2015年 総合研究大学院大学 情報学専攻 5年一貫性博士課程修了
2015〜2016年 日本学術振興会 特別研究員
2016年〜2017年 津田塾大学 総合政策学部創設準備室 助教
2017年〜現在 津田塾大学 総合政策学部 助教
私が総研大を知ったのは、修士課程修了後の進路について考えていた時でした。当時はウェブデータを対象にしたマイニングや、ネットワークの可視化手法について研究していました。その中で、これらの技術が人々の行動や社会に対してどのような影響をもたらすのかという点に興味関心が移っていき、関連する研究を行える環境を探していたところで小林哲郎研究室(当時)を知ることになりました。
入学後は、人の評判情報が協力的な取引のネットワークを広げていくための条件について研究しました。評判情報が人々の協力的な取引を支えている可能性については生物学、社会学、経済学、心理学などで古くから指摘されており、現在ではオンラインオークションシステムなどに活用されていますが、その効果については十分検証されていません。この問題に対しては人々の心理や行動まで考慮する必要があるため、複数の手法を用いたアプローチが求められます。このような研究を行う上で、情報科学や情報工学だけでなく人文社会科学まで幅広いテーマの研究を行える情報学専攻は最適でした。
総研大には以下のような特徴もあります。総研大では学生に対して教員が多いため、研究の話を綿密に行うことができます。教員の行なっている研究に携わる機会も多くなり、研究で必要になる様々なノウハウを身につけるのに役に立ちました。また、神保町という立地は(古本屋巡りや美味しい食事が楽しめること以外にも)大きな利点がありました。総研大には他大学の授業を受講できる制度がありますが、交通の便が良いため気軽に利用できます。近所にある明治大学の図書館を相互利用可能であり、私は何度も足を運びました。
さらに、金銭的な面においては総研大と情報研の両方から手厚いサポートを受けられます。総研大の海外渡航費の支援制度を用いて、アメリカで行われたサマースクールに行くことができました。生活面においても、リサーチアシスタント(RA)として給料がもらえるため負担は軽くなります。また、総研大と情報研は独自に学生向けの賞を設けているので、応募のチャンスは多くなります。
いずれも他の大学院ではなかなかありえないような特色であり、研究に専念することを可能にする総研大の大きな魅力です。