研究背景・目的
昨今、研究プロセスの知識循環を促進するために、論文誌のオープンアクセス化やデータ駆動型科学に向けた研究データのオープンデータ化など、オープンサイエンスの発展・普及が学術情報分野の緊急課題となっています。これまで日本の大学・研究機関では、欧米に比べ、研究データを長期間保存・管理するためにコストをかけることが困難、あるいは無関心でした。研究公正のために研究プロセスの透明性を高め、また研究データの活用を促進するためにも、学術分野向けの研究データ管理基盤の実現が待ち望まれています。国立情報学研究所はこれをSaaS(Software as a Service)として、全国の大学・研究機関に提供します。
研究内容
オープンサイエンスの意味は、各大学の事情や学問分野の慣習により定義が曖昧です。実務的にも統一された方法の導入や見解を得ることは難しく、多様性を容認した上で相互理解を深め、すり合わせる努力が必要です。このため国内外の関連機関と継続的に議論・調整を実施します。次に研究データを共有する国際会議や海外研究機関との連携を元に、国内の大学・研究機関に向けて、10年間研究データを保存可能にする管理基盤システムを、ウェブサービスとして開発し運営します。本サービスでは国立情報学研究所が提供するSINETを介して各クラウド・プロバイダと各大学の情報基盤センターを直結し、アプリケーションでの認証は学認を用います。これによりセキュアかつ高速なサービスを恒久的な事業として提供します。
産業応用の可能性
- オープンサイエンスの実現に向けた、研究データ管理・公開及び統合的な検索の支援が可能
- 研究データの共有・公開によりデータサイエンスや人工知能研究の基礎データとして、産学連携の幅が広がることが期待される
- 学術分野を起点に研究データの産業利用や市民によるオープンデータの利活用が可能
- 研究公正のために、研究データの長期アーカイブが可能
- SINET経由で学認に対応した高速でセキュアな研究データ共有が可能
- 日本の大学や研究機関の事情に沿ったクラウド環境での研究データ管理基盤の導入・カスタマイズが可能
連絡先
込山 悠介[コンテンツ科学研究系 助教]
komiyama[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください
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