NIIオープンハウス2015 レポート

6月12日・13日の2日間、オープンハウス(研究所一般公開)を開催しました。(後援:千代田区)

 

初日は、喜連川所長の開会挨拶と活動報告「新SINETへ向けて:全国・対米100ギガ化を目指す」の後、基調講演に角川 歴彦氏(株式会社KADOKAWA取締役会長)による「これからのメディアと教育」中島 震教授(NII)による「見えざるシステムの伸びゆく手:ソフトウェア工学の方向」を行いました。「新学術領域研究発表」では「脳内身体表現の変容機構の理解と制御」をテーマに、「産官学連携交流会」では「AIの可能性:要素技術と応用」をテーマに企業関係者が多数参加し、NIIの研究活動に耳を傾けていました。

 

2日目は、一橋講堂で「NII研究100連発」を行いました。10名の研究者が、一人10の研究を7分半で発表するもので、白熱したプレゼンは参加者にとって多様な情報学に触れる貴重な機会となりました。当日は400名近い会場参加者に加え、株式会社ドワンゴの協力のもとニコニコ生放送でも生中継を行い、15,500名を超える視聴者がありました。また、初めての企画となる「小中学生のための情報学ワークショップ」を開催し、プログラミング講座やプライバシーを守る技術など、様々な体験ワークショップに190名を超える多くの小中学生が参加しました。このほか、高校生を対象とした「研究体験講座」や「サイエンスライフカフェ」を開催し、幅広い年代層が情報学の一端に触れる催しとなりました。「研究体験講座」に参加した高校生からは、「限られた時間の中で模擬研究をしたのはとても貴重な体験だった」「情報学の研究は以前思っていたものよりも面白いと感じた」「研究は楽しいものであると実感できた」といった感想が寄せられました。

 

両日とも研究成果について約100のブースでデモ・ポスター展示を行いました。参加者からは「若い人も参加していたので活気があり頼もしかった」「難しいながらも研究者と直接話ができる機会がよかった」といった感想が寄せられました。2日間で1,500名を超える来場があり、アンケートからは、オープンハウスに参加した94%が「満足した」と回答をしていました。

 

当日の講演映像、研究成果発表のポスターは、一部を除き、NIIのホームページで公開しています。

https://www.nii.ac.jp/event/openhouse/archives/2015/

所長挨拶・NII活動報告
「新SINETに向けて:全国・対米100ギガ化を目指す
 ~NIIが描くe-infrastructure」
喜連川 優(国立情報学研究所 所長)

 

 

「本日はオープンハウスにお越しいただきありがとうございます。この後、メディアをユニークに牽引されてこられました角川歴彦会長にお話しをいただきます。明日も株式会社ドワンゴさんのご協力でニコニコ生放送で生中継をしていただくことになります。アカデミアのコンテンツと学術が今後どのように融合してくか、ご堪能いただければと思います。

 

今年は非常にシンボリックな年です。平成28年4月1日からSINET5が全国100ギガ化するということで現在移行作業を進めています。わたくしが来たときは2年連続予算減となってしまいました。NIIは東京大学情報図書館学研究センター発足(1976年)に端を...    続きを読む

基調講演
「これからのメディアと教育」
角川 歴彦(株式会社KADOKAWA 取締役会長)

http://youtu.be/VGe0iJlmSjo

 

 

「エンタテイメントのビッグデータ解析という夢に協力体制を築いています。テレビの視聴率だけでなくエンタテインメントのビッグデータ解析が必要です。出版、映画、音楽、ゲーム…、これからはテレビも含め、マルチコンテンツガイド(MCG)ということで、リアルタイムの関心を社会との関係を分析したらどうかということで取り組んでいます。

 

IP2.0研究会の活動では、将来、知財がどうなっていくのかを研究してきました。研究会を通じて、今の著作権法が「機械が生み出す著作物」について対応できるのか、これから機械が全てを行うようになったら人間にどんなクリエイティブな領域が残るのか...    続きを読む

基調講演
「見えざるシステムの伸びゆく手~ソフトウェア工学の方向」
中島 震(国立情報学研究所 教授)

資料ダウンロードはこちら

http://youtu.be/7JA6I4rJuF4

 

 

「ソフトウェアによるイノベーションの時代、industrie 4.0というものがあります。第4次産業革命(IoT+AI=考える工場?)といわれるくらい大きな動きになろうとしています。第1次経済革命は狩猟から農耕へ、第2次経済革命は歴史で習ういわゆる産業革命、自然法則を使った新たな経済の革命を起こした技術革新でした。産業の技術革新の裏には、それをドライブしていった社会の仕組みがあります。占有権=知財権を整備することで発明家が集まり、活動が進んでいきました。流れはCyber Physical Systemsからindustrie 4.0へと移っていきます。

今が第3次経済革命にあたるのではといわれています...    続きを読む

新学術領域研究発表/産官学連携交流会

 

 

新学術領域研究発表では、「脳内身体表現の変容機構の理解と制御」をテーマに、太田 順 教授(東京大学)、大木 紫 教授(杏林大学)、稲邑 哲也 准教授(NII)が発表。幅広い層からの聴講者がありました。

 

産官学連携交流会では、「AIの可能性:要素技術とその応用」をテーマに、NIIの新井 紀子教授、市瀬 龍太郎准教授、坂本 一憲助教、相澤 彰子教授が発表。当日会場は満席となり、AIに対する関心の高さが窺えました。

研究100連発

http://live.nicovideo.jp/watch/lv223478097

https://youtu.be/k9T2LFlgoGY

 

 

NII研究100連発は、10名の研究者が、一人10の研究を7分半で発表するものです。白熱したプレゼンは参加者にとって多様な情報学に触れる貴重な機会となりました。当日は400名近い会場参加者に加え、株式会社ドワンゴの協力のもとニコニコ生放送でも生中継を行い、15,500名を超える視聴者がありました。

小中学生のための情報学ワークショップ

 

 

「暗号カギをわたせるか」(根本 香絵 教授)では、偏光板を組み合わせて作った模型を用いて、通信を送るというワークショップを行いました。「ルールをつくる」「受け手と送り手以外にはルールを知られない」など、暗号とはなにか?を体験しました。

「楽しいコミュニケーションを考えよう!」(LINE株式会社)では、まだLINEを使ったことがない小学生と、コミュニケーションとは何かをカードを用いながら考えていきます。ネット上では相手の気持ちに気づきにくい。自分がされたらイヤなことを考えるなど想像力を使おうとお話がありました。

「くまを動かそう~楽しいプログラミング講座」では、初学者が楽しくプログラミングを学習できる手法の研究を行う坂本 一憲 助教が開発したプログラミング教育用アンドロイドアプリを利用して、画面の中のキャラクターとぬいぐるみを同期させて操作する体験をします。本ワークショップには、株式会社サイバーエージェント...   続きを読む

高校生のための研究体験講座 ~ プレゼン実践!!

 

 

研究への取り組み方や、発表のコツを学びたいとエントリーした東京都立戸山高等学校の生徒が、事前授業で学び、グループ学習をした成果(研究テーマと仮説立ておよびその実験方法のデザインについてまとめた内容)をオープンハウス「プレゼン実践!!」で発表しました。

当日は7つのグループから発表がありました。「なぜ新たに会話に参加した人物が会話から抜けたことで会話は止まったのか」「人数と作業効率の関係性」といった研究テーマを発表。高校生ならではの視点で研究のテーマを切り取ります。

 

「社会を対象としつつも自然科学に近いフレームワークでアプローチできるということを感じてほしかった」という小林准教授。当日の生徒のプレゼンテーションの様子に熱心に耳を傾け、アドバイスをしていました。実際に研究体験講座に参加した生徒は、「... 続きを読む

女子高生のためのScience Life Café ~ ワークスタイルラボ

 

 

将来どのような仕事をしたいか、将来のワークスタイルに興味を持つ高校生のためのキャリアプランワークショップを開催しました。スピーカーは、様々な分野で活躍する女性が登壇。前半のトークでは、4名がそれぞれの研究分野での仕事やプライベートなど、普段は聞けない内容をお話しいただきました。

 

相良 美織(株式会社バオバブ代表取締役社長)

「言語の壁をとりはらい、もっと世界にわくわくを!というモットーでベンチャーを創業。世の中から必要とされている研究分野で最先端の機械翻訳の研究にも触れられ、まだまだ発展途上の市場なのでベンチャーでも勝てる余地があります。もちろん大変なこともたくさんありますが、毎日が刺激的です。」

佐藤 寛子(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系教授)

「コンピュータ化学、化学情報学(ケモインフォマテ... 続きを読む

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