研究シーズ2015情報基盤科学

最長通信遅延1μ秒の壁を突破するランダムトポロジに基づく最適化技術

鯉渕 道紘アーキテクチャ科学研究系 准教授

研究分野多ネットワークトポロジ/光無線/省電力

研究背景・目的

エクサスケールのスーパーコンピュータ(以後スパコンと呼ぶ)のインターコネクトでは最も離れたノード間通信遅延1usが要求されていますが、ムーアの法則に従った向上では現状の数倍の改良に留まり、最長遅延を数us以下にすることは難しくなります。データセンタにおいても同様の現象が予測されます。加えて、1台のスパコンの配線長が2,000km超などケーブリングが問題になりつつあります。そこで、本研究では、現状の規則的なトポロジと一線を画したアイデアであるランダムグラフを用いることで、スイッチ経由数の大幅な削減を実現するトポロジを提案しました。さらに、併用可能なOn/Offリンク省電力技術、光無線による省配線とトポロジ再構成、フロアレイアウトを考案しました。

研究内容

提案ランダムトポロジはホップ数、直径の点で優れており、ネットワークシミュレーションから優れたスループット、バンド幅が得られています。図1を用いてこの効果を説明します。横軸は頂点の持つ辺の数(隣接頂点数)、縦軸は直径と平均ホップ数を表します。 32kノードネットワークにおいて各頂点(スイッチ)から5本のリンクを持つ場合、ランダムにリンクを追加するトポロジ方式(図1(b))は、もっとも離れたノードにリンクを加えるノンランダムなボトルネック削減方式(同(a))と比べて100倍以上、直径と平均距離を削減するという興味深い効果が現れます。ランダムショートカットトポロジはこの効果を応用しています。このランダムトポロジは"拡張性"、"耐故障性"の点でも優れており、規則的なトポロジで計算機システムを構築する場合と比べて、ヒューマンエラー耐性やメンテナンス性の面で優れています。

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図1 ネットワークトポロジのランダム効果

産業応用の可能性

  • ランダムショートカットトポロジ、フロアレイアウト、経路設定法は現状の商用テクノロジで実現可能
  • On/Offリンク省電力技術は任意のトポロジに適用可能であり、特に光無線と組み合わせた場合に高い効果
  • 汎用光源を用いた光無線室内通信により従来では実現できなかったトポロジ再構成、省配線が可能

研究者の発明

  • 特願2014-10617:情報処理装置用ネットワークシステム
  • 特許第5024530号:三次元集積電気回路の配線構造及びそのレイアウト方法 ほか
連絡先

鯉渕 道紘[アーキテクチャ科学研究系 准教授]
http://research.nii.ac.jp/~koibuchi

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