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時代を躍進するNII研究者による研究シーズ集
 

情報社会相関研究系

 

情報世界と現実世界が統合する社会における、情報・システム技術と人間・社会科学の学際的な研究を行なっています。

情報利用

 

次世代の情報共有基盤システムを構築する
新井 紀子

私の研究のメインは、意識したり努力しなくても、人々が知識や情報をスムーズに共有したり協調して作業をしたりするための情報通信技術(ICT)の研究と開発です。具体的には、NetCommons(ネットコモンズ)という次世代の情報共有基盤システムを開発、無償で公開して実証研究をしています。できるだけ簡便に使えるツールに仕上げることで、技術や予算が十分ではない組織であっても、情報を共有したり、ウェブ上の情報発信力が高められるようになる社会を目指しています。

音声認識や自然言語処理を「しなやかに」行う手法
植木 浩一郎

音声や自然言語を用いてインターネットを使えるようになれば、インターネット上の知的資源をより多くの人に利用してもらうことができます。そのためには、現在の音声認識や自然言語処理技術をより向上させる必要があります。これを可能にするために、脳の情報処理とよく似た働きを持つ「ニューラルネットワーク」や「遺伝的アルゴリズム」といった次世代技術の研究に取り組んでいます。ニューラルネットワークの学習能力に、遺伝的アルゴリズムの最適化能力を組み合わせれば、高い精度の音声認識や自然言語処理が可能になると考えられるからです。

検索質問の背後にある情報ニーズを満たす
神門 典子

有用な情報を収集することは、人がよりよく生きていくために不可欠です。しかし、探したい事柄が明確でない場合、キーワードを入れて検索を行う現在の方法は有効ではありません。答えが予想できないものを探すときや、どこから手をつけたらいいのかわからない場合でも、適切に対応してくれる検索システムの研究を進めています。目指す方向は、検索質問の背後にある情報ニーズを満たすことです。

コンピュータが物体を認識する仕組みを考える
後藤田 洋伸

コンピュータに外部の世界を認識させるためには、人間がもつ知覚やイメージングに相当する仕組みが必要です。このためには、現実世界に存在している物体や現象をコンピュータで計算処理できるように表現しなくてはなりません。これを「モデル化」といいます。私は、立体図形の「モデル化」について研究を進めています。モデル化ができれば、コンピュータに物体を認識させたり、描画させたりすることができます。こうした研究が実を結べば、"百聞は一見にしかず"といえるような情報処理も、コンピュータで実現できる日が来るかもしれません。

経済物理学の視点から、ブームの法則を解き明かす
水野 貴之

コンピューターネットワークの普及によって、人々の行動が電子媒体に大量に記録されるようになりました。この膨大な電子データを物理学の手法を使って解析し、自然現象と同じように経済現象や社会現象を解き明かそうというのが経済物理学とよばれる新しい学問です。私は経済物理学の立場から、経済活動の中で起こるブームの法則性を解き明かしたいと考えています。将来的には、バブル崩壊などのリスクを緊急地震速報のように事前に予測し、ブームを制御できるようになるはずです。そうなれば,市場のルールづくりや金融政策の面でも役立てられるのではないかと思います。

 

学術情報

 

複雑化・多様化する研究の世界を把握する
孫 媛

研究の世界で起こっていることの全体像を捉えることは、一般の人はもとより、研究者自身にとっても難しくなっています。しかし、現在の研究システムの特徴や問題点を明らかにし、より効率的・効果的なシステムを築いていくためには、研究活動を客観的に評価・分析することを避けて通れません。このため私は、研究活動の産物である論文や特許に関する文献データに着目し、「ビブリオメトリックス」とよばれる統計学的手法を用いて、いろいろな角度から研究活動の評価に取り組んでいます。こうした研究を通じて、複雑に絡み合った研究の世界の実態を明らかにし、これからの科学政策に新たな展望を与えることに貢献していきたいと考えています。

論文データから優れた研究の原点を探る
西澤 正己

将来への可能性をもつ研究開発への適切な投資ができるようにする。これが私の研究目標です。このため、優れた成果を出している研究が、どんな支援・資金を受けたかを調べ、成果の原点が何かを研究しています。

もっとあなたらしい学びにつながる「学習分析」
古川 雅子

インターネットに接続して学習を行うと、“学習者がいつ、どこで、何をどのように勉強したのか”という履歴「学習ログ」がサーバに蓄積されます。このデータから学習行動を明らかにできるとして、学習ログを分析する「学習分析」が欧米を中心に注目されています。
学習分析では、教材の改善につながる情報を得られる以外に、学習者個人の情報を分析すれば、その人にあった教材がわかったり、“ついていけなくなりそうだ”などといった学習状況を把握したりできます。学習者を集団ととらえればその傾向も明らかになります。教材を作る側、学ぶ側など様々な立場の人にとって役に立ち、使いやすく分かりやすい学習分析システムの実現に向けて研究・開発を行っています。

 

情報制度

 

電子商取引を促進する社会制度を求めて
岡田 仁志

私は電子商取引の消費者行動に関する公共政策と、大学などのセキュリティ・ポリシーについて研究しています。インターネットが普及し、遠く離れた人たち、場合によっては異なる国の人同士が簡単に商取引ができるようになりました。これは日本の法律、例えば民法からするとまったくの想定外でした。このような想定外の事柄には、現行法の柔軟な解釈で対応していくか、新しく法律を作ることが求められます。新しく法律を作る場合、既存の国内法だけではなく、海外の法体系とも整合性のあるルールが必要です。

新たな情報サービスのための基盤技術と政策を考える
曽根原 登

資源をもたない日本が生き残っていくには、モノだけでなく情報やサービスを海外に売っていかなければ立ち行きません。インターネット経由でのサービスや対価の取れる商品としてパッケージされたコンテンツの発信は始まっていますが、発信元は大手企業に偏っており、商品としても映画や音楽など、最初からがっちりした形があり、権利関係がクリアなものだけが流通しています。私は日本の中小企業や個人がWebサイトやブログで発信しているような、もっと多様で多彩な情報や知識サービスこそが、これから世界に売っていくべき商品だと思っています。こういう情報を世界に売れる商品品質に高め、別な言葉で言えば「品格」を上げて売りだしたい。そのためにあるべき技術や公共政策は何かを研究しています。