研究シーズ2019情報基盤科学

コンピュータの新たな建築技術:水没冷却と光無線

鯉渕 道紘アーキテクチャ科学研究系 准教授

研究分野コンピュータシステム/光無線/コンピュータの冷却

研究背景・目的

コンピュータの熱、配線について研究しています。
水没冷却 : 水にはコンピュータの冷却材である空気、鉱物油と比べて冷却性が数倍〜数十倍高いという優れた特徴があります。私たちは既存の空冷の「扱いやすさ」と現状の液浸冷却を越える「効率的な冷却」を両立する水没コンピュータにより、プロセッサーチップの発熱問題の緩和を目指しています(写真)。
光無線:現状のスパコン、データセンターのネットワークはケーブルで相互接続して構築するため、総配線長が1,000kmを超えるなどメンテナンスが困難で並列計算処理ごとに適したネットワーク構成に変更することが難しくなっています。この2点の問題を光無線通信(ケーブルレス)の採用により突破することを目指しています。

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水没コンピュータのテスト

研究内容

  • 水没冷却
    電気絶縁性を得て、かつ、水中への放熱を可能にするために、コンピュータのマザーボード全体に薄膜コーティングを施しました。その結果、水没冷却は高負荷時の最新のXeon(ジーオン)プロセッサーの温度を、空冷と比べて20度ほど低下させることができました。ただし現在の技術では耐久性に課題があります。
  • 光無線
    ネットワークの「高いメンテナンス性」「通信パターンに応じた柔軟性」「省資源化」をすべて達成するために、ケーブルの代わりにレーザービームを使います(図)。現状のイーサネットの光源を用いて40Gbpsに近い通信を達成しています。マシンルーム内のラック上で多数のレーザービームが相互に干渉しないような光無線端末レイアウトを特許出願中です。

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図 光無線データセンター/スパコンの全体像

産業応用の可能性

  • 水没コンピュータ
    ミクロな点では、コンピュータの最発熱部であるプロセッサーチップの3次元統合積層の排熱問題が解決できるかもしれません。マクロな点では将来、水没コンピュータを温水プールや水族館の水槽内に設置し、その熱を二次利用する、あるいは、海や河川に設置するなど従来と違うデータセンターの形が見えてくるかもしれません。
  • 光無線
    長いケーブルなしでデータセンターを構築できます。さらに、ネットワーク構成を運用中に変更できるので、AI/ビッグデータ処理などで、現在では想像がつかないようなデータセンターの使い方が現われても設備の増設なしに、相応に対応可能です。

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