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ACMチューリング賞 50周年を祝って - Essay (77-5)

喜連川 優

国立情報学研究所 所長

 「ACMチューリング賞」50周年を記念した式典が、2017年6月にサンフランシスコで開催されました。計算機科学分野の国際学会「ACM(Association for Computing Machinery)」によって創設され、計算機科学におけるノーベル賞として知られている本賞は、創設から50年が経ち、この分野への功績により今までに64名が受賞しています。式典では、計算機科学に関わる多様なテーマについて、過去の受賞者を交えパネルディスカッションが行われました。ACMのウェブサイトでは、それらすべてのビデオをご覧いただくことができます。(http://www.acm.org/turing-award-50/video

 式典の中のドナルド・クヌース博士(1974年受賞者)の講演「知識の集積としての計算機科学」を情報処理学会学会誌(情報処理 Vol.58 No.11 Nov. 2017)の特集でも取り上げています。クヌース博士は、計算機科学の黎明期より活躍してきたこの分野を代表する研究者であり、日本語訳も出版されている"The Art of Computer Programming"という本の著者として知られています。この著書は、数多くのアルゴリズムとその計算量を含む分析をカバーしていて、計算機科学における金字塔となっており、その内容に関してクヌース博士は1974年にチューリング賞を受賞しています。

講演するドナルド・クヌース博士(ACMウェブサイトより)

 プログラミング技法から画期的な電子出版ツールまで幅広い分野におけるコンピュータ科学への多大な貢献をされた博士は、講演の中で、「計算機科学には、数学と同じように、私たちが研究課題を創案できるという特権があります。自然界が決めた方向に進む必要はなく、自分で研究分野を作り出し、独自の言語、公理などをデザインできるのです」と振り返っています。NIIのウェブサイトでも、クヌース博士の講演録を公開していますのでぜひご覧ください。(http://www.nii.ac.jp/about/upload/acm_NIIToday77.pdf

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第77号/2017年9月発行

形式手法をものづくりへ
ERATO「蓮尾メタ数理システムデザインプロジェクト」

・抽象数学で工業製品の設計支援
・情報系と物理系の融合のカギを握る制御理論
・「形式手法」を複雑化するものづくりの現場に活かす
・プロジェクト解説

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