネットワーク
研究内容:http://researchmap.jp/keiusei/
コンテンツ指向ネットワークに適したキャッシング機構

サイエンスライターによる研究紹介

通信の品質保証に取り組む

私たちは通信のネットワークを使って、物理的に隔てられた人やコンピューターとの間で情報のやりとりをしています。このネットワークをつくるとき、情報をいかに速く正確に伝えられるかという品質保証が重要で、私はその研究をしています。

求められる品質保証はさまざま

通信に求められる品質は、通信手段や目的によって違ってきます。データ通信やEメールでは、情報が確実に届くことが品質保証になります。時間が多少かかっても問題になりません。リアルタイムの電話では、音声が遅れると不快感をもちますが、情報の損失に関しては、ちょっとくらい途切れても気にならない場合があります。私たちは音声情報の遅延に対しては比較的敏感なのですが、損失に対してはある程度カバーできる能力をもっているからです。グリッドコンピューティングなどのコンピューター同士の通信になると、データの損失や遅延は即、計算間違いにつながるため、損失に対しても、遅延に対しても厳しい品質保証が求められます。
これらのアプリケーションをインターネットのような1つのネットワーク上で提供する場合、求められる品質に応じて必要な帯域やバッファーなどのネットワーク資源を割り当てたり、どの情報から先に送るかという優先順位を決めてやる必要があります。こうした品質保証のための制御方法や手順(プロトコル)を開発するのが私の実際の研究です。

新しい通信技術には新しい制御方法が必要

通信技術の発展とともに、通信の品質を保証するための制御方法も変わってきます。無線通信では、ユーザーが移動しながら電波を送受信しますが、これにともなって電波の状況が変化し、品質に影響を及ぼします。そのため、通信状況の変化に対応できる品質制御の方法が求められます。また、有線と比べると、ネットワークの帯域や消費電力などがより制限されます。限られた資源をいかに有効に使って通信の品質を保証するかを考えることが特に重要になってきます。
さらに、光ネットワークの場合には、帯域の予約やスケジューリングと呼ばれる品質保証の方法が必要になります。光ファイバーを使った今のネットワークでは、光を蓄積する技術がまだ開発途上にあるため、ネットワークが混雑している場合でも、電気のようにネットワーク内に情報を蓄えてから送ることができないためです。
これからも、品質保証はつねに必要とされる課題となるでしょう。新しい通信方式やアプリケーションが生まれ、これにともなって品質保証の新たな要求が出されるためです。

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取材・構成 村上朝子

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