昨今,多くの研究者,図書館員の関心を集めているオープンアクセスですが,人文・社会科学分野においては,オープンアクセス化されている学術雑誌論文の比率が低いなど,自然科学分野との「温度差」が浮き彫りになりつつあります。
そこで今回のSPARC Japan セミナーでは,人文・社会科学系のオープンアクセスの最前線として「Open Library of Humanities (OLH)」の活動について,Martin Paul Eve氏からご報告をいただきます。また自然科学分野の研究者,大学図書館員等も交え多角的な視点からこの分野におけるオープンアクセスや日本からの学術情報発信の課題にもアプローチしたいと思います。貴重な機会ですので,是非多くの皆様のご参加をお待ちしております。
Martin Paul Eve氏は英国にあるリンカーン大学で講師を務めており,現代米国小説,主にThomas Pynchon,Don DeLilloやDavid Foster Wallaceの作品を研究している。また,彼はオープンアクセス活動においても知られており,ALPSPが英国議会下院BIS委員会に対しOAに関する意見を提出する以前に,英国学術政策に関して執筆し,Open Library of Humanitiesの設立にもかかわる。
人文科学においてなぜオープンアクセス(OA)が重要なのか?自然科学と比較するとどのような点が異なっているのか?どのような経済モデルがうまくゆくのか?今回はこれらの疑問やOpen Library of Humanitiesの設立に関することなどを取り上げます。また,様々な問題やその論拠,社会的,技術的な解決方法や財政モデルに触れ,OAの背景のみならず,合同ファンドや試み,活動等,現在の新たな可能性についてもご説明します。