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情報社会から融合会社へ - Essay (74-6)

データ駆動の意思決定支援システム

曽根原 登
SONEHARA Noboru
国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授

 工業社会は、物質的なモノの豊かさを充足する「生活のための情報」が流通する社会でした。それに続く情報社会は、精神的な心の豊かさを享受する「楽しみのための情報」が流通してきました。そして今、高度な情報と通信の技術によって、あらゆる情報機器やセンサーがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰でもが、どこからでもアクセスすることが可能となってきています。この結果、「情報空間」と「実世界」が密に連携し、さらには、境目なく溶け合って統合するような「サイバー・フィジカル融合社会」が形成されようとしています。

 このような融合社会は、「社会問題克服と人間能力拡大のための情報」が流通する社会でしょう。例えば、社会問題として、人口の急速な減少と大都市への集中により、市町村の半数では、従来と同じレベルの公共サービスの維持が困難になるという問題があります。これには、地域経済の活性化と雇用機会の確保、地域医療再生や健康の増進、自然災害への対応など、さまざまな形の社会的イノベーションが求められています。しかし、これまで社会問題の克服では、部分的でしかも不完全なデータをもとに、主観的な政策決定や経営判断に頼らざるをえませんでした。

 これからの融合社会では、科学的根拠となるデータに基づいて合理的な意思決定や判断を行う「データ駆動の意思決定」が有効となります。また、これに合わせ、融合社会の経済発展と雇用機会創出は、エビデンスに基づいた知識サービス産業、知的情報産業へとシフトしていくでしょう。

 それには、公益性の高い社会的ビッグデータの収集や分析を行い、情報システムやサービスを合成し、タイムリーに人と社会にフィードバックする社会データ基盤を整備する必要があります。我々は、データ駆動の合理的な政策決定支援システムの研究開発と地域社会実装を通し、大学が地方公共団体や企業等と「協働」しやすい「知の拠点大学とのネットワーク型データ連携基盤」を実現しようとしています。このような仕組みは、地域が求めるデータ活用人材を養成し、学生にとって魅力あるデータの生産・流通・活用事業を創出し、「データ駆動のふるさと創生」につながるものと確信しています。

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第74号/2016年12月発行

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