NIIについて / About NII

国際情報オリンピック 出場者インタビュー - NII Interview (76-4)

2016年8月の第28回国際情報オリンピック(IOI)ロシア大会で、金メダルを獲得した髙谷 太さん(開成高校3年)と銀メダルの川崎 理玖さん(筑波大学附属駒場高校3年)。2人は、昨年に続き今年の第29回イラン大会にも日本代表選手として出場します。さらなる活躍が期待される2人に、勉強のコツや大会への抱負などについて聞きました。髙谷さんは、これまで3年連続で情報オリンピック金メダルに輝くとともに、昨年の国際数学オリンピックでも金メダルという快挙を達成しています。

速くて効率的なアルゴリズムをひねり出す:髙谷悠太さん

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 情報オリンピックでは、数学的な考え方を使ってプログラミングしますが、計算に要する時間やメモリー消費量に厳しい制限があります。だから、「正しい解を出せるけれども計算に時間がかかる」という愚直な解法ではなく、「いかに速く効率的なアルゴリズムをひねり出せるか」がカギになります。これが情報オリンピックの面白さです。

 昨年のロシア大会では、1日目は思うように問題が解けず26位のスタートでしたが、2日目は気持ちをうまく切り替え、順位を10位上げて金メダルを獲ることができました。世界には強いライバルがたくさんいるので、勝ち抜くには、集中力と精神的な強さが必要です。今年は最後の大会になるので、自己最高の5位以内に入りたいと思います。

 中学校で数学研究会という部活に入り、そこで初めて情報オリンピックの問題に触れました。僕は、速くて効率のよいアルゴリズムを考えることが好きなので、楽しみながら過去問を解いたり、オンラインのプログラミングコンテストに参加したりしていました。情報オリンピックをめざす人たちは、まずは日本予選の問題にチャレンジしてみるとよいと思います。

 大学生になったら、今度は、ACM-ICPC(ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト)に出場してみたいと思っています。どんな問題に出合えるか今からとても楽しみにしています。  

"ひらめく瞬間"にワクワクする:川崎理玖さん

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 情報オリンピックの日本予選前の夏休みは、「起きている時間はずっと問題を考えている」というくらい集中して取り組んでいました。何をしていても、問題を解くためのアイデアが浮かんだら、メモに残しておきます。この"ひらめく瞬間"がすごくワクワクします。

 一番印象に残っている問題は、中学3年生の夏に出合った「2人の星座」(第13回日本情報オリンピック春季トレーニング合宿課題)という問題です。なかなか解けずにいたのですが、高校2年生の冬のある日、「これだ!」と解法がひらめきました。手ごわい問題ほど、解けたときの喜びは大きいものです。

 昨年、初めて出場した国際情報オリンピックで感じたことは、「世界には上のまた上がある」ということ。銀メダルの悔しさをバネに、今年は、何が何でも金メダルを獲りたいと思っています。国内予選や本選の過去問は全て解いてしまったので、海外の大会で出題された問題をインターネットで探してチャレンジしています。また、ロシア大会で友達になったベトナムの高校生とは、メールで問題の解説をしたり、情報交換をしたりして互いに切磋琢磨しています。

 ディープラーニング(深層学習)の理論に興味があるので、情報系の道に進みたい。情報オリンピックの経験は、将来、きっと役立つと思うので、たくさんの人にチャレンジしてもらいたいですね。

概要│国際情報オリンピック(IOI)とは

 「国際情報オリンピック(IOI)」とは、高校生までの生徒を対象とする国際科学オリンピックの競技の一つです。世界各国から選抜された代表選手が一堂に会し、数理情報科学の問題解決能力を競います。2016年8月にロシアで開催された「第28 回国際情報オリンピック」には、80の国や地域から308名の選手が参加しました。

 競技は個人戦で、ほとんどの問題は「与えられた入力に対して想定される出力を計算するプログラムを作成する」という形式で行われ、2日間にわたり、1日5時間、3問または4問の問題に挑みます。

 問題には部分点が設定されており、より大きな入力を処理できるほど高い点数が得られます。プログラムの実行時間・使用メモリに関して制限があり、満点を獲得するには、正しいプログラムを書く能力だけでなく、アルゴリズムやデータ構造を考案する能力が求められます。使用できるプログラミング言語はC++, Java, Pascal の3つのみです。

 採点の結果、出場者の上位約8%に金メダル、次の約17%に銀メダル、約25%に銅メダルが授与されます。img76-4-2.jpgimg76-4-1.jpg
 日本は昨年のロシア大会で、金メダル2個、銀メダル2個を獲得しました。

(取材・文=関亜希子 写真=佐藤祐介)

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第76号/2017年6月発行

情報オリンピック
若きプログラマーの発掘・育成のために

・国際情報オリンピック 日本大会への期待
・仕事の意義と内容が理解される好機
・経験から語るプログラミングコンテスト攻略法
・出場者に聞く
・日本情報オリンピック本選の問題

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