Mar. 2022No.94

教育を止めるな!教育機関DXシンポの2年

Article

事務局スタッフが語る教育機関DXシンポの舞台裏

クリスマスイブの夜も打ち合わせで...

2020年3月末に始まった「教育機関DXシンポ」は、2022年1月時点で、開催回数はすでに45回を数える。これだけの期間・頻度での開催は、スタッフの奮闘なしに語れない。運営を担ったスタッフがシンポの舞台裏を語った

土井 光広

DOI, Mitsuhiro

千葉大学 企画総務部情報企画課 課長

岡本 裕子

OKAMOTO, Yuko

国立情報学研究所
研究戦略室 主任URA

上村 順一

UEMURA, Junichi

国立情報学研究所
学術基盤推進部学術基盤課 
総括・連携基盤チーム 係長

佐藤 秀

SATO, Suguru

国立情報学研究所
学術基盤推進部学術基盤課 課長

野田 英明

NODA, Hideaki

国立情報学研究所
学術基盤推進部学術基盤課 副課長

―シンポを始めた当初の話を聞かせてください。

土井(当時国立情報学研究所所属) 2020年3月は緊急事態宣言が出る直前のことで、大学は、とにかく遠隔授業を始めなければならないという切羽詰まった状況にありました。そこで喜連川所長が「大学の道しるべになりうることをしよう」と言い出したのがきっかけでした。そのころ、日本データベース学会年次大会(DEIM2020)でオンライン会議ツール「webex」を活用したイベント開催例があり、たくさんの人に来てもらえそうだという目算もありました。とはいえ、「何をやるんだろう」と戸惑っているうちに、「とにかくDEIM2020に携わった人に協力してもらってやれ」と(笑)。手探りでのスタートでした。

岡本 当初は毎週開催でしたからね。当時のスケジュールは、月曜日の夜に幹事会が開かれて、企画に携わる先生方が「今回のプログラムはどんな感じでいこうか」とお決めになる。それをもとに火曜日、水曜日に登壇者の調整をしていく。木曜日に接続の確認をしたら、金曜日にはもう本番という具合。翌週はまた月曜日から同じことが始まります。土日にアンケートを集計して、映像を編集して......という感じでした。

土井 しかも通常業務を抱えたうえで、シンポの運営をしないといけませんでしたから。参加者がどんどん増えるのも、先生方は喜んでいらっしゃいましたが、私自身はいささか怖かったですね。参加者が多いだけ、トラブルが発生したらたくさんの方々にご迷惑をかけることになる。それだけ、当時は"シンポを回していくこと"に精一杯でした。

―特に大変だったこと、印象に残ったことはありますか。

土井 シンポ前日でも講演者が決まっていなかったり、先生方から「講演者を追加したい」という話があったりして、プログラムの変更などでバタバタしたことですね。

岡本 最初のころはシンポジウムの時間が長かったので、間に休憩時間をはさんでいました。一時期、その休憩時間に漫才や落語の動画を流したことがあります。オンラインなので間を持たせようという意図だった思いますが、素材がポンと送られてきて「どないせぇちゅうねん」みたいな。こちらも興に乗って、出囃子を追加したこともありましたね。

土井 確かに、みんな妙なテンションでした(笑)。

上村 私は「裏方の裏方」で、メールで来る問い合わせに返答する担当でしたので、それほど「これは大変!」という感じではなかったですね。でも、「接続できないんですけど」とか、「申込への自動返信が届かない」といった問い合わせは結構届くので、それにがんばって返信していました。

野田 私は2021年4月から担当していますが、土井さんが担当されていた間に、頻度が2週間に1回になって、さらに2021年10月からは3週間に1回になったので、時間的にも余裕ができ、大変さはだいぶ減ったと思います。ただ、土壇場での変更というのは相変わらずあります。2021年末から2022年初めにかけては、急きょ、シンポジウム内でVRを試してみようということになって......。

佐藤 あれも綱渡りでしたね。当日の接続テストがうまくいかず、なんとか接続できたのは、確か本番の約1時間前。さらには、事前準備の打ち合わせが金曜日の午後8時半から。しかも、その日はクリスマスイブなんてこともありました。

―今後の展望を聞かせてください。

岡本 いろいろな方にシンポを聞いていただけるよう、これからも工夫しながらやっていきたいですね。アンケートでご要望の多かった「シンポジウムのアーカイブ化」も、がんばって公開にこぎつけたので、ご利用いただければと思います。※edx.nii.ac.jp

佐藤 マネージメント側としては、リソース不足を感じています。「人を増やしてください」とお願いしていますが、まだ叶えてもらっていない......(笑)。負荷を軽減する工夫をしつつ、みんなが倒れないでやっていけたらいいなと思っています。

野田 毎回無事に終わることだけを願ってやっているので......。今後も無事に開催できたらいいなと。

土井 このシンポは2カ月くらいで終わるだろうなと思っていましたが、今日まで続いていますね。これだけの高い頻度で2年間も続いた国立情報学研究所のイベントはおそらくないと思います。

上村 喜連川所長の興味・関心を核にしている部分が大きいので、当分は続いていきそうです。

岡本 まあ、元気で末永くやっていきましょう!

野田 これがなくなったらなくなったで、また別の企画が降ってくるでしょうしね。

土井 さすが野田さん、達観していますね。

(取材・構成 川畑 英毅)

記事へのご意見等はこちら
第94号の記事一覧