プログラム:産官学連携交流会

日時

2015年6月12日(金)14:30-15:50

会場

学術総合センター 2F 小会議室

テーマ

AIの可能性:要素技術とその応用

発表(1)

新井 紀子(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)

「AI統合タスク『ロボットは東大に入れるか』の意味と意義」

 

コンピュータ性能の向上とビッグデータを背景にした機械学習技術のブレークスルーにより、かつて下火になっていた人工知能(AI)研究とその応用に、世界的な注目が集まっている。国立情報学研究所(NII)においても、2011年からグランド・チャレンジとしてAI研究への新たな取り組み『ロボットは東大に入れるか』を開始した。本講演では、NIIを中心に研究推進してきた、このAIグランド・チャレンジのこれまでの成果を紹介するとともに、AI研究ブーム期において、2010年代に入試をベンチマークとしたAIグランド・チャレンジを進めることの技術的・社会的意図や研究の意義がどこにあるのかについて述べる。

発表(2)

市瀬 龍太郎(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授)

「いろんな情報から新たな知識を発見するには? 多様な情報からの知識発見技術」

 

情報技術が発達した現在では、多様な情報を容易に得ることができる。しかし、多様な情報を組み合わせて、そこから有用な知識を発見するためには、データの検索、統合、マイニング技術が欠かせない要素技術である。本発表では、それらを実現する知識処理技術について紹介する。具体的には、半構造データから必要な部分を検索する技術、異なるデータスキーマを持つデータを意味的な整合性を持たせながら統合する技術、ソーシャルネットワークデータから知識を発見する時系列データマイニング技術、専門家の持つ知識を併用した医療データからの知識発見技術などを紹介する。

発表(3)

坂本 一憲(国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 助教)

「目標達成支援システムWillingRing: ソフトウェアによるセルフコーチング」

 

日常生活における人間の様々な行動の目標達成を支援するための目標達成支援システムWillingRingを研究開発している。目標達成のプロセスの中で、特に人間の意志力(セルフコントロール力)の重要性が見直されている。意志力を補強して目標達成を支援する手法としてプリコミットメント機能が注目を浴びており、事前に自分自身に制約を課すことで自身をコントロールすることに効果がある。

WillingRingは、Webサービスやウェアラブルデバイスなど多様な情報源からユーザの行動を理解して、プリコミットメントをはじめとする、有効と考えられる幅広い目標達成支援機能を提供する。加えて、WillingRingはユーザの行動情報を蓄積および分析することで、ユーザが目標を設定する際に、より良い目標を提案したり(例えば、設定目標が難しすぎるなど)、最適な目標達成の支援機能を推薦する。

このように、ユーザの目標達成を支援する身近で賢い人工知能システムを実現目標とした研究開発中のWillingRingを紹介する。

発表(4)

相澤 彰子(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授)

「断片化する知識をつなぐ:テキストのリンキング技術とその応用」

 

情報社会において日々生産・蓄積される膨大な量のコンテンツを活用するために、AIによる知識処理が切実に求められている。文章から知識を自動獲得する言語処理技術はその中核となるものであり、中でも文章中の概念や事物の名前を外部知識に結びつけ「エンティテリンキング」は知識獲得に必須の技術として近年注目を集めている。しかし、現在のリンキング・システムの大半は人物名などの固有表現を想定するもので、知識の体系化に役立つ抽象的な概念は対象となっていない。そこで現在では、分野に特徴的な概念に焦点をあて、リンキングを実現するための辞書構築、用語翻訳、語義あいまい性解消技術の研究を進めている。本発表ではリンキングによる知識処理の一例として、科学技術文書を対象とするリンキングサーバの実装例をあげ、それを利用した日本語から英語への文献推薦や例文検索機能の開発への取り組みについてデモを交えて紹介する。

定員

60名

※このプログラムは予約制です。参加をご希望の方はこちらからご予約下さい。

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